艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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特別編 サンマ 美少女 恋い焦がれ(2)

「ボーちゃん、あ〜んして」

 

”(*^◯^*)”

 

まっくすとボーちゃんがサンマを食べている

 

まっくすが解したサンマを、ボーちゃんが横で食べている

 

「美味しい⁇」

 

”(≧∇≦)”

 

「そう。良かった」

 

「ぼーちゃん、たいほうのさんまたべる⁇」

 

”(*^◯^*)”

 

たいほうも隊長に解して貰ったサンマをボーちゃんにあげている

 

「おいしいね‼︎」

 

”( ^ω^ )”

 

「多摩…可愛かったな…」

 

独り言をブツブツ言いながら、二人の前をジュニアが通る

 

「いた‼︎おいジュニア‼︎」

 

俺が声をかけるが、ジュニアは上の空だ

 

「多摩…」

 

「ジュ…ダメだ。こりゃあ恋に落ちてら…」

 

「多摩⁇あの軽巡の子ですか⁇」

 

ジュニアの言葉に興味を示したのはラバウルさんだ

 

「知ってるのか⁇」

 

「えぇ。ほら、あのダズル☆マンの時に私が巡回した寮にいた子です」

 

「て事は軽巡の子か…」

 

「何にゃ。多摩を呼んだかにゃ⁇」

 

「うは…」

 

「こりゃまた随分と…」

 

ラバウルさんが見違える程、多摩は変わっていた

 

ラバウルさんが巡回した時は、語尾に”にゃ”が付く位にしか認識が無かったが、今は違っていた

 

かなり美少女になっており、立ち上がってようやく分かったが、スタイルが良い

 

胸も歳相応…いや、それ以上にある

 

「このお兄さん、さっき多摩を助けてくれたにゃ。お兄さん、多摩とジュース飲まないかにゃ⁇」

 

「い、行きます‼︎行かせて下さい‼︎」

 

「じゃあ行くにゃ。借りてくにゃ〜‼︎」

 

多摩とジュニアは、喫茶ルームに入って行った

 

「なんだあの美少女は…」

 

「変るものですね…驚きました」

 

「レイ‼︎見付かったか⁉︎」

 

ようやく総司令が来た

 

「喫茶ルームに行った。がっ‼︎今は行っちゃダメだ‼︎」

 

「行くならば、我々を倒してから、です‼︎」

 

「な…なんだ⁉︎」

 

「分かった。行かない。ただ、理由だけは教えてくれ」

 

「ジュニアはデート中だっ‼︎」

 

「人の恋路を邪魔する奴は…です‼︎」

 

「あかりが恋だぁ⁉︎あっははははは‼︎」

 

総司令はいきなり高笑いした

 

「ようやくかぁ‼︎うんっ‼︎素晴らしい事だなっ‼︎」

 

「え⁇」

 

ラバウルさんと顔を見合わせ、何度か瞬きをする

 

「いやぁ〜、息子は女の子と付き合うタイミングが無くて、最悪ホモかと思ってたんだかね‼︎そうかそうか‼︎これでようやく眠れる‼︎」

 

「総司令。私もそろそろ付き人が欲しいと…」

 

「真田。君には今度お見合いの席を設けてやろう‼︎番を持つのはいいぞぉ‼︎帰る場所が出来る‼︎」

 

総司令は真田の背中をバンバン叩きながら嬉しさを露わにした

 

「美人を期待しています」

 

「お〜お〜任せろ‼︎飛びっきり美人を連れて来てやる‼︎はっはっは‼︎」

 

「ラバウルさん。俺達はあっちでビールを…」

 

「そ…そうですね…」

 

ハイテンションな総司令を放って置き、俺達は会場の端っこでビールを飲み始めた

 

 

 

 

「お兄さん、そう言えば名前を聞いて無かったにゃ。何て名前にゃ⁇」

 

多摩はピッチャーで来たミルクセーキをコップに分け、ジュニアに渡した

 

「椎名あかり。女の子っぽい名前だろ⁇」

 

「あかりちゃんだにゃ。そう呼ぶにゃ」

 

「好きに呼んでくれたら、それでいいよ」

 

「多摩は軽巡の多摩。最近リメイクしたにゃ‼︎似合ってるかにゃ⁇」

 

多摩は黒いセーターの背中を見せたり、ジュニアに笑い顔を見せた

 

「うん。似合ってる」

 

「嬉しいにゃ…えへへっ」

 

「ゔっ…」

 

ジュニアの顔がどんどん赤くなる

 

「あかりちゃん、顔真っ赤にゃ」

 

所謂”萌え袖”のまま、多摩はジュニアの額に手を当てた

 

その時、多摩の胸元がチラッと見えた

 

「うっ…う〜ん…」

 

盛大に鼻血を吹き出し、ジュニアは倒れた

 

