艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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さて、134話が終わりました

今回のお話は、潜水艦のお話です

あのイージス艦も出てくるよ‼︎


135話 双子の記憶(1)

「よ〜し出来た‼︎」

 

橘花マンのショーが終わって数日間

 

俺ときそは新しい艤装の開発を進めていた

 

最新鋭の技術が詰め込まれたこの艤装なら、誰であろうがしっかりと護ってくれる

 

「モニターも鮮明に映ってるよ‼︎」

 

「小型無人機射出装置は⁇」

 

「問題ないよ。現状、積めるのは簡単な偵察機…いや、偵察”虫”みたいな機体しか出せないけど…」

 

「なら大丈夫だ。二人を呼んで来てくれ」

 

「オッケー‼︎」

 

きそは基地の中に二人を呼びに行った

 

「さ〜て…こいつはどう出るかなぁ⁇」

 

椅子にもたれながら、工廠の中心に置かれた二対の小型艤装を見る

 

「えいしゃん‼︎」

 

「きたよ‼︎」

 

「おっ‼︎来たな⁉︎俺からプレゼントがあるんだ‼︎じっとしてろよ…⁇」

 

二対ある艤装の片方を手に取り、ひとみの頭に付ける

 

「お〜」

 

きそはもう一つの艤装をいよの頭に付けた

 

「うぉ〜」

 

「耳にはこれな」

 

大きめの片耳イヤホンをひとみに付ける

 

「これで遠く離れた人の声が聞こえる様になる」

 

「えいしゃんのこえもきこえる⁇」

 

「聞こえるぞ」

 

「仕上げはこれ‼︎」

 

最後にあの小型無人機射出装置を、ひとみには右腕、いよには左腕に取り付ける

 

「こうやって腕を伸ばして、発艦‼︎って言ってご覧」

 

「はっかん‼︎」

 

「はっかん‼︎」

 

きそに言われ、二人は腕を伸ばして発艦の合図を出した

 

すると、腕に付けた装置から虫の様な機体が飛び出し、二人の前で浮遊し始めた

 

「これは小型の偵察機だ。偵察機の映像はこれで見…」

 

説明をしているとパァンパァンと、二回手を叩く音が聞こえた

 

「とれた‼︎」

 

「むしとった‼︎」

 

「おおおおお…」

 

ひとみといよの手には、無残にも破壊された小型無人機が‼︎

 

「しまった…それを忘れてた…」

 

「うはは‼︎バラバラだぁ‼︎」

 

ひとみといよは目の前を飛んでいた虫を捕まえて御満悦

 

「いいか⁇パァンはダメだ。分かったか⁇」

 

「わかた‼︎」

 

「ぱぁんしない‼︎」

 

小型無人機を補充し、テイク2

 

無人機が発射されてすぐ、ひとみといよの頭に付けた艤装を顔の前に降ろす

 

「うぉ〜‼︎」

 

「そらとんでる‼︎」

 

「海に行く時は常にこれを降ろしておくんだ。知らない事を教えてくれるぞ⁇」

 

「えいしゃんすごい‼︎」

 

「これほしい‼︎」

 

「お前達にやるよ。その為に造ったんだ」

 

「えいしゃんありがと‼︎」

 

「ありがと‼︎」

 

「後は使い方次第だぞ」

 

「マーカス様。はっちゃんとしおいと一緒に二人を連れて、近海をお散歩しても宜しいですか⁇」

 

「近海だけだぞ。潜水艦とはいえ、まだ海に慣れてない」

 

「かしこまりました。では行ってみましょう‼︎」

 

はっちゃんとしおいという、ベテランの引率がいる

 

尚且つ近海だけなら心配は無いだろう…

 

 

 

 

「めがね‼︎いよぽいして‼︎」

 

「ひとみもして‼︎」

 

「くっ…」

 

港でローマが二人に取り付かれて、服やら腕を引っ張られている

 

どうやらはっちゃんとしおいの”どぼ〜ん‼︎”を見たらしく、二人はローマに海に投げて欲しい様だ

 

「ちょっ…レイ‼︎兄さん‼︎助けなさいよ‼︎」

 

ローマは窓際で様子を見ていた俺達に助けを求める

 

「ポイしてやれ〜。やるまでずっと言われるぞ〜⁇」

 

「心配するな〜。それ如きの衝撃で外れたり壊れたりしない〜」

 

「…後悔しないでよ‼︎」

 

ローマはまずいよの首根っこを掴んだ

 

「いい、いよ。艤装を付けて海に行く時は”抜錨‼︎”って言うのよ⁇」

 

