艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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さて、104話が終わりました

今回のお話は、食べ物がメインのお話です


105話 ブチギレたいほうとパクパク照月(1)

「おっ」

 

三時のオヤツの為に基地に戻って来た俺は、机の上に置いてあるモンブランに気付いた

 

タイミング良く誰もおらず、俺はモンブランを口に放り込んだ

 

「たいほうのおやつ」

 

たいほうが来た

 

子供部屋にいた様で、手にはカニのぬいぐるみが抱かれている

 

「とらっくさんがね、たいほうに”もんぶらん”つくってくれたの。くりのけーきなんだよ‼︎あれ⁇」

 

たいほうの前には、何も乗ってないお皿が置かれている

 

「…」

 

やってしまった‼︎

 

たいほうのオヤツだったのか‼︎

 

「あーーーーーっ‼︎」

 

俺の口が動いているのと、口周りに付いているクリームでバレた

 

「すまんたいほう‼︎お前のだとは知らずに‼︎」

 

「うわ〜〜〜〜〜ん‼︎」

 

珍しくたいほうが泣いてしまった

 

「すてぃんぐれいきらい‼︎ばかばかばか‼︎」

 

「ゔっ…」

 

俺はモンブラン一つで、たいほうの信頼を失ってしまうかも知れない

 

当のたいほうは、食堂の隅で泣いている

 

「た、たいほう‼︎俺が今からケーキバイキングに連れてってやる‼︎それでどうだ⁉︎」

 

「とらっくさんのがいい」

 

「ゔっ…」

 

余程楽しみに取ってあったのだろう…

 

そう言えば昨日、スカイラグーンから帰って来た時に、たいほうは白い箱を持っていた

 

アレの中身がモンブランだったのだろう

 

ちくしょう…どうしたら…

 

「どうしたたいほう⁇こんな所で」

 

隊長はたいほうを抱っこし、椅子に座った

 

「すてぃんぐれいがね、たいほうのもんぶらんたべたの」

 

「それはいかんな」

 

「たいほう…頼むからケーキバイキング行こうぜ〜」

 

「とらっくさんのがいい」

 

そこで隊長が気付いた

 

「たいほう⁇ケーキバイキングに行ったら、モンブランもあるぞ⁇」

 

「ほんと⁉︎」

 

どうやらたいほうはケーキバイキングにはモンブランは無いと思っていたらしい

 

「行くか⁇」

 

「いく‼︎」

 

「いいなぁ〜…照月も行きたいなぁ〜…」

 

「アンタ、間宮の券余ってんでしょ⁇私も連れて行きなさい」

 

いつの間にかヨダレを垂らしながら口を開ける照月と、その横に叢雲がいた

 

「その代わり、照月は私が乗せていくわ」

 

「安全に頼むぞ。隊長、ちょっと行って来るわ」

 

「任せたぞ」

 

 

 

 

〜横須賀・繁華街〜

 

「そんな小洒落た店あったぁ〜⁇風俗と間違えたんじゃ…」

 

きそも連れて歩き、繁華街を歩く

 

「ほら、ここだ‼︎」

 

「スイーツバイキング、伊勢…」

 

中に入ると、髪を後ろで括った女がいた

 

何処と無く、瑞雲の店長に似ている

 

「いらっしゃいませ‼︎」

 

「5名だ」

 

「お好きな席へどうぞ〜‼︎」

 

席へ着き、子供達は皆それぞれ散って行った

 

「もんぶらんあった‼︎」

 

たいほうは目当てであるモンブランを2つ

 

「チョコレートケーキ‼︎」

 

照月はチョコレートケーキのホール3つとミルクレープの切れ端を2つ

 

きそは大きめのチーズケーキを

 

「犬。アンタ何がいい⁇」

 

「フルーツケーキとティラミスがいい」

 

叢雲は最近気遣いが出来るようになってきた

 

そう言う時は、甘えるに限る

 

…相変わらず俺の呼び方は変わらないが

 

「美味しいか⁇」

 

「おいしい‼︎」

 

「ごめんな、たいほう。モンブラン食っちまって…」

 

「たいほうも、すてぃんぐれいきらいっていってごめんなさい…」

 

「うん…」

 

「おいひ〜♪♪」

 

照月は照月で美味そうに食うな…

 

ホールで持って来ていた3つのチョコレートケーキは、既に2つが照月の胃袋に落ち、最後の一個に取り掛かろうとしていた

 

「てるづき、いっぱいたべるね」

 

「そうだな。いっぱい食べる人は頑丈なんだぞ⁇」

 

「むさしもろーまもぷにぷにだよ⁇」

 

「ローマの方が脂肪は多いわね」

 

「武蔵さんは出てる所出て、他は引き締まってるからね」

 

子供達の頭の中で”いっぱい食べる人”は武蔵とローマらしい

 

「グラーフはどうなんだ⁇」

 

「グラーフも食べるけど、グラーフは味見とかつまむのが多いわね…レイがグラーフがデブだって言ってたって言っておくわ‼︎」

 

「やめろ‼︎」

 

「次はこれだね♪♪」

 

照月は次から次へとケーキをホールごと持って来ては、胃の中に消して行った…

 

結局、照月が18ホール食べた所で、伊勢からストップが入った

 

アタフタしながら土下座する伊勢は半泣き状態だ

 

「私、まだ3つしか食べてないんだけど⁇」

 

「たいほうよっつ‼︎」

 

「僕も4つ‼︎」

 

「照月は…えと、えと…18ホールと、36個だけです‼︎」

 

「「「食べ過ぎ‼︎」」」

 

「ヒイッ‼︎ごめんなさい…」

 

そう言う照月だが、下を向いた瞬間お腹が鳴った

 

「まだ食いたいのか⁉︎」

 

「…うん」

 

「まっ、後は三人で楽しみなさい。私はそのオネムな子を連れて帰るわ」

 

俺の横では、お腹いっぱいになったたいほうがうつらうつらしていた

 

「頼めるか⁇俺はもう少し二人に付き合うよ」

 

「仕方無いわねぇ。たいほう、来なさい。おぶってあげるわ」

 

「うん…」

 

「犬、ありがと。たまにはこういうのもいいわね」

 

たいほうと叢雲が帰り、照月ときそが残る

 

「しかしまぁ、綺麗に食べたもんだ…」

 

照月の前に置かれたお皿は、どれも綺麗になっている

 

「きそ、まだ入るか⁇」

 

「うん。その為にちょっとだけにしたんだ」

 

「うぅ…ごめんなさい…」

 

「気にするな。きそは次に行く方が楽しみなんだろ⁉︎」

 

「うんっ‼︎」

 


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