艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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番外編 喉元の刃(2)

「テイトク、お客さんダヨ︎!!」

 

「どうぞ、開いてますよ」

 

「失礼します」

 

白装束の軍服か

 

何処かの提督だな

 

「今日はどちらから⁇」

 

「はっ︎!!単冠湾から参りました︎!!」

 

「要件は⁇」

 

「はっ︎!!こちらで資源と資材をお借り出来ると聞きまして︎!!」

 

「いかほどかな⁇」

 

「各資源を25000、資材300、建造材50です︎!!」

 

「良いだろう」

 

「本当ですか︎!?ありがとうございます︎!!」

 

「そこに座れ。俺は今ティータイム中だ」

 

「も、申し訳ありませんでした」

 

「提督、嬉しそう」

 

「そうネ〜…ナンデ資源とかを貸す時、楽しそうにするんダロ⁇」

 

「単冠湾の提督さん」

 

「は、はい︎!!」

 

「あの資源の量だ。大方、何かを建造するんだろ⁇」

 

「あ…その…大鳳を…」

 

「そうか…道は長いぞ⁇」

 

「だ、大丈夫…です」

 

私の前では、大鳳がキョトンとしている

 

「君がいっぱいいるって事だ」

 

「私が…いっぱい…」

 

そう

 

私は戦う事を自分からやめた

 

今はこうして時々やって来るはぐれの深海凄艦を倒しつつ、不必要な位に溜まった資源達を他の鎮守府や泊地、はたまた基地に無担保で貸している

 

空ではいつも喉元に突き付けていた刃を

 

今度は私が突き付けられる番だ

 

 

 

最初の頃は建造位はしたさ

 

建造で始めて出たのが金剛

 

そして大型建造で始めて出たのが大鳳

 

 

運が良いと言う奴が大勢いるが、ご所望なら開発ドックも修復ドックいつも空いている

 

たまに自分のドックがいっぱいになって、修復ドックを借りに来る提督がいるが、開発ドックも使って貰って構わない

 

妖精達が暇をこいてるからな

 

 

 

「金剛も大鳳も、凄く熟練されてますね」

 

「ここには俺を含めて三人しか居ないからな」

 

「か、艦娘二人ですか︎!?」

 

「ここには必要無い。時折やって来るはぐれを倒せば、仕事は終わり」

 

「何か特別な事情が⁇艦娘を失いたくない…とか」

 

「戦争に飽きた…が、一番近いかな⁇」

 

「貴方…もしかして…」

 

「大体合ってるかな⁇君の想像は」

 

「やっぱりだ︎!!こんな所でお逢い出来るとは︎!!」

 

「提督、有名人なのですか⁇」

 

彼の目は輝いていた

 

こんなに若々しい目は、久しく見た

 

「そりゃあもう︎!!空軍のエース中のエースパイロットですよ︎!!」

 

「あぁ、それであの”艦載機”を…」

 

「言わなかったか⁇」

 

「少しだけなら。時々空に帰りたいって言ってましたし」

 

「何故空軍に復隊しないのですか⁇」

 

「戦争に飽きた。それだけだ」

 

「ふふふっ」

 

大鳳が不敵に笑う

 

「可笑しいか⁇」

 

「いえ…貴方らしいな…って」

 

「ま、とにかくだ。君は資源と資材を借りる。お前達は…そうだな」

 

こういう時に、二人をどうしていいか分からない

 

ただただ後頭部を掻くだけ


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