艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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13話 黒いコウノトリ(2)

フィリップが迎えに来た

 

《マタヒッパルネ》

 

「毎度毎度悪いな。だが、彼女が…」

 

「立てるか⁇もう少しだ」

 

「ン…」

 

気が付けば、武蔵が彼女を支えていた

 

「後ちょっとだ‼︎全員踏ん張れ‼︎」

 

雨も風も強くなって来た

 

早く入渠させないと…

 

「こちらは任せろ。提督は、あの黒い機体を着陸させてやってくれ」

 

「分かった‼︎頼んだぞ‼︎」

 

再びライトを手にし、黒い機体を誘導する

 

「こっちだ〜‼︎」

 

黒い機体でも、流石に悪天候の中長距離は辛かったようだ

 

ほぼほぼ胴体着陸で地に着いた

 

「工廠に回せ‼︎良く頑張ったな‼︎」

 

私がそう言うと、黒い機体のライトが弱々しく光った

 

《アリガトウ。スクワレタ》

 

「気にするな。ゆっくり休めよ」

 

黒い機体を二回優しく叩くと、妖精達が工廠に運んで行った

 

「さて…」

 

「提督‼︎こっちです‼︎」

 

基地の中から、はまかぜが呼んでいる

 

彼女の手招きに誘われ、基地の中に入った

 

「もう大丈夫です。提督、貴方もお風呂に入って下さい」

 

「…あぁ」

 

「疲れましたか⁇」

 

「…風呂行って来る。あったかい…そうだな、ラーメンでも食べたい気分だ」

 

「わかりました」

 

雨に打たれたからだろうか

 

急に疲労が来た

 

「パパ〜‼︎」

 

「こらこら。ビショビショだぞ⁇」

 

「よこすかさんがね、きょうはおくれるって。”たいふー”がきたって」

 

「なるほどな…道理で…ハックシュ‼︎」

 

流石に体を温めないと

 

今はあの深海棲艦が入ってるし、とりあえずは外付けのシャワーで済まそう

 

「ふぅ…」

 

深海棲艦も気になるが、もっと気になるのは、あの黒い機体だ

 

艦載機の造りでは無い、確実に

 

なら、何故彼女を助けた⁇

 

疑問が頭の中を渦巻く…

 

シャワーを出た後、提督室に行くと、相変わらずたいほうが一人で遊んでいた

 

「うぁ〜やられた〜。ちゅど〜ん」

 

「今日はどっちが優勢だ⁇」

 

「きょうはね、むさしの”かんそくき”と、たいほうの”れっぷー”がたたかってるの‼︎」

 

「武蔵の観測機は強いか⁇」

 

「つよいよ‼︎はっはっはー‼︎そのていどではしずまんぞ‼︎もっとうってこいー‼︎」

 

たいほうの手元では、観測機が烈風以上の戦いを見せている

 

いくら遊びとは言えど、中々面白い

 

「うっ‼︎」

 

風が強くなって来たな…

 

こんな天候じゃ、横須賀君も来れないはずだ

 

「かぜすごいね」

 

「うん。その前に帰って来て良かった」

 

「パパ、たいほうとあそぼ⁇」

 

「ん、いいぞ」

 

たいほうとおままごとを始めて、しばらくした時、武蔵が部屋に入って来た

 

「とりあえず、喋られる位まで回復はした」

 

「ありがとう。ちょっと見に行くよ」

 


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