艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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さて、135話が終わりました

今回のお話は、数話前からちょくちょく出て来ていた謎の二人組が明らかになります

ひとみといよの挨拶の為、スカイラグーンに訪れたレイ、きそ、そしてひとみといよ

そこで待っていたのは、レイの知っている人物だった…


136話 Twin Sister's(1)

朝ごはんを食べ終えた後、大人グループがコーヒーを飲む時間が来る

 

たいほうと照月は食後の運動も兼ねてアイガモとおさんぽしている以外、他の子供達がテレビの前で遊び始めた

 

だが、ひとみといよだけは窓際に座り、外を眺め始めた

 

いつもなら子供達に混じって遊ぶハズなのに…

 

そしていつもの様に、急にいよが指を差す

 

だが、今日は違っていた

 

空ではなく水平線を指差している

 

が、報告して来ない所を見ると敵ではなさそうだ

 

「そう言えば、ひとみといよはスカイラグーンに行った事あったか⁇」

 

隊長の一言でふと気が付く

 

「まだないな…挨拶代わりに連れて行くか⁇」

 

「すかいらぐーん⁇」

 

「すかいらぐーんてなに⁉︎」

 

二人が反応を示した

 

「ごはん食べられる所さ。行きたいか⁇」

 

「いく‼︎」

 

「ひとみもいく‼︎」

 

「よしっ‼︎じゃあグラーフに言って、お着替えしておいで‼︎」

 

「わかた‼︎ぐらーふはよ‼︎」

 

「おきがえする‼︎」

 

二人は早く着替えようと、グラーフの至る所を引っ張る

 

「イタズラ娘はこうだ」

 

「うわー‼︎」

 

「うわー‼︎」

 

グラーフは両脇に二人を抱え、子供部屋に向かった

 

数分後…

 

「きがえたお‼︎」

 

「きがえた‼︎」

 

お気に入りの灰色のワンピースに着替えた二人が帰って来た

 

完全に見分けがつかない

 

「いいかオトン。左もみあげがひとみ。右もみあげがいよ」

 

グラーフは二人の長い方のもみあげを持ち上げる

 

「オトン言うな‼︎」

 

「レイはどう見てもオトン。分かったか」

 

「…はいはい。んじゃ行くぞ。きそ、行くぞ」

 

「オッケー」

 

ため息交じりで相槌を打った後、フィリップの格納庫に向かう

 

「えいしゃんのひこうき」

 

「ぐらーふのひこうき」

 

「そうだぞ〜。よいしょ…」

 

二人共色々覚え始めているな…

 

きそがフィリップに入った後、キャノピーが開き、タラップを登る

 

二人共俺の肩に乗ったまま器用にバランスを取り、俺の頭に掴まっている

 

いつもは横須賀や俺以外の人間が座る場所に二人を座らせ、シートベルトを巻く

 

ホントは危ないのだが、小さい子供二人だと丁度良い気もする

 

読者の皆は真似すんなよ⁇

 

「いいか⁇フィリップに乗ってる間は暴れちゃダメだぞ⁇悪い子はお空にポイしちゃうからな⁇」

 

「わかた‼︎」

 

「じっとする‼︎」

 

「んっ、良い子だ。ゆっくり運転するけど、安全の為にコレは付けとこうな」

 

二人のヘルメットを顔面に降ろす

 

こうなってしまうと、もみあげが無ければ本当にどちらか分からない

 

「さぁ、行こう‼︎」

 

「ばつびょ〜ん‼︎」

 

「ばつびょ〜‼︎」

 

二人が手を挙げたのをキャノピーの反射で見た後、フィリップはスカイラグーンに向けて飛んだ

 

「お〜」

 

「うみひろい〜」

 

ひとみもいよも空を飛ぶのが不思議な様で、水平線を眺めたり、飛んでいる海鳥に目を向けたりとキョロキョロしている

 

「えいしゃんのおしごろ」

 

「えいしゃんはぱいろっろ」

 

「そうだぞ。隊長もグラーフもパイロットなんだぞ〜」

 

「すごい‼︎」

 

「すごいすごい‼︎」

 

ヘルメットで表情は分からないが、声を聞いている限り嬉しそうだ

 

《レイも大変だね〜。今じゃ子沢山のオトンだ‼︎》

 

「お前まで言うか‼︎」

 

《しかも双子ちゃんが二組と来た》

 

「お前含めて、俺の子供である事に違いはないよ」

 

《へへへ…ありがと》

 

「きそしゃんら‼︎」

 

「きそしゃんどこ⁇」

 

《いよちゃんもひとみちゃんも僕からは良く見えるよ〜⁇》

 

「こあい〜‼︎」

 

「きそしゃんこあい〜‼︎」

 

《ふふふ…》

 

フィリップもといきそも、子供の扱いが上手い

 

俺が見ている限り、きそはたいほうの面倒を見てくれていたり、二人が来てからも何だかんだで見張ってくれている

 

ただ、この二人はどうやら霞に懐いている様だ

 

多分、ごはんを作ってくれるからだろう

 

しばらく操縦を続けていると、二人は何かに気付いた

 

「えいしゃんのにおいじゃないお⁇」

 

二人は座っている椅子を、座ったままクンクン匂い始めた

 

「あ〜しゃんのにおい⁇」

 

「あ〜しゃんのにおいちがう。でもにてる」

 

「きっとあ〜ちゃんのお母さんの匂いだな」

 

「あ〜しゃんのおかあしゃん⁇」

 

「そっ。あ〜ちゃんとい〜ちゃんのお母さんだな」

 

二人は何故か「おぉ〜」と言う

 

「あ〜しゃんのおとうしゃんはだえ⁇」

 

「俺だよ」

 

「えいしゃんころもいっぱい‼︎」

 

俺はふと気になった

 

一軸さんの一件から聞いていない事だ

 

《ひとみちゃんといよちゃんのお父さんはだ〜れだ‼︎》

 

フィリップが言ってくれた

 

「えいしゃん‼︎」

 

「えいしゃん‼︎」

 

俺は心の中で安堵の息を漏らした

 

「一軸さんとか、呉さんイカさんは⁇」

 

「いちじくしゃんはかんちょ〜。おとうしゃんちがう」

 

「いっきはおともらち」

 

「呉さんは⁇」

 

二人は同時に答えた

 

「「 きよましゃはへたれ‼︎」」


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