艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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136話 Twin Sister's(4)

横須賀に着き、早速横須賀が居る執務室を目指す

 

今日は真面目な相談なので、ノックをする

 

「俺だ」

 

「開いてるわよ」

 

執務室に入ると、横須賀はホームシアターで恋愛映画を見ていた

 

「またふっるい映画を…」

 

横須賀が見ていたのは、隊長達が若い時にやっていた映画だ

 

横須賀はホームシアターを切り、体勢を立て直した

 

「珍しいわね。アンタが蹴りで扉を開けないなんて」

 

「横須賀に空き地はあるか⁇」

 

「あるわ。学校の横と、広場の近くに一区画あるわ」

 

「教会を建ててくれないか⁇」

 

「ん〜…そうね。確かに信仰も必要よね。良いわよ。て言うか、神様信じないアンタが教会⁇」

 

「どうしても救わなきゃならない人が居るんだ…」

 

俺は横須賀に話した

 

横須賀は俺の上司だし、こう見えて夫婦なので、ある程度の事は知っていた

 

「えぇ、良いわよ。教会も、孤児も引き取ってあげる」

 

「すまん。助かる」

 

俺は”珍しく”横須賀に頭を下げた

 

「な、何よ…頭下げないでよ…気持ち悪いわね…」

 

「今度、飯奢ってやるからな」

 

「メッチャ高いのじゃなきゃダメよ⁉︎そうね…照月ちゃんと回らないお寿司とか⁉︎」

 

「ふっざけんな‼︎」

 

「そっ。アンタはそれでいいの」

 

横須賀は俺に顔を近付けた

 

「アンタはそうやって、私にいっぱい当たってくれればいいの。私はそんなアンタに答えてあげるわ…」

 

横須賀に言い寄られ、あぁ、やはり自分の妻になる人間はコイツしか居ないと実感する

 

「それとそのシスターだっけ⁇しばらくは此処で暮らす様に言っておいて。行く所無いんでしょ⁇」

 

「あぁ…」

 

「施設が出来るまで、部屋を貸してあげるわ」

 

「…すまん」

 

「次ヘタれた顔したら引っ叩くわよ⁇」

 

「分かったよバーカ‼︎」

 

「このマヌケ‼︎分かったらサッサと帰りなさい‼︎」

 

「じゃあな‼︎」

 

「じゃあなっ‼︎」

 

普段離れ離れで暮らしている為か、逢えるとなると、二人共嬉しい

 

だからこそ、いつまでも仲の良いままでいられるのかも知れない…

 

横須賀を発ち、俺達はスカイラグーンへと戻る

 

 

 

喫茶ルームに戻って来ると、シスター二人の膝の上に、ひとみといよがいた

 

「あっ‼︎えいしゃんおかえり‼︎」

 

「おかえり‼︎」

 

ひとみといよが跳ねるかの様に俺の所に来た

 

俺はそれを抱き上げ、定位置である肩に乗せる

 

「二人共横須賀に向かえ。話はつけた。後は横須賀に聞け」

 

「マーカス君っ…ありがとうございますっ‼︎」

 

「助かりまし‼︎」

 

シスター二人の抱き着き攻撃も受ける

 

「えいしゃんすごいお‼︎」

 

「えいしゃんもてもて‼︎」

 

「あ…」

 

きそはレイの余す所無く抱き着かれているのを見て、一歩引いた…

 

「扶桑さん、お世話かけました」

 

「いえいえ‼︎とても大人しかったですよ⁇流石はマーカスさんの娘さんですね⁉︎」

 

「またこイよ」

 

「あぁ。じゃあな」

 

挨拶とお礼を済ませ、喫茶ルームを出た

 

シスター二人を高速艇に詰めた後、俺はひとみといよを行きと同じく助手席に座らせ、シートベルトを締め、ヘルメットを降ろした

 

「おうちかえる」

 

「おなかすいた」

 

「そうだな。貴子さんのごはん食べような⁇」

 

「うん‼︎ばつびょ〜ん‼︎」

 

「ばつびょお〜‼︎」

 

スカイラグーンを後にし、俺達は帰路に着いた

 

 

 

 

基地に着くと、ひとみといよは貴子さんに抱かれて、先にごはんを食べる事になった

 

俺は一服する為、パソコンの前に座った

 

「お疲れ様、レイ」

 

きそが来た

 

俺はきそを見るなり立ち上がり、きそを抱き寄せた

 

「な、何⁉︎どうしたのさ⁇」

 

「さっき忘れたからな…」

 

「あっ…」

 

