艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

343 / 1086
103話 ♡パーテーニショータイ♡(3)

「帰って来た‼︎」

 

中枢から戻って来た二機はタイコンデロガに着艦し、五体満足の二人が降りて来た

 

「おかえりなさい‼︎どうだった⁉︎」

 

「話がある」

 

「え⁉︎ちょっ…」

 

横須賀の後ろ首を掴み、会議室に放り込んだ

 

「学校を造って欲しいんだと」

 

「深海の子達専用の⁇」

 

「そっ。今回はマジで使え」

 

「何を⁇」

 

「俺の金だよ‼︎使わないよりウンとマシだろ‼︎なんなら、俺が先生になってもいい‼︎」

 

「それ位造ってあげるわ…て言うか、それだけ⁉︎」

 

「それだけだ」

 

「はぁ〜…」

 

横須賀はその場にへたり込んだ

 

だが、へたり込んだ場所が場所で、横須賀の頭部分が、丁度俺の股の部分に来た

 

「なんだ⁇シてくれるのか⁇ん⁇」

 

「…ッ‼︎このっ‼︎」

 

俺は横須賀に襲われた

 

 

 

 

 

 

横須賀に帰り、学校を造る会議が簡潔に行われ、急ピッチで学校を造る作業が始まった

 

流石の妖精でもスグに造る事は出来ず、その日は”この余った土地にしましょう”位で終わった

 

既に日が落ち、横須賀の基地では外灯が点き始めている

 

「なにつくるの⁇」

 

「学校さ。お勉強したり、給食食べたりするんだ」

 

紐が張られた土地の前で横須賀と隊長と話していると、たいほうが頭に登って来た

 

だいぶ前からだが、たいほうが誰かの頭に乗る時、当初は抱き上げられるか、俺達がしゃがむかしていたのだが、いつからか自分で登るようになっていた

 

「たいほうもがっこういく‼︎」

 

「好きな時に行ける様にするから、たいほうも行けるぞ」

 

「やったね‼︎」

 

たいほうは俺の頭の上で喜んでいる

 

たいほうはこう見えて勤勉だ

 

きっと気に入ってくれるだろう

 

「レイっ‼︎」

 

後ろから鹿島が抱き付いて、振り向いた瞬間にこれでもかとキスを食らう

 

「心配したんですよ⁉︎」

 

「心配するな。帰る場所があるから、俺は絶対帰って来るさ」

 

「あらっ⁇隊長の受け売り⁇」

 

「そっ。嫁を貰ってから、その意味が分かった」

 

「パパのとこいく」

 

たいほうは器用に隊長の頭に移り、俺は鹿島と手を繋いだ

 

「…あら⁇」

 

手を繋いだ瞬間、鹿島はある事に気付き、一瞬レイの横顔を見た

 

すぐに視線を皆に戻し、笑顔を送る

 

「レイ、今日は横須賀に泊まりなさい」

 

「そうさせて貰おうかな…ふぁ…」

 

ここに来て、ようやく疲れが来た

 

「腹もいっぱいだし、ひとっぷろ浴びて横になるかな…」

 

「私は基地に帰る。レイ、たまには二人でゆっくりとな⁇」

 

「んっ」

 

三人と別れ、鹿島と共に宿舎へと歩く

 

「レイ。今日は一緒に寝ましょうか‼︎」

 

「あぁ…」

 

帰って来てから、レイは少し様子がおかしかった

 

表向きにはいつもの破天荒な彼だが、鹿島が握っているその手は、汗で一杯だった…

 

レイは用意された部屋に入り、シャワーを浴びる

 

その間、鹿島は台所でコーヒーを淹れながら考えていた

 

レイはあぁ見えて、内心はとても怖がりな面がある

 

だが、いつもそれを気力と、子供達を護ろうとする本能でねじ伏せている

 

今日の事だって、内心は怖かったハズだ

 

「う〜ん、生き返った‼︎」

 

レイはいつも通りベッドの端に座り、リモコンでテレビのチャンネルを色々変える

 

鹿島は机にコーヒーを二つ置き、レイの横に座る

 

「レイ」

 

「ん〜⁇」

 

振り向いた瞬間に、鹿島はレイを思い切り抱き締めた

 

抱き返すレイの手は、少し震えていた

 

「怖かったでしょう…頑張りましたね…」

 

「ま…」

 

胸元に埋まるレイは目を閉じ、鹿島に甘える様に力を抜いた

 

「俺は無敵じゃない…死ぬ時だってある…」

 

「分かってますよ…」

 

「死にたがりとか言った分際で、いざ死にそうになると、やっぱり怖い…」

 

