艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

471 / 1086
148話 アイヌの恋人(3)

その日の夜、岩井は部屋で一人悶々と考えていた

 

これが恋、か…

 

なら私は、やはりボスが好きなのだろうな…

 

考えていると、ドアがノックされた

 

「入っていいかい⁇」

 

「どっ、どうぞ‼︎」

 

考えていた本人が来た

 

手にはコーヒーカップとケーキが乗ったお盆を持っている

 

ボスが入って来た瞬間、広めの部屋にボス独特の甘い香りが部屋を包んだ

 

ボスの匂いは人工的な物の香りではなく、女性特有の甘い香りだ

 

「すまなかったねぇ…無理に食べさせて…」

 

「気にしなくていいさ」

 

「ケーキ食べないかい⁇作って来たんだ」

 

岩井はボスと共にケーキを食べ始めた

 

「フフッ、美味いかい⁇」

 

「うんっ‼︎美味い‼︎」

 

岩井はあっと言う間にケーキを平らげた

 

「美味かったかい⁇」

 

「美味かった‼︎」

 

「今食べたのはニンジンのケーキなんだよ」

 

「今のがか⁉︎」

 

ボスは料理が得意だ

 

なので、岩井の嫌いな物を好きな物で克服させようとしたのだ

 

「よっと」

 

ボスは岩井の隣に座り、テレビを見始めた

 

「アッハッハ‼︎」

 

ボスはテレビを見て笑う

 

岩井はそれどころではない

 

中途半端に見え隠れする、肉付きの良い太ももや尻、そしてデカそうな横乳に目が行っていたのだ

 

「私はアンタを殺そうとした人間だよ⁇」

 

「へっ⁉︎」

 

ボスは岩井がチラチラ見ていたのに気付いていた

 

「それでもいいのかい…」

 

「構わないさ…終わった事は言わない主義だ」

 

「私は…アンタを好きになっても良いのかい⁇」

 

「私も好きなんだ…だから、その…」

 

「んっ…」

 

出航の時とは違う、長いキスをする

 

ボスは岩井の胸板に両手を置き、岩井はボスの白く美しい髪を撫でる

 

キスが終わり、ボスは岩井に思い切り抱き着いた

 

「裏切ったら承知しないからね⁉︎」

 

「心配しないでくれ。初恋なんだ」

 

「ははっ、ウブだねぇ…」

 

ボスはしばらく岩井に抱き着いた後、部屋を後にした

 

「はぁっ…」

 

部屋を出たボスは胸に手を置き、顔を真っ赤にしていた

 

ボス自身も初恋なのだ

 

ボスはずっと気になっていた

 

岩井の事はずっと気になっていた

 

岩井と少し違い、これが恋と分かるまで時間はかからなかった

 

岩井を見る度、無駄に付いたと思っていた胸が高鳴り、彼を護ってやりたくなる

 

口では護って欲しいと言ったが、本心は彼の傍にいなければ…との思いの方が強かった

 

ボスは呼吸を整えた後、自室に戻って行った

 

「やっぱり…」

 

「頑張れボスっ…」

 

岩井がガンビアの乗組員に応援される中、ボスもまた、手下に応援されていた

 

初恋同士の淡い恋が今、始まろうとしていた…




神威Mk.2…ボスの新しい船

元は補給艦だが、この船はタンカーに近い

タンカーだが軽い武装が搭載されている

流石にトマホークは無いが、ロケット弾や機銃が搭載されている

ボスはこの船に乗り始めた頃から、自身の産まれ故郷の正装を着るようになる






ボス…乙女になったボス

命を救われた岩井に惚れ、なんだかんだと岩井の世話をやく

料理が上手で、色んな食材を美味しく調理出来る腕を持つ

今回のお話でアルビノである事が判明した



神威Mk.2に乗り込む時には正装を着込んでから乗る

頭には紋章の入った青いバンダナ

足には黒いサラシ

そして両サイドがパックリと開いた白い服等のセットがボスの正装

他にもあるかも知れない

ボディラインが結構ムッチリしているのと面倒見の良さで岩井以外にも好きな人は居る様子だが、皆二人の恋愛を応援している

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。