きそは俺の背中に回した手で、俺の服を握り締めた

 

「ありがと、レイ」

 

「すまんな…」

 

「大丈夫だよ‼︎僕は子供達に囲まれてる方が好きなんだ‼︎」

 

「そっか…お前が相棒で良かったよ」

 

「ダメだよ‼︎アレンさんみたいにレイは死亡フラグブレイカーじゃないんだから‼︎レイが死んだら読者の皆が悲しむよ‼︎」

 

「…だよなっ‼︎」

 

「そうだよぉ‼︎レイは笑ってなきゃ‼︎」

 

きそは俺が思っている以上に気丈だ

 

俺はシスター二人にベルリンに戻れと言われた時、子供を盾にされたと勘違いし、心の奥底で”戻ろう”と思ってしまっていた

 

食堂に戻り、いつも通りごはんを食べ、またいつもの時間が流れる…

 

やっぱ、俺はこっちの方が幸せだな…

 

なら、今日はもう少し実感しようか…

 

子供達が貴子さんとグラーフと風呂に入り、部屋に残されたのはローマと隊長と俺。そして母さんだけになった

 

母さんはソファに座ってテレビを見ている

 

俺はそんな母さんの膝の上に頭を降ろしてみた

 

「マーカス⁇」

 

「しばらくこうさせてくれ…」

 

「ふふっ…」

 

母さんが柔らかく俺の頭を撫でる

 

母さんの太ももは温かくて柔らかくて、とても寝やすい

 

横須賀の太い足とはまた違う柔らかさだ

 

「珍しいわね…レイが甘えるなんて」

 

「男は皆そうさ。元来甘えん坊なんだよ」

 

隊長とローマが俺の話をしている中、俺は母さんに撫でられながら、まどろみの誘惑に負けた…

 

「おやすみなさい、マーカス。よく頑張ったわね…」

 

 

 

 

 

 

 

 

「えいしゃん‼︎あたまふいて‼︎」

 

「あたまふいて‼︎」

 

「しー…」

 

私はマーカスを膝の上に寝かせながら、お風呂から上がって来た双子の髪の毛をタオルで拭いた

 

「…えいしゃんねんね⁇」

 

「…えいしゃんつかえた⁇」

 

「そうよ…マーカスもお疲れなの」

 

「あ〜っ‼︎お兄ちゃん甘えん坊さんしてる〜‼︎」

 

一番ウルサイのが来た

 

だけど、マーカスはそんな事も気にせず、幸せそうに寝息を立てている

 

「テルツキ。貴方はレイにして貰った事ある⁇」

 

「ある‼︎お兄ちゃん、照月達にいっつもしてくれるんだぁ‼︎」

 

「マーカスもして欲しかったのよ…」

 

「うわぁ〜。メッチャ珍しい…」

 

キソも来た

 

マーカス、貴方が居る所に皆集まって来るのね

 

貴方がどれだけの愛を与えてるのか、この子達を見ていると良く分かるわ…

 

ごめんなさい、マーカス…

 

貴方に愛を与えられなくて…

 

お母さん、もう何処にも行かないからね⁇

 

「やっぱ行かなくて良かったよ…」

 

「マーカス⁇」

 

マーカスはいつの間にか目を覚ましていた

 

「今日、俺を育ててくれた人に会った」

 

「そう…」

 

「ベルリンに戻れと言われた」

 

「…行くの⁇」

 

「行く訳無いだろ⁉︎こんな泣き虫な母さん置いて行けるか‼︎」

 

「マーカスっ‼︎」

 

「さっ‼︎俺も風呂入ろっと‼︎母さん、また頼む」

 

「え、えぇ‼︎勿論よ‼︎いつでもいらっしゃい‼︎」

 

マーカスは笑顔のまま、お風呂へ向かって行った

 

私はそんなマーカスを見て、より一層愛おしく感じる様になった…

 




シスター・グリーン…色気ムンムンシスター

ベルリンの孤児院で、レイとアレンの面倒を見ていた二人のシスターの内の一人

緑色の髪を三つ編みに纏め、口元のホクロがセクシー。だが身長が小さく、レイにいとも簡単に抱き上げられてしまう

でもレイより一回り年上

レイにスパイ技術を教えたのは彼女

因みにレイは彼女の事を何度かオカズにしている





シスター・ヌードル…ポケポケシスター

シスター・グリーンの横にいる、ピンク髪のシスター

語尾に”でし”が多い

何故かいつも取っ手が付いた缶を持っているし、何故かいつも服の何処かにチョコレートが付いている

ボーッとしている事が多く、常に口は半開きになっている

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