「はっ、鼻血ブーにゃ‼︎」

 

 

 

 

「う〜ん…」

 

「大丈夫か⁇」

 

「レイ…さん⁇」

 

ようやく気付いたジュニアは、自分の鼻にガーゼが詰められているのに気付いた

 

「しっかしお前もウブだなぁ。胸チラで鼻血ブーとか」

 

「女性に免疫が無くて…すみません」

 

「まっ、異性に対する免疫はそう早く着くもんじゃないさ。俺だって長い時間かかった」

 

「あれだけ元帥と仲良いのに、ですか⁉︎」

 

「考えてもみろ。あの横須賀だぞ⁉︎」

 

「我々といる時はとても優しいお方ですが…」

 

横須賀の事を褒める奴は久しぶりに見た

 

少し嬉しいな…

 

「まっ。その様子じゃ、ちったぁ免疫は付いた様だ。俺はオサラバすっかな〜…」

 

「レイさん⁇」

 

ドアの所まで来て、彼の方を振り返った

 

「誰の膝枕で横になってるか、よく見る事だな」

 

そう言い残し、喫茶ルームを出た

 

俺が出た後、ジュニアはすぐに上を見た

 

「にゃ」

 

「うわぁ‼︎た、多摩⁉︎」

 

「よくネンネしてたにゃ」

 

ジュニアはすぐに起き上がり、顔を真っ赤に染め直す

 

「あ…あの、その…」

 

「何でさっき多摩を受け止めた時は鼻血ブーしなかったのに、今は鼻血ブーにゃ⁇」

 

「それは…その、あれだよ…うん…」

 

「多摩の事、好きになったかにゃ⁇」

 

ストレートに聞かれ、ジュニアはまた焦る

 

「そ…そんな所だ…」

 

焦るジュニアを見て、多摩は素直に自分の事を言った

 

「多摩は横須賀にいるにゃ。時々会いに来てくれると嬉しいにゃ」

 

「い、行くさ‼︎行かせてくれ‼︎」

 

「約束だにゃ⁇分かったかにゃ⁇」

 

「もちろんさ‼︎」

 

「じゃああかりちゃん、多摩はもう帰るにゃ。またにゃ‼︎」

 

「またね…」

 

多摩も喫茶ルームを出て、ジュニアは一人取り残された

 

今まで味わった事の無い虚無感がジュニアを襲う

 

「可愛い…」

 

ジュニアは本気で恋に落ちていた

 

 

 

 

秋刀魚祭りはお開きになり、ポツポツとしか客は残っていない

 

さっきまで腹を下した中年の提督が、白髪の女の子にブツブツ文句を言われながら帰って行ったので、俺達と総司令の一味しか残っていなかった

 

そして、ようやくジュニアが帰って来た

 

「ありゃあ相当重症だな…」

 

ジュニアはボーッとしながら喫茶ルームを降りて来た

 

「ジュニア。お前そんなに多摩の事が好きになったのか⁉︎」

 

「そっくりなんですよね…昔見てたアニメのアンドロイドに…」

 

「…今日の外見見る限り、確かに似てるな」

 

「あぁっ‼︎次に会う時はどんな服装で行こう‼︎」

 

「連行します」

 

真田に引き摺られ、ジュニアは帰路につかされた

 

「さてっ‼︎全員揃っ…てないな」

 

一番の問題児がいない

 

「あっちにいたよ‼︎おっきなおさかなたべてた‼︎」

 

たいほうに言われ、悪寒が走る

 

教えて貰った場所に行くと、彼女はいた

 

マグロの骨が辺りに散らばっており、今からまさにもう一匹に入る所で止めに入った

 

「照月‼︎」

 

「あっ‼︎お兄ちゃん‼︎このお魚美味しいんだよ‼︎」

 

「今…何匹目だ⁇」

 

「えと…秋刀魚を13匹食べて、このおっきなお魚は5匹目だよ‼︎」

 

「もうおしまいだ。帰るぞ」

 

「分かった‼︎抱っこしてくれたら帰る‼︎」

 

「うぐっ…」

 

また突進かまされてアバラ持って行かれたら、そろそろ笑い話にさせられる…

 

照月を後ろから抱き、力を込める

 

が、勿論ビクともしない

 

腹の中にマグロ4匹が詰まっているからだ

 

俺が必死こいている間も、照月はマグロを頭からバクバク食べている

 

「ふぬっ‼︎」

 

思いっきり力を入れると、照月が動いた

 

「動くぞ…うわっ‼︎」

 

マグロを食べ終えた照月が急に立ち上がったため、俺はひっくり返った

 

「うんっ♪♪美味しかったぁ‼︎お兄ちゃん、帰ろう⁇」

 

「ハァ…ハァ…満足したか⁇」

 

「うんっ♪♪」

 

満足そうな照月を連れ、俺達も基地へと戻った…


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