艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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101話 横須賀鎮守府秋祭り”れーべとまっくすのかちわり氷編”

「今日は一段と騒がしいなぁ。なぁ、提督」

 

「そうだな。年に何回かしかないお祭りだからな」

 

そう言う武蔵の頭には、れーべが乗っている

 

「…何か置いておかないと落ち着かないんだ」

 

「いつもたいほう乗ってるもんな」

 

武蔵と話していると、まっくすが服の裾を引っ張って来た

 

「私も」

 

「よしよし…よいしょ‼︎」

 

「高い」

 

と、なると残るははまかぜ

 

「私は手がいいです」

 

はまかぜと手を繋ぎ、祭りの散策を開始する

 

グラーフはミハイルとUちゃんの三人で散策

 

ローマと雲龍はまつり警護兼食べ歩き

 

鹿島は迷子センターにいる

 

後でレイと回るらしい

 

「提督よ。アレ、得意だったな」

 

「輪投げか。リベンジするか⁇」

 

「うぬ」

 

相変わらず金髪の女の子が店番をしている輪投げ屋の前に立ち、200円を渡す

 

「三回投げるっぽい」

 

輪を渡され、武蔵は狙いを定める

 

「うりゃあ‼︎」

 

武蔵は輪を3つ同時に投げ、それぞれ見事景品に入った

 

かなり命中精度が上がっている

 

「凄いっぽい‼︎アンティークの写真立てとジュリ扇と夕立のCDあげるっぽい‼︎」

 

「んっ。ありがとう」

 

景品を袋に入れて貰い、輪投げ屋を後にする

 

「提督よ。これは何だ⁇」

 

武蔵が持っているのは、先程取ったジュリ扇

 

どうやら武蔵は扇子と思って取ったらしい

 

「随分懐かしい物だな」

 

「バブルの時、お立ち台に立ってそれ持って踊る」

 

答えたのはまっくすだ

 

「知ってるのか⁇」

 

「教科書で見た。日本が最高に良かった時」

 

まっくすの知識は大体合っているが、どこか偏っている

 

「パパ、アレは何⁇」

 

れーべが反応を示したのは、かちわり氷の出店だ

 

「ジュースなの⁇」

 

「冷たくて美味いぞ。買ってみるか⁇」

 

「うんっ‼︎」

 

「私も欲しい」

 

二人を降ろし、小銭を持たせて買いに行かせた

 

「はまかぜは⁇」

 

「私はアレがいいです」

 

二つほど離れた所にベビーカステラの出店があった

 

「買っておいで」

 

「ありがとうございます」

 

はまかぜにも小銭を持たせ買いに行かせる

 

「買って来た‼︎」

 

「味はメロン」

 

二人は再び私達の肩に乗り、互いにつむじ辺りにかちわり氷の袋が当たる

 

「冷たい⁇」

 

「うぬ。気持ちがいいな‼︎」

 

「パパ飲む⁇」

 

目の前にかちわり氷の袋がぶら下がる

 

「どれっ…」

 

言葉に甘えて、少し頂く

 

メロン味のシロップがキンキンに冷えてて美味しい

 

はまかぜを迎えに行く時、別行動していた照月と秋月に出逢った

 

照月の手には、大きな紙袋が片手に2つ、計4つ握られていた

 

「おいひ〜‼︎」

 

中身はベビーカステラの様で、袋を上向きにして、雪崩の様に掻き込んで行く

 

「うわ〜…凄い食べ方…」

 

「駄菓子でもあぁは行かない」

 

れーべとまっくすの開いた口が塞がらない

 

「照月、もう食べるの止めにしたら⁇」

 

「照月、まだお腹鳴ってるよ⁇次アレ食べる‼︎」

 

向かって行ったのは、たこ焼きの出店

 

二人から目を離した瞬間「8パック下さい‼︎」と、聞こえたが、聞かなかった事にしよう

 

「提督よ。射的は得意か⁇」

 

「まぁまぁかな⁇」

 

「では勝負だ‼︎二回頼む‼︎」

 

唐突に武蔵に射的用の銃を渡され、射的が始まる

 

「パパ、あのおままごとセット狙う」

 

「武蔵、カレーセット取って‼︎」

 

各人、言われた物を一撃で取る

 

「やるな、提督」

 

「武蔵もな」

 

二発目は動物のオモチャを取り、最後の一発

 

「最後は金券狙う」

 

「ゲームソフトだ‼︎」

 

頭に乗った二人は、結構無理難題を言って来た

 

「行くぞ提督‼︎」

 

「あぁ‼︎」

 

だが、結果はハズレ

 

一回100円で、1000円の金券やゲームソフトが落ちる訳が無かった

 

「引き分けだな…」

 

「最後はキツかったな…」

 

「これで遊べる」

 

「ありがとう、武蔵‼︎」

 

頭に乗った二人は嬉しそうにしている

 

「買って来ました」

 

ようやくはまかぜが帰って来た

 

既に口がモゴモゴしている

 

一旦広場に行き、椅子に座って買った物を食べる事にした

 

ある程度食べると、子供達は三人で祭りを回ると言い、それぞれにお小遣いを渡し、私と武蔵だけがそこに残った

 

しばらくすると、広場に設置されたスピーカーから爆音が流れ始めた

 

「さぁ‼︎盆踊りの前に私達と踊りましょ〜‼︎」

 

「鹿島だ‼︎」

 

その場にいた男共の視線が一斉に鹿島の方を向く

 

鹿島は何故かポールダンスが上手く、そこにいた男共を魅了して行く

 

「くねくねしてるな。さてはレイの上で鍛えたな⁇」

 

ポールダンスが終わると、鹿島は音楽に合わせて踊り始めた

 

「武蔵‼︎ジュリ扇投げろジュリ扇‼︎」

 

「お、おぅ‼︎」

 

武蔵は谷間に挿したジュリ扇を取り出し、会場にいる鹿島に向かって投げた

 

「これは…はあっ‼︎」

 

鹿島は綺麗にジュリ扇を広げ、激しいまでにダンスを踊る

 

「て…提督よ。盆踊りまで二人で回ろうか」

 

「ん。分かった」

 

ゴミ箱に食べ終わった容器を捨て、武蔵と祭りを回り始めた


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