「大丈夫…私は分かってますよっ…」

 

レイは子供に戻った様に、鹿島に甘えている

 

鹿島はそんな彼を優しく撫で、あやすように背中を叩く

 

「まゆは強いな…」

 

「久し振りに呼んでくれましたね…」

 

もう随分呼ばれていないから、忘れられているかと思っていた

 

基地にいる時だって、身体を重ねる時だって、レイは鹿島の本名を呼ばなかったからだ

 

「マーカスくんっ⁇貴方は少し無理をする癖があります‼︎」

 

「へっ…昔みたいに言うのな…」

 

「うふふっ。さぁ、もう大丈夫ですね⁉︎」

 

「ありがとう」

 

鹿島から離れ、レイは照れ臭さそうにした

 

「さっ、コーヒー飲んだら、横にな…」

 

今度はレイからキスをされる

 

「んっ…」

 

意を決した様に、鹿島は目を閉じた

 

鹿島の口に、薄っすらとタバコの匂いが入る

 

鹿島はそれを逃さまいと、自分の中に受け入れた

 

 

 

 

「うへへへへ…レイさんはパネェなぁ…」

 

「漣ちゃん、何見てるの⁇」

 

レイと鹿島がイチャコラしている様子は、漣の部屋でリアルタイムモニターされていた

 

漣の部屋には漣本人と朧、そして雷電姉妹がいる

 

「あ。レイさんと鹿島さんがプロレスしてるの⁇」

 

「鹿島さんはレイさんを足でカニバサミして、離そうとしない…良い勝負だ‼︎」

 

「おっぱい吸ってるわ‼︎」

 

「チューもしてるのです‼︎」

 

モニターの先では、いつも主導権を握っている鹿島はシュンとし、逆にレイが攻め立てている

 

「凄い動きなのです‼︎」

 

「鹿島さん、何か言ってるわ‼︎」

 

「え〜と…”痛い痛い”…”やめて下さい‼︎”…”何でやめるんですか‼︎”…だって」

 

「大人の女性は訳が分からないのです」

 

「鹿島さんもレイさんも動かなくなったわ‼︎」

 

「あっ‼︎」

 

急にモニターがブラックアウトし、漣は必死に復旧を試みる

 

「おかしい…このPCの充電は、後6時間はイケるハズ…」

 

その時、部屋の照明が落ちた

 

「暗いのです‼︎」

 

「漣ちゃん、大丈夫⁇生きてる⁉︎」

 

「生きてるよ…停電かな…」

 

「誰だぁ〜…夜更かしして出歯亀する奴は〜…」

 

「ぴゃああああああああ‼︎」

 

懐中電灯を顔に当て、駆逐艦の子達をビビらせたのはレイだ

 

夜目には慣れているので、少ない明かりで朧と電を捕獲する

 

「ヴッ…」

 

「怖いのです‼︎食べられるのです‼︎」

 

「ライトオン‼︎」

 

「オン‼︎」

 

きそが部屋の明かりを点けた

 

フィリップが横須賀にいるので、勿論きそもいる

 

きそは横須賀に帰って来て、さっきまで繁華街でおんどりゃあで色々食べていたらしい

 

ずいずいずっころばしは俺と行きたいらしく、行ってないらしい

 

「レイ、これ売っていい⁉︎」

 

「やめろ‼︎データだけ抜き出せ‼︎」

 

「そんな言い方したら、横須賀さんに渡すよ⁇」

 

「データだけ抜き出して下さい‼︎」

 

「オッケー‼︎」

 

きそは漣のPCに機材を付け、データを抜き出した

 

「二度と悪さするなよ‼︎分かったな‼︎」

 

「ヒィ。分かりました‼︎」

 

漣の言葉を聞き、二人を降ろした

 

そのまま睨みを効かせながら部屋を出て、きそから機材を取り上げた

 

「にしし…あ''っ‼︎」

 

「これは没収だ‼︎」

 

「くそっ‼︎たまにはレイの上にたちたかったのに‼︎」

 

「まだまだだな‼︎」

 

「くそ〜〜〜っ‼︎」

 

地団駄を踏むきそを連れ、帰路に着いた

 

ベッドに横になり、鹿島との間にきそを置く

 

「えへへ…レイと寝るのって、結構珍しいよね⁇」

 

「早く寝ないとダズル☆マン呼ぶぞ⁉︎」

 

「分かった分かった‼︎おやすみ‼︎」

 

俺は二人の寝顔を見た後、ようやく目を閉じた…

 

 

 

 

 

学校の建設が開始されました‼︎


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。