艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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さて、119話が終わりました

今回のお話は、とある場所に大型ショッピングモールが開店します




120話 若妻達の白昼夢(1)

ある日、全基地にチラシが配られた

 

 

 

”タウイタウイモール開店セール‼︎

 

食料品、家具、玩具等々…多種多様に揃えております‼︎”

 

 

 

 

「たういたういもーるだって」

 

「食料品だって‼︎照月も行きたいなぁ〜‼︎」

 

たいほうと照月は毎朝届く新聞と日報に挟まれたチラシを見るのが日課だ

 

中には本土にあるパチンコ屋のチラシもあり、子供達は裏にお絵かきをしたりしている

 

「パパ、たういたういもーるだって‼︎」

 

「行きたいのか⁇」

 

「じゃすこみたいなところ⁇」

 

「そんな感じかな⁇」

 

「たいほう、照月ちゃん⁇ママと一緒に行く⁇」

 

洗い物を終えた貴子さんが、タオルで手を拭きながら食堂に来た

 

「いく‼︎びすけっとかうの‼︎」

 

「照月も行く‼︎」

 

「じゃあ準備して来なさい⁇」

 

「「は〜い‼︎」」

 

たいほうと照月は子供部屋に戻り、タウイタウイモールに行く準備を始めた

 

「あなた。たまにはいいでしょ⁇」

 

「たまには羽伸ばして来い。二人を頼んだぞ⁇」

 

「ありがとっ。マーカス君、霞ちゃんも連れて行くわね⁇」

 

「二人のお目付役だな⁇」

 

「そっ‼︎」

 

貴子さんが連れて来た子供達に、隊長と俺はそれぞれお小遣いを持たせた

 

たいほうは3000円

 

照月も3000円

 

霞だけは5000円

 

たいほうと照月のお目付役代として、それぞれ1000円ずつ、合計5000円を、アヒルのがま口財布に入れた

 

「「「行ってきま〜す‼︎」」」

 

 

 

 

 

高速艇の中では、子供達が今日買う物の話をしていた

 

「たいほうはびすけっと‼︎」

 

「照月はお肉‼︎」

 

「私は…行ってから決めようかな⁇」

 

しばらくすると、照月が急に立ち、操舵室に向かって行った

 

「よいしょ‼︎」

 

「てっ、照月さん‼︎」

 

「イカさん‼︎この前はありがとう‼︎」

 

照月は礼儀を忘れない

 

この間、ハロウィンの時に多大なる迷惑を掛けた、高速艇の船長のイカさんにお礼を言いに来たのだ

 

「いえいえ。私も良い経験になりました」

 

「照月、イカさんのお陰でい〜っぱい‼︎お菓子貰えたんだぁ〜‼︎」

 

「それはようござんした‼︎船長冥利に尽きますなぁ‼︎ははは‼︎」

 

イカさんは照月が気に入っている様で、いつも照月が高速艇に乗った時はこうしてお話をしている

 

イカさんから見れば、照月は娘。照月にとっても、レイやパパ以外の話し易い男性位の認識だろう…

 

「さぁ、見えて来たよ」

 

タウイタウイの基地が見えて来た

 

「イカさん‼︎照月と行こう⁉︎」

 

「私はここで待ってるよ。照月ちゃんは楽しんでおいで⁇」

 

イカさんは思った…

 

一緒に行きたいが、多分体力や気力よりも先に財布が空になるだろう…と

 

タウイタウイに着き、子供達が降り、遅れて貴子さんも降りた

 

「みんないい⁇はぐれちゃダメよ⁇」

 

「かすみとおててつないだ‼︎」

 

「照月、カート持った‼︎」

 

「オッケーよ‼︎」

 

霞を中心に、左手にたいほう、右手に照月が着いた

 

三人はちゃんと貴子さんの後を、まるで基地にいる合鴨達の様に着いて行く

 

「オレンジジュースも買うんダズル」

 

「これマイクか⁇」

 

三人の前で、女性二人が話している

 

「お前は何も分かっとらんダズル‼︎榛名が取れと言ったら、ケースごと行くんダズル‼︎」

 

「お、オーケーマイク‼︎」

 

「照月もケースごと行く‼︎」

 

照月もジュースを箱ごと取り、カートの下に乗せた

 

「照月がいるダズル」

 

「今日はダイしないマイクか⁇」

 

榛名はカートを停め、霧島はダンボールを肩に担いだまま話している

 

「照月、もうダイしないよ⁇」

 

「そうか。それがいいダズル」

 

榛名が照月の頭を撫でている横で、霧島は貴子に目をやった

 

「どこかで見た事あるマイク…」

 

「いつも主人がお世話になっています」

 

貴子が頭を下げても、霧島は気付かない

 

啖呵を切らした貴子は霧島に言った

 

「この武蔵が相手になってやろう‼︎」

 

「あ〜っ‼︎おい榛名‼︎武蔵さんマイク‼︎」

 

霧島は驚いた様子を隠せないが、榛名は至って普通

 

「そんな事知ってるダズル。知らないのはお前だけダズル」

 

「見違える程綺麗になってるマイク‼︎」

 

「ふふ…ありがとう」

 

「じゃあ、榛名達も買い物するダズル。たまにはワンコに顔見せてやって欲しいダズル」

 

「バイバイマイク‼︎」

 

「バイバ〜イ‼︎」

 

照月が手を振り、二人を見送る

 

少し離れた所で、榛名と霧島は口喧嘩を始めながら、角に消えて行った

 

「たいほう、びすけっとほしい」

 

「じゃあ、お菓子の所行こっか⁇」

 

貴子は照月の手を”しっかり”握り、お菓子売り場に来た

 

「好きなの持っておいで⁇」

 

貴子がそう言うと、霞とたいほうが手を繋いだままお菓子売り場に行った

 

「照月もお菓子見たい‼︎」

 

照月は貴子の手を離そうとするが、貴子は手を離さない

 

「私と一緒にお菓子見るの嫌⁇」

 

「ううん。一緒にお菓子見る‼︎」

 

「んっ。良い子ね。はぐれちゃったら大変だから、ちゃんとおてて繋いでてね⁇」

 

「うんっ‼︎」

 

そう言う貴子だが、本当は少し焦っていた

 

照月が誰かの手を離せば、それはタウイタウイモールの終わりである

 

そうなれば損害は計り知れない

 

絶対に離す訳には行かなかった

 

 

 

 

「あった‼︎たいほうのすきなびすけっと‼︎」

 

子供からすれば、お菓子売り場だけでも広大で、目移りする程のお菓子が沢山並んでいる

 

たいほうと霞は、数分かかってビスケットを見つける事が出来た

 

たいほうは棚からビスケットを取り、脇に抱えて、再び霞と手を繋いだ

 

「かすみはどれにするの⁇」

 

「これにしようかな⁇」

 

霞が取ったのは、硬めのコーラグミ

 

普段たいほうが食べているのを見て、急に食べたくなった

 

「アメリカのお菓子多いわね」

 

たいほうが抱えているビスケットもアメリカ製

 

霞のグミもアメリカ製

 

さっき照月がケース買いしたジュースもアメリカ製

 

タウイタウイモールは、どうやらアメリカと繋がっているみたいだ

 

貴子の所に戻って来ると、貴子は誰かと話していた


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