「わかた‼︎いよ、ばつびょ〜〜〜〜〜ん‼︎」

 

いよが抜錨と言っている途中で、ローマはいよを暁の水平線目掛けて放り投げた

 

かなり離れた海面で水柱が上がる

 

「次っ‼︎」

 

「きた‼︎ひとみ、ばつびょお〜〜〜〜〜〜〜‼︎」

 

ひとみも放り投げ、いよよりもう少し向こうで水柱が上がる

 

「大丈夫〜⁉︎」

 

「だいじょぶ〜‼︎」

 

「めがねありがと〜‼︎」

 

すぐにはっちゃんとしおいが二人に着き、潜行する

 

「はぁ…子供は慣れないわね」

 

「ローマ‼︎帰って来い‼︎」

 

隊長がローマを呼び、食堂に戻って来た

 

「さてっ。モニタリングでもしますか‼︎」

 

「持って来たよ‼︎」

 

きそはタブレットを二つ持って来た

 

「これは⁇」

 

「二人が見ている風景を見れる様に同期してあるんだ。まぁ見てくれよ」

 

タブレットを起動すると、海中の様子が映し出された

 

「こっちがいよ、こっちがひとみの見てる風景だよ」

 

きそはいよが見ている方を隊長に渡し、ひとみが見ている方を俺の前に立たせ、俺の膝の上に座った

 

「ちゃんと機能してるね‼︎」

 

「あぁ。識別装置の様子はどうだ⁇」

 

「大丈夫そうだよ」

 

「識別装置って…この文字の事か⁇」

 

隊長がタブレットを指差す

 

いよが見てる風景がモニターされている途中、何度も何らかの文字が表示される

 

 

 

 

/ ̄ ̄ ̄おしゃかな

 

/ ̄ ̄ ̄かい

 

\___そおい

 

/ ̄ ̄ ̄はっしゃん

 

\___でかいおしゃかな

 

 

 

この文字は二人が目で見て考えている事が、文字として出ているのだ

 

「可愛いもんだな。まだ舌ったらずだ」

 

「これで何処にいるかが分かる。それに、会話も出来る。ひとみ〜」

 

《えいしゃんか〜⁇》

 

「初めての海はどうだ⁇」

 

《おしゃかないっぱいいる‼︎》

 

「いよ、そっちはどうだ⁇」

 

隊長もいよに話し掛ける

 

《ぱぱしゃんか〜⁇》

 

いよはすぐに反応した

 

「気持ちいいか⁇」

 

《うんっ‼︎いよ、うみしゅき‼︎》

 

「そっかそっか‼︎」

 

「よし、海面に出て小型無人機の射出テストをしておしまいにしようか」

 

《わかた‼︎》

 

《かいめんでる‼︎》

 

薄暗かった画面が明るくなり、海面に出たとすぐに分かった

 

《はっかん‼︎》

 

《はっかん‼︎》

 

二人共ちゃんと覚えている様で、射出装置を付けた側の腕を上げて、無人機を射出した

 

「画面右下に無人機の映像が出るんだ」

 

「これか」

 

タブレットの画面右下の映像では、四人が無人機を見上げている映像が映っている

 

無人機の映像にも、先程の様に文字が表示される

 

 

 

/ ̄ ̄ ̄とりしゃん

 

\___おうち

 

/ ̄ ̄ ̄おふね?

 

 

 

 

「ん⁉︎」

 

モニターの向こうでは、突然現れた船舶に視線を集中させた四人が無人機見えた

 

「はっちゃん、識別信号は解るか⁇」

 

《識別信号受信、イージス艦、きくづきです》

 

「きくづきって…」

 

モニターそっち除けで、俺達は望遠鏡で窓の外を覗く

 

「あれか⁇レイが言っていた”修復可能な艦”ってのは」

 

「そ、そうだけど…持って帰れとは言ってない‼︎」

 

言っている間に、きくづきは基地に近付いてくる

 

「きそ‼︎四人に帰投しろと伝えてくれ‼︎」

 

「分かった‼︎みんな、おうちに帰って来て‼︎」

 

《わかた‼︎おうちかえるお‼︎》

 

《たのしかった‼︎》

 

四人に帰投命令を出してすぐ、きくづきは港に停泊した

 

「識別信号があるって事は、誰かが乗ってる証拠だな…」

 

「だろうな…一応武装して行こう。きそ、帰って来る四人を頼んだぞ」

 

「分かった。気を付けてね」

 

互いにピストルを構え、きくづきに近付く

 

出入り口の左右に付き、互いにうなづいた後、俺は扉をノックしてみた

 

「ぷげら‼︎」


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