艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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さて、130話が終わりました

今回のお話は、とある艦娘が初登場します

震電が眠っていた基地を再建する為に再び訪れたレイ達は、島の裏側で座礁していた艦船を発見します


131話 新兵器”保護”(1)

「まっ、ちょま・る・ゆ〜」

 

「てってって〜」

 

照月とたいほうは、何処からともなく手に入れて来た、舞鶴にいるゴリゴリまるゆのエクササイズのDVDを朝ご飯の後、テレビで流しながら実践している

 

「あんなモンどっから手に入れた…」

 

「効果あるのか⁇」

 

俺も隊長も不安と疑問が絶えない

 

テレビの画面では、ゴリゴリまるゆが筋骨隆々のボディビルダーの男性数人と共にエクササイズをしているが、痩せると言うよりムキムキになる方が正しい気がする…

 

ただ、流れている曲を口ずさむ二人は子供らしくて可愛い

 

「あっ、そうだはっちゃん‼︎僕、新しい艤装を造ってみたんだ‼︎」

 

「はっちゃんの艤装ですか⁇」

 

「そう‼︎来て‼︎」

 

はっちゃんときそは工廠に向かい、きそが造った艤装を見に行った

 

「ジャン‼︎」

 

きその前には、恐らく腰に装着するタイプの、小さな艤装が置いてある

 

「これは何です⁇」

 

「見てて‼︎」

 

きそは自分で艤装を装着し、いつもの様に的を出した

 

「行くよ‼︎」

 

きその掛け声と共に、電気の弾が高速で的に当たった

 

「おぉ〜‼︎」

 

はっちゃんはきその後ろで拍手している

 

「これは”プラズマ機関砲”。殺傷力は無いけど、相手を痺れさせる事が出来るんだよ‼︎」

 

「はっちゃんにくれるのですか⁇」

 

「うんっ‼︎はっちゃんにあげる‼︎」

 

きそははっちゃんの腰にプラズマ機関砲を装着する

 

腰の両脇に装着された小さな砲は中々様になっている

 

「これは良いものですね‼︎とっても軽いです‼︎きそちゃん、ありがと‼︎」

 

「へへへ…」

 

レイが殺傷力の高い兵器を造り出すのなら、きそは非殺傷兵器を造り出すのを得意としている

 

このプラズマ機関砲だって、きそが言った様に殺傷力は皆無だ

 

だが、暴れている相手には効果が高い

 

「これで照月ちゃんが食べ過ぎたら止められますね」

 

「あ、照月ちゃんには効かないよ。照月ちゃん、色々抵抗力があるんだ」

 

最近気付いたが、照月は色々な抵抗力がある

 

まずはバイ菌

 

照月は好き好んで飲もうとしないが、数週間消費期限が切れた牛乳を三本飲んでも腹を壊さない

 

次に外傷

 

照月は随分前に単冠湾で死ぬ程食料を平らげてしまい、最終手段として気絶させようとした榛名のハンマーがつむじに直撃したが、ハンマーが曲がってしまい、尚且つ照月は無傷だったと言う過去がある

 

ピストルやライフルで撃たれてもピンピンしているし、大の大人が激痛でのたうち回る攻撃を喰らっても、照月はそのままご飯を食べ続けられる

 

これの為、照月は外的から受けるダメージはほぼ0、もしくは一瞬で回復してしまう

 

そして、最近照月は色仕掛けにもかなりの抵抗力が付いてきた

 

たいほうが胸を触ろうが、男が性的行為に及ぼうとしようが照月はキョトンとしている

 

なので、このプラズマ機関砲は照月には効果が無い

 

「はっちゃん、ちょっと試して来ますね」

 

「いい⁇サメとかエイが出たらそれで撃つんだよ⁉︎」

 

「やってみます」

 

「待て待て」

 

はっちゃんが工廠から出ようとした時、レイが来た

 

「マーカス様‼︎」

 

はっちゃんはレイが来るととても嬉しそうな表情をする

 

「ちょっとお出掛けしようか⁇」

 

「お出掛けですか⁉︎はっちゃんと⁇」

 

「そっ。そこでコレを試そう。きそ、行くぞ」

 

「オッケー‼︎んで、何処行くの⁇」

 

「この前行った離島だ。再建するらしいから、その前の視察さ」

 

 

 

 

 

《とうちゃ〜く‼︎》

 

「よしっ‼︎」

 

「草ボーボーです」

 

「いいかきそ、はっちゃん。絶対俺に近付くんじゃねぇぞ⁇」

 

「分かった‼︎ちょっと海ではっちゃんの艤装を試して来るね‼︎行こっ‼︎」

 

「行って参ります」

 

きそとはっちゃんを見送り、ハッチから火炎放射器と防護服を出した

 

再建するにせよ、ある程度の整備は必要だ

 

使えそうな設備は

 

滑走路

 

格納庫

 

司令部施設

 

この3つだ

 

格納庫も司令部施設も植物のツタだらけになっており、何かしらで除草しなければならない…

 

が、先ずは滑走路だ

 

滑走路は二本ある

 

今フィリップが降りて来た滑走路は、まだ辛うじて使える

 

問題はもう一本の方だ

 

コンクリの周りに生い茂る雑草のせいで滑走路として機能していない

 

これじゃあただの田舎の道だ

 

俺は火炎放射器で草を焼き払い始めた

 

 

 

 

その頃、きそとはっちゃんは…

 

”ヨイソウビ ホオジロザメガイチゲキデス”

 

はっちゃんは海中からモールス信号を送り、浜辺にいたきそと疎通していた

 

”チョット オサンポ シテキマス”

 

「了解、気を付けてね」

 

はっちゃんは海中に居るので話せないが、きそは地上に居るので、はっちゃんの耳に付けている防水性に優れた無線機で会話出来る

 

今は特に危険性が無い為、この意思疎通法が可能だが、万が一戦闘に赴く場合は無線機は持たない

 

砂浜に居たきそはモールス信号を置き、綺麗な貝殻を探し始めた

 

「うはは‼︎ホラ貝だ‼︎」

 

長年、誰も手入れしていなかったこの砂浜には、色々な物が流れ着い付いており、きそは今しばらくそんな漂流物で遊んでいた

 

 

 

 

はっちゃんは辺り一帯を散策した後、ソナーを使って遊び始めた

 

たまに跳ね返って来るソナーを受けては、その場に行って驚かすと言う迷惑極まりない遊びを、はっちゃんは気に入っていた

 

「ん⁇」

 

ソナーに反応があった

 

はっちゃんの現在位置はレイ達のいる基地の真裏側

 

きそもレイも踏み入れていない…踏み入れられない場所にいた

 

沿岸付近に何かの反応がある

 

はっちゃんはいつも通り、ギリギリまで海中に身を隠しながら接近

 

そして、いきなり顔を出す

 

「わ‼︎あ…」

 

驚かされたのははっちゃんの方だった


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