艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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さて、133話が終わりました

今回のお話は、予告していた通り、橘花マンのお話です

好きな人には分かるセリフがあるかも⁇


134話 滅殺‼︎変態怪人掃討作戦‼︎(1)

「よ〜し、全員乗ったな⁉︎」

 

二式大艇の中から、口々に「のった‼︎」と、子供達が言う

 

「コイツに乗るのもっ、久し振りだな」

 

「パパといっしょ‼︎」

 

たいほうは久々に隊長と一緒になれる時間なので、ベッタリとくっ付いている

 

「隊長、俺も後から行くよ」

 

「んっ。待ってるぞ」

 

俺ときそは二式大艇には乗らず、フィリップであの再建中の基地を目指す

 

 

 

 

〜再建中秘匿泊地〜

 

過去の機体が眠っていたり、イージス艦が座礁したりしているこの基地

 

仮称”バーズ・シャングリラ”…

 

鳥達の楽園だ

 

恐らくこの名が通称になるだろう

 

「来た来た‼︎こっちよ‼︎」

 

人と妖精が慌ただしく動く中、フィリップが着陸する

 

「機体はあっちにあるわ‼︎」

 

「”アレ”はどうした⁇」

 

「ちゃんと準備してあるわ。来て」

 

「ちょい待ち。マーカス隊の野郎共、集合ー‼︎」

 

掛け声を叫ぶと、フィリップのハッチからゾロゾロと妖精が出て来た

 

その数、約100人強

 

「いいか⁇ちゃんと場所を聞いて行くんだぞ⁇」

 

”任しとき‼︎”

 

”しっかり治したる‼︎”

 

「では此方に乗って下さい‼︎」

 

明石が持って来た荷車に妖精達が乗り込む

 

これでもかとミチミチに乗った所で、荷車は再建されている基地とは別の場所に向かう

 

「さっ、レイ。アンタはこっちよ」

 

きそと共に基地の中に入る…

 

 

 

 

 

「ついた‼︎」

 

レイ達がバーズ・シャングリラたいほうが真っ先にタウイタウイに降り立つ

 

「えいしゃんいない」

 

「どこいった」

 

貴子さんの両肩に乗ったひとみといよはレイを探す

 

「二人共ホントにレイ君が好きなのね⁇」

 

「えいしゃんすき‼︎」

 

「えいしゃんすき‼︎」

 

いつもタウイタウイモールは人で溢れかえっているが、今日は親子連れが多い

 

目当ては勿論橘花マン

 

「ご無沙汰しております、大佐」

 

サラが挨拶に来た

 

「ごめんなさいね…マー君と”彼女”をお借りして」

 

「確かにレイは主人公に似てるからな。それに”あの子”も…」

 

サラと話しながら、全員タウイタウイモールに入る

 

その時、遠くの方を指差すいよとひとみに、誰も気付かなかった…

 

 

 

 

《乗り心地はどう⁇》

 

「まぁまぁだな。こいつで戦おうとしてたのが良く分かる」

 

《メット位脱いでもいいわよ⁇フィリップみたいな高起動出来ない様にリミッター掛けてあるから大丈夫よ》

 

「子供の夢は壊せんだろ。俺は橘花マンだ‼︎」

 

《カッコつけちゃって…ちゃんと運転しなさいよ‼︎》

 

俺は橘花に乗って、タウイタウイモールを目指していた

 

基地の中に入った時は驚いた

 

中はほとんど修復が終わり、ニ、三機程だが、T-50が配備されていた

 

そんな中にこいつは居た

 

ソードフィッシュを筆頭に修復不能な機体は、ボディだけ再現され博物館行きになったが、震電含め三機が再稼働可能と分かった

 

その内の一機がこの橘花だ

 

試験運転を含めた飛行でタウイタウイを目指すが、これがまた中々の乗り心地だ

 

震電の様に機体をベースに新規機体として造っていないこの機体は、70年前の機体のエンジンを主に、中の装備を飛べる範疇に変えただけで、戦えない様、リミッターが掛けられている

 

が、最高速度もそれなりに悪くなく、先程も言った様に、これで戦おうとしてたのが良く分かる

 

再稼働可能な後の一機も今日のショーに関係があるらしく、先に向かっているらしい

 

《しっかしまぁ、アンタは橘花マンに背格好似てるわね〜》

 

俺は橘花マンのスーツを着たままこの機体に乗っている

 

明石が造ってくれたこの橘花マンスーツ

 

中々フィットしていて、着心地が良い

 

