艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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さて、138話が終わりました

今回のお話では、リクエストが多かった艦娘を出そうとおもいます

形的には準レギュラーになるのかな⁇

私自身もこの子を書いて見たかったので、私自身も楽しみです 笑


139話 戦艦になりたい理由(1)

俺が基地に帰って来て数日後の朝、一本の電話が鳴る

 

いつもなら誰か必ず食堂にいるのに、この瞬間だけ誰もそこに居なかった

 

それに気付いた少女が二人…

 

「いよちゃんとって」

 

「うんしょ…」

 

少し高い位置にあった受話器を、背伸びをしながら腕を上げ、目の前に降ろす

 

「あい‼︎よこすかぶんけんたいだお‼︎」

 

いよは何処で覚えたのか、この基地の名前をちゃんと言えていた

 

《あれっ⁉︎いよちゃん⁇レイは⁇》

 

「えいしゃんねてる‼︎」

 

《起こせるかしら⁇》

 

「わかた‼︎おこしてくるお‼︎」

 

二人は受話器を垂れ下げたまま、俺の部屋に向かう

 

いよとひとみは器用に俺の部屋のドアを開け、中に入って来た

 

「えいしゃんおきろぉ〜‼︎」

 

「およめからでんわぁ〜‼︎」

 

相変わらず二人は俺をダムダム踏み付ける凶暴な起こし方をする

 

「こんな朝っぱらからか⁇」

 

二人に手を引かれ、目を擦りながら受話器の前に案内される

 

「いまかわるお‼︎あい‼︎」

 

ひとみから受話器を受け取る

 

「何だ⁇」

 

《赤ちゃんが産まれたわ‼︎》

 

「ハァァァァァァァン⁉︎」

 

 

 

 

 

 

 

横須賀に来た

 

「レイも盛んだねぇ」

 

「うるせぇっ‼︎」

 

きそにおちょくられながら、俺は執務室に入った

 

「ぐわっ‼︎」

 

「いたいな…」

 

「へ⁉︎」

 

入ってすぐ、朝霜と磯風が飛んで来て、壁に叩きつけられた

 

「ははははは‼︎”きーちゃん”は強いのだ‼︎」

 

横須賀の机の上で、少女が仁王立ちしている

 

呼んだ癖に、当の本人が居ない

 

「いっててて…」

 

「いーちゃんとあーちゃん、二人掛かりで敵わんとは…」

 

「何があった⁉︎」

 

「オトンか⁉︎助かったぁ…後は任せた‼︎アタイは逃げんぜ‼︎じゃな‼︎」

 

「いーちゃんも撤退だ」

 

「お、おい‼︎」

 

「「ひぃ〜〜〜っ‼︎」」

 

二人は悲鳴を上げながら執務室から走って逃げて行った

 

「れ、レイ…」

 

きそに服を引っ張られ、机の上に仁王立ちしている少女を見る

 

目を見開き、ニコニコしながら此方を見ている

 

俺は得体の知れない恐怖を感じた

 

「貴方はだぁれ⁇きーちゃんを楽しませてくれるの⁇」

 

「レイ、来てくれたのね」

 

横須賀が執務室に入って来た

 

そしてすぐ、机の上に立つ少女に目線をやる

 

「コラ”清霜”‼︎またお母さんの机の上に立って‼︎」

 

「お母さん、この人だぁれ⁇殺してい〜い⁉︎」

 

清霜と呼ばれた少女は、サラッと物騒な事を言う

 

「ダメッ‼︎この人は清霜のお父さんよ⁇」

 

「お父様⁉︎よっ、と…」

 

清霜は机の上から飛び降り、此方に寄って来た

 

「うりゃ‼︎」

 

「ほぁっ⁉︎」

 

清霜がいきなり右ストレートを当てて来た‼︎

 

俺は咄嗟に両手で防ぎ、少し後ろにズリ下がる

 

「なっ…なんちゅう威力だ…」

 

「うわぁ‼︎頑丈だね‼︎きーちゃん、お父様気に入った‼︎」

 

清霜はニコニコしながら此方を見ている…

 

その後ろで、横須賀が申し訳なさそうに頬を掻いている

 

「えと…何処から説明すればいい⁇」

 

「全部だ全部」

 

「次はこの人にしようっと‼︎」

 

「うわぁ‼︎レイ、お母さん‼︎助けて‼︎」

 

「「清霜‼︎止めなさい‼︎」」

 

俺と横須賀が吠えると、清霜はきその顔面を殴ろうとした拳を間一髪で止めた

 

「清霜⁇その人は清霜のお姉ちゃんよ⁇」

 

「お姉ちゃん⁇きーちゃんの⁇」

 

「そうよ。朝霜お姉ちゃんと、磯風お姉ちゃんのお姉ちゃんよ⁇」

 

「へぇ〜。弱そうだね‼︎」

 

「うっ…」

 

清霜はニコニコしながら毒を吐く

 

きそはドヨ〜ンと顔が暗くなった

 

「レイ…僕弱いって…」

 

「お前には剣があるだろ剣が」

 

「よしっ‼︎立ち直った‼︎」

 

きその切り替わりは早い

 

俺達は一旦食堂に場を移し、横須賀の話を聞く事にした

 

清霜が横須賀の膝の上に座ったのを見て、俺はきそを膝の上に乗せた

 

「えと…とりあえず、清霜は私とレイの子よ」

 

「まぁ…何と無くは分かる」

 

先程からずっと話を聞いていたので、それは分かった

 

「今回産まれて来るの早くない⁇」

 

毎回きそは聞きたい事を聞いてくれる

 

「昨日、急にお腹の中ドンドン蹴られてね…明石に検査して貰ってる最中にポロッと…ね⁇」

 

多分、横須賀も突然過ぎて事を理解出来ていない

 

「清霜」

 

「ん⁇」

 

こうしていると大人しくて可愛い

 

「お父さんとお散歩するか⁇」

 

「うんっ‼︎お菓子買って‼︎」

 

「ぼ、僕はお母さんといるよ…」

 

きそは清霜に脅えている様だ

 

「とうっ‼︎」

 

「ひいっ‼︎」

 

清霜が横須賀の膝の上から飛び、空中で一回転した後、俺の横に立った

 

きそは清霜が飛び上がった瞬間、机の下を通じて横須賀の所へ行った

 

「行こう‼︎」

 

「ぐわっ‼︎なっ、なんちゅうパワーだ‼︎き、清霜‼︎待ってくれ‼︎いでででで‼︎」

 

俺は清霜に手を思いっきり引っ張られ、食堂から強制退出させられた

 

「きそちゃん。朝霜と磯風呼んでケーキ食べよっか⁉︎」

 

「うんっ‼︎」

 

きそは横須賀に連れられ、伊勢に向かった

 

 

 

 

 

俺はようやく清霜の引っ張りになれ、やっとの事で親子に見える感じの手を繋ぐ形にはなった

 

繁華街に向かう途中、清霜に話し掛けてみた

 

「清霜は何が好きだ⁇」

 

「戦艦‼︎」

 

「戦艦かぁ。何でだ⁇」

 

「戦艦になったらいっぱい殺して、いっぱい血を浴びれるから‼︎」

 

可愛い顔して恐ろしい事を言う

 

「清霜は血が好きか⁇」

 

「うんっ‼︎大好き‼︎」

 

「じゃあ、清霜には夢はあるか⁇」

 

「老人をこの世から消す事‼︎」

 

「そ、そっか…」

 

コイツは100%俺の子だな…


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