今回のお話は、折角取れたので新艦娘を出そうと思います
視察団の国とは⁉︎
艦娘はどこの国生まれかな⁉︎
横須賀がソワソワしている
なんでも今日は、とある国から視察が来るらしい
その国から提供されているT-50を一番良く乗りこなしているラバウルの連中も横須賀に呼ばれ、今は視察が来るまで執務室で待機している
「粛清されたらどうしよう」
「粛清ってなぁに⁇きーちゃん知りたい‼︎」
「気に入らない奴をブッ殺す事さ」
「きーちゃんも粛清したい‼︎」
清霜は机に手を付いてピョンピョンしている
「レイなら粛清していいぞ」
「レイなら仕方ないな」
「隊長‼︎アレンテメェ‼︎」
「提督、視察団が来られました‼︎」
清霜が飛び掛って来たのを抱き留めた途端、明石が入って来た
「こちらへどうぞ」
執務室の中に、軍服を着た五人の男が入って来た
その後に一人、女性も入って来た
「T-50のパイロットはどれだ」
先頭に立った男は開口一番に言った
「我々です」
ラバウルさん、アレン、健吾、北上が前に出る
「早速で悪いが、機体を見せて貰おうか」
視察団に言われるがまま、ラバウルの連中と共に執務室を出る
「これだな…ガングート」
「はっ」
格納庫の前に着くと、視察団の中にいた女性がアタッシュケースを開けた
「今から我々と模擬戦をして貰う」
「構いませんよ」
ラバウルさんは薄っすらと笑みを浮かべる
「準備が整った。いつでも可能だ」
「では始めよう」
どこか冷酷さが垣間見える視察団の連中は、自国で生産されたシルバーのT-50に乗り込む
対してラバウルの連中は赤黒いメタリックカラーのT-50に乗る
視察団は5機
ラバウルの連中は4機
数では不利だ
だが、あのラバウルさんの笑み…
あれは何か考えがあるな
そうこうしている内に、横須賀の上空に機体が上がって行く…
地上に残された俺達は、アタッシュケースの中に入れられたパソコンを眺める事にした
「貴様がマーカス・スティングレイか」
「なんだ⁇知ってるのか⁇」
「知ってるも何も、貴様と大佐は有名だからな。宜しくな」
「あ…あぁ…」
”ガングート”と呼ばれた女性は、何処か危険な感じを醸し出していた
「よし、これで良いだろう。私は少し一服する」
ガングートはパソコンを俺達の前に置き、自身はパイプを燻らせ始めた
「タバコ吸える年なのか⁇」
「あまり私に構うな」
「…レイ。粛清されるわよ」
ガングートは見た所身長が小さい
パイプを燻らせる年齢ではないのは確かだ
パソコンと上空を交互に睨む
数では劣勢だと思われたラバウル隊だが、実力の差と力量で視察団を追い込んで行く
二機で一機を仕留める、所謂サッチウィーブ戦法を取っている
ラバウルの連中にアレをされたらひとたまりも無い
俺と隊長が対峙しても負けるレベルだ
視察団はあっと言う間に撃墜判定が出た
「強いな。T-50を貴方がたに任せて正解だった」
地上に戻って来た視察団は何処かにこやかになっていた
「T-50は良い機体ですよ。今までの機体よりもずっと」
「ベルクトは気に食わなかったか⁇」
「ベルクトは旋回性能が良過ぎたんです。その点、T-50は勝手が効きます」
「そうか。貴方がたの様なパイロットに乗って貰い、T-50も幸せだろう」
「隊長。模擬戦のデータは本国に転送済みです」
「んっ。では、ガングートが食べたがっていた日本食を食べに行こうか」
「ハラショー‼︎」
「えと…何が食べたい、ですか⁇」
ぎこちなく横須賀が聞く
「これ位の大きさでな、コメに刺身の乗った食べ物だ」
ガングートは小さな手で”これ位の奴”と示す
「ずいずいずっころばしだな」
「そうね。では行きましょう」
一同はずいずいずっころばしに向かう
「いらっしゃ…大人数ですねぇ‼︎」
相変わらず瑞鶴は俺達に驚く
「席あるかしら⁇」
「此方へどうぞ‼︎」
テーブル席に案内され、俺と隊長は何故か視察団と同じ席に座らされ、ガングートと横須賀はカウンターに座っている
「貴方がたがサンダーバード隊ですね」
「そうです。粛清するなら今の内ですよ」
「ははは‼︎そんなバカな‼︎」
隊長の冗談で、視察団一同が笑う
「T-50には、貴方がたの戦闘データも組み込まれているのです。そんな貴方がたを粛清する訳にはいけません」
「そんなデータどこで…」
「我々は散々貴方がた…そしてSS隊に…ガングート、なんと言うんだった」
視察団の隊長らしき人物の問いに、カウンター席に座っていたガングートが答えた
「”モーコン・ハ・ゲール”だ」
「そうでした。モーコン・ハ・ゲール思いをしましたからね…」
笑って良いのか分からない
使い方が間違っているとは言わないが、イントネーションが可笑しい
それに、俺達は何度かこの国、ロシアの機体を相手にしている
もしかしたらではなく、俺達を恨んでいるに違いない
「恨んでいるなら言ってくれ」
「レイ、エビ取ってくれ」
「ほい」
「恨んでいる⁇何か勘違いをしていませんか⁇」
「これはなんだ⁇」
視察団の隊長の周りでは、寿司を手に取っては、これはなんだと不思議そうに見ている残りの連中が楽しそうにしている
「違うのか⁇」
「とんでもない‼︎恨んでいるなら、日本語を学んでわざわざ来ません‼︎」
「そ、そっか…」
「ハマチ来た。取ってくれ」
「ほい」
「我々の国の教本にも、貴方がたの飛び方は模範として載っています。もし我々が貴方がたを恨んでいたとして、大佐の言う粛清をしたのなら、本国に帰った瞬間、我々が粛清です」
「なら良かった…」
「それに、我々の国でようやく完成したあの子…」
視察団の隊長の目線の先にはガングートがいる
「日本の何処かの基地に”楽園”と呼ばれる、戦いの無い基地があると聞く。ガングートを…そこに預けてやりたい」
「それはまたどうしてだ⁇」
あらかた寿司を食い終えた隊長がようやく口を開いた
「あの子…ガングートはすぐに人を粛清したがる癖があります」
「「あぁ…」」
隊長と同じタイミングでため息を吐く
どこの世界にも”アイツ”みたいな奴はいるんだな…
「スッゲェ失礼な事言われた気がするダズル」
「仕方ないニム。榛名がハンマー振り回すからニム」
「テメェブッ殺してやるダズル‼︎」