着ぐるみ系列の問題点である暑さを

、中に小型のクーラーと通気孔で解決されている

 

そしてフィリップには横須賀が乗っている

 

横須賀がフィリップに乗るのは非常に珍しい

 

乗る事自体は何度かあったが、操縦するのは恐らく初めてだ

 

きそは飛び立つ前、横須賀に運転させるのを少し嫌がっていた

 

どこかに擦るかも知れないからだと…

 

一応横須賀はあぁ見えてサンダーバード隊の一員だ

 

一応腕は立つ

 

だが信頼感が無い

 

それは普段の言動が悪い

 

「さぁ、もう着くぞ。擦るなよ⁉︎」

 

《分かってるわよ‼︎》

 

持って来たタブレットには、フィリップの感情パラメーターが表示されている

 

感情パラメーターは大きく分けて3つ表示されている

 

一本目は”不安”

 

二本目は”憤怒”

 

そして一番高いパラメーターは”拒絶”

 

どうもきその時は横須賀に懐いてはいるが、フィリップになると大変嫌いな様だ

 

…あいつには黙っておこう

 

タウイタウイに着くと、早速きそが抱き着いて来た

 

「もうやめてね…」

 

「ははは‼︎横須賀はそんなに下手クソか⁉︎」

 

「レイの方が良いよぉ…」

 

よっぽど嫌だったのか、きそは少し震えている

 

俺の様に猛スピードで宙返りや反転はしてはいなかったが、それでも横須賀は嫌らしい

 

「はぁ…きそちゃんと大人と老人と子供とAIには好かれないわね…」

 

「全部じゃねえか‼︎」

 

「私、アイリスにも小馬鹿にされてたしね…」

 

言われてみればそうだ

 

アイリスもといはっちゃんは、横須賀の事を”メシマズ女”と覚えていた

 

今でもそうだ

 

だが、俺は教えた覚えは無い

 

言ったとすれば、横須賀は火が使えないと教えただけだ

 

「まっ、いいわ。アンタが好いてくれるし」

 

「おい…」

 

急にしおらしくなる横須賀を見て、いつもズルいと思う

 

「さっ、行きましょ‼︎子供達のお待ちかねよ‼︎」

 

「あぁ‼︎」

 

横須賀を先頭に、橘花マンがタウイタウイモールに向かう

 

「お、おい‼︎ちょい待ち‼︎」

 

「何よ」

 

「うは〜…」

 

三人の目の前には、一機のジェット機が停まっていた

 

「こっ、こいつもあったのか⁉︎」

 

「そうよ。言ったでしょ⁇もう一機来るって」

 

「こいつとは聞いてないぞ…」

 

目の前に鎮座していたのは”景雲”だ

 

橘花と並び、ジェット爆撃機として活躍するハズだった機体だ

 

「こいつにもリミッターがあるのか⁉︎」

 

「えぇ。橘花も景雲も、ここでまたお昼寝するのよ。リミッター無しが欲しかったらアンタが造りなさい⁇造れるものならね⁇…ハッ‼︎」

 

そう言った0.5秒後…

 

”レイなら造れる”

 

と、頭をよぎった

 

そして案の定…

 

「設計図はあったな…後は簡単なデータ集めて…横須賀‼︎今度工廠貸してくれ‼︎」

 

「やっぱり…」

 

「とにかく橘花マンはこっち〜」

 

きそに押され、ようやくタウイタウイモールに入る

 

エレベーターで屋上に向かっていると、子供達と出くわした

 

「橘花マンだ‼︎」

 

「本物だぁ‼︎」

 

「私が橘花マンだっ‼︎」

 

片方は見た事がある

 

山風だ

 

だが、もう片方は見た事が無い

 

まっ、それも当然か…

 

ここには山程子供達がいる

 

知っている子に出くわす方が珍しいのかもな

 

「さぁ‼︎橘花マンショーが始まるぞ‼︎応援してくれよ⁉︎」

 

「うんっ‼︎橘花マン、頑張ってね‼︎」

 

「応援してるから‼︎」

 

橘花マンの人気は本物だ

 

昨日まではただただデザインだけはカッコイイとは思っていた一キャラクターだったが、屋上に着いて、それは吹き飛んだ

 

「橘花マーーーン‼︎」

 

「キャーーー‼︎キッカマーーーン‼︎」

 

屋上にはワンサカと子供が集まっていた

 

その中には磯風もいる

 

それに混じって、何故か子供達に混じって大きいお友達もチラホラいる

 

この理由は、後々明らかになる


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