艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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さて、コラボ依頼が届きましたので、私も書こうとおもいます

このお話は、”異色の提督、鎮守府に着任ス!”と言う、この物語の三次創作のストーリーと繋がっております

是非そちらの方もご覧下さい


コラボ回その1 雨降る街の片隅で

今度は俺と隊長同時に休暇が出た

 

艦娘居住区で数日過ごせと言われた

 

理由は簡単

 

いつか自分達が暮らす家や土地を、今から少しずつ慣らしておく為らしい

 

ま、俺は何処にも行くつもりは無いけど…

 

それに、艦娘居住区と言われる場所をじっくり見てみたい

 

艦娘達は順を追って数人送られて来るらしい

 

武蔵、たいほう、きそ、霞は、既に向かっている

 

 

 

 

 

横須賀でジープをパクり、乗った瞬間、互いにタバコに火を点ける

 

そばにいた整備士達が手を振り、俺達は手を振り返した

 

「人気者もっ、たまには良いもんだなぁ⁇」

 

「嫁が追っ掛けて来てるぞ⁇」

 

サイドミラーを見ると、後ろから横須賀が追いかけて来た

 

「コラァー‼︎ちゃんと許可書書いたのー⁉︎」

 

「隊長、ダッシュ‼︎」

 

「掴まってろ‼︎」

 

隊長はニュートラルからドライブに切り替え、急発進でジープを出した

 

「もぅ…相変わらずあの二人はパクり癖があるんだから…」

 

 

 

 

しばらく揺られていると”艦娘居住区”と書かれた看板が出て来た

 

「ここが艦娘居住区かぁ…結構普通なのな」

 

「もっと近代的だと思ってたか⁇」

 

「いんや。もっと隔離されてる場所かと思ってた。一回だけ来た事あるけど、夜中だったしな…」

 

「中々良いもんだぞ、平和な街ってのも…」

 

「結構栄えてるじゃないの」

 

少し先には大型スーパーがあり、今通っている商店通りもまぁまぁ人通りがある

 

そこから数分すると、隊長の家に着いた

 

「ここが俺の家だ」

 

「一戸建て買ったのか⁉︎」

 

「艦娘からのプレゼントだってよ」

 

「いいねぇ…憧れの一戸建てだ」

 

「心配しなくていい。あぁ、伊勢‼︎」

 

隊長は車から降り、誰かと話し始めた

 

伊勢と呼ばれた女性は振袖から何かを取り出し、隊長に渡した

 

「ホラよっ‼︎」

 

車から降りた瞬間の俺に、隊長は何かの鍵を投げた

 

「お前の家の鍵だ」

 

「マジか⁉︎俺、ここに住んでいいのか⁉︎」

 

「当たり前だ。だから連れて来た」

 

「ささ、此方へ‼︎」

 

伊勢に案内され、自分の家の鍵を開けた

 

「まぁ…家具は最小限しか揃ってませんが、最低限の暮らしは可能ですよ⁉︎」

 

家は二階まであり、かなり広い

 

「本当にいいのか⁇」

 

「えぇ‼︎私達からのプレゼントです‼︎」

 

こんな上等な家を用意されたら何も言えなくなる

 

それに、この雰囲気も気に入った

 

初めて見たよ、円形になって並んでいる住宅って

 

中心は広場になってて、艦娘の何人かはそこで話したり遊んでいる

 

「…時々帰って来る」

 

「その鍵はお渡ししておきますね‼︎」

 

「でた。たいほう達だ」

 

な〜んか雲行きが怪しい

 

「隊長、たいほう探しに行こうぜ⁉︎」

 

「そうだな。雨降りそうだしな」

 

俺と隊長は商店街に戻り、たいほう達を探し始めた

 

 

 

 

「降って来たか…」

 

ポツポツと雨が降って来た

 

こんな通り雨の日は、あの日を思い出す

 

「ふっ…思い出すか⁇」

 

「やめてくれ…」

 

「ホラっ」

 

隊長は俺に傘を投げた

 

俺は過去に一度だけ、隊長に逆らった事があった

 

別に裏切るとかでは無い

 

若気の至りで、どうしても自分の腕を確かめたかった俺は、任務が終わり、制空権が確保された空で隊長に模擬戦を挑んだ

 

結果は勿論惨敗

 

この人には勝てないと実感させられた

 

その日も、こんな通り雨が降っていたのを、今でもハッキリ覚えてる

 

「おっ⁇いたいた‼︎」

 

シャッターが閉められた店の軒先に、何人か束になって雨宿りをしていた

 

たいほうに至っては、誰かに抱かれている

 

「すてぃんぐれい‼︎」

 

「遅いわよ‼︎」

 

俺を見掛けるなり、誰かに抱き付いていたたいほうと霞は、俺に抱き着いて来た

 

「あらあら。二人共甘えんぼさんね」

 

「アンタは…」

 

「みほ…すまんな、面倒見てくれて」

 

みほ…

 

聞いた事がある

 

彼女もまた引退した艦娘の一人

 

隊長と恋仲になっていたとの噂がある奴だ

 

「この人が二人を見つけてくれたのよ⁇」

 

「どうも」

 

パッと見て分かった

 

こいつ、タダ者じゃない…

 

相当数の修羅場を掻い潜って来ている目付き、風貌…

 

俺は彼を睨み返し、その場で一瞬臨戦態勢に陥る

 

「俺はマーカス・スティングレイ。よろしくな。アンタは提督か⁇」

 

「そんな感じだ。俺は真壁ユウだ」

 

「ま、ま、マーカス・スティングレイ⁉︎」

 

「マーカス・スティングレイですって⁉︎」

 

横にいた男と、貧乳の女の子が反応を示した

 

「わ、私、進藤と申します‼︎」

 

「軽巡洋艦”夕張”です‼︎」

 

「そっ。俺はマーカス・スティングレイ。パイロットが生業だ、提督じゃない」

 

「存じ上げております‼︎あ、あの‼︎サイン下さい‼︎」

 

「わ、私も‼︎」

 

「お…おぅ⁇」

 

訳が分からないまま、俺は二人の手帳にサインを書いた

 

「そ、その、後ろにいるお方はもしかして…ウィリアムさんですか⁉︎」

 

「そうだけど…」

 

「私、もう死んでもいい‼︎」

 

夕張は興奮しまくっていた

 

どうやら俺達は一部で有名人らしい

 

「君達、もしかして道に迷ったのか⁇」

 

「えぇ…お恥ずかしながら…」

 

進藤は後頭部を掻いて、照れ隠しをしている

 

「ならウチへ来い。風呂と軽い飯なら用意出来る」

 

「うはっ‼︎提督、お言葉に甘えましょうよ‼︎」

 

「そうだな。じゃあ、お願いします」

 

雨も少し上がり、何とか歩ける様にはなった

 

皆で歩いている道中、CDショップのポスターに目が行った

 

加賀がCDデビューした様で、そのポスターが貼られていた

 

「ター坊の思い人も出世したモンだなぁ…」

 

「ター坊って…マーカスさん、サンダルフォン隊とお知り合いなんですか⁉︎」

 

「同期の奴がいるんだよ。破天荒だが、根は良い奴だ」

 

「凄い…」

 

この夕張と言う艦娘、いちいち驚いて面白いな

 

「あれ⁇でも高山さんは香取さんと…」

 

「あぁ、たまに一人歩きするんだ。アイツは香取先生に突っかかってただけだ。それに、香取先生は年下は眼中に無い。年増の癖にロマンスグレーがタイプだ」

 

「そう言う貴方は、鹿島教官と御結婚を⁇」

 

「そっ。夕張はまだか⁇」

 

「私はまだです‼︎」

 

夕張は手を振って否定する

 

だが、目線は提督に行っている

 

「その内振り向くさ。鹿島曰く、根性論らしい。俺も鹿島が嫌いで避けてた時期があった」

 

ここでようやくユウが口を開いた

 

「落ちた後か⁇」

 

「そっ。痛い所突くな…」

 

再び互いに睨みを効かせる

 

そんな中、夕張が話を切り替えた

 

「マーカスさんや隊長さんは、今はどんな機体に⁇」

 

「俺も隊長も特殊な機体に乗ってる。俺は”XFA-000”だ」

 

二人はキョトンとするが、進藤が何か思い出した

 

「XFA…トリプルゼロ…あ‼︎資料にあった”フィリップ”ですか⁉︎」

 

「そっ。史上初、深海側の艦載機だ」

 

「今度データを…」

 

「横須賀にデータディスクが置いてある。悪用しないなら使っていいぞ⁇」

 

「やったぁ‼︎」

 

「隊長さんは何に⁇」

 

「私は”F-15 Snow Queen”対話型IF機能とAIが付いてる。無人戦闘機にもなる」

 

「ほへぇ〜…」

 

隊長の家に着くまで、二人の質問は尽きなかった


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