艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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さて、100話が終わりました

シリアスな話が続きましたが、今回は明るめのお話です

いっぱい艦娘が出てくるし、もう少し続くよ‼︎

照月「楽しんで行ってね‼︎」


101話 横須賀鎮守府秋祭り ”秋月姉妹とりんご飴編”

「秋月ねぇ、秋祭りだよ‼︎」

 

横須賀で秋祭りが開かれた

 

一番喜んでいるのは照月だ

 

姉妹揃って浴衣に着替え、照月は着く前からず〜〜〜っと口が開いている

 

「隊長、行って来ても宜しいでしょうか⁉︎」

 

「行っておいで。お小遣いは持ったか⁉︎」

 

「持ちました‼︎」

 

「お兄ちゃんから貰ったよ‼︎」

 

秋月と照月はお揃いのカエルのガマ口財布を首から下げている

 

各々には、会場を一通り遊んでも余る位にはお小遣いを入れてある

 

「行っておいで。夕方には盆踊りがあるから、そこで集合だよ⁉︎」

 

「分かりました‼︎では行って来ます‼︎」

 

「行って来ま〜す‼︎」

 

秋月と照月が会場に向かい、私達も子供達を何人かに分配して回る事にした

 

「すてぃんぐれいは、たいほうとまわるの」

 

「そうだぞ。欲しいのあったら言うんだぞ⁇」

 

「あれたべたい」

 

俺の頭にくっ付いているたいほうは、早速屋台を指差した

 

「いらっしゃい‼︎焼き立て出来とるで‼︎」

 

「たいほうちゃん、ウチの広島焼き食べへんか⁉︎」

 

龍驤のたこ焼きと、浦風の広島焼きの出店

 

何故この配置にしたか分からないが、既に俺の頭にはヨダレが落ちているので、早めに食べさせた方が良さそうだ

 

「一パックずつくれるか⁉︎」

 

「はいよ‼︎」

 

「まかしとき‼︎」

 

二人は一瞬睨み合ってから作業に入った

 

「レイ、私アレしたいわ」

 

霞はクジ引き

 

「レイ、アレやりたい‼︎」

 

しおいは的当て

 

「犬。アレは何⁇」

 

叢雲はジャガバター

 

それぞれが違う方向から服の裾を引っ張り、色々とねだる

 

「霞。俺のポケットから財布出してくれ」

 

霞は言われるがまま、俺のポケットに手を入れた

 

「オウフ…違う、それは財布じゃない、ライターだ」

 

中途半端にくすぐったく、体をくねらせながら霞を引導する

 

「あったわ」

 

「とりあえずそれで好きなのして、終わったらそこの階段に来い。たいほうと食べてるから」

 

「「「分かった‼︎」」」

 

三人は各々の場所に向かい、俺は俺で焼き上がりを待っていた

 

「はいよ‼︎一個サービスや‼︎」

 

「たい焼き入れといたけぇ、あんやんとおあがり‼︎」

 

「ありがとう」

 

「ばいば〜い‼︎」

 

二人と別れ、待ち合わせ場所である階段でたいほうを降ろし、そこに座らせた

 

「どっちから食べるんだ⁇」

 

「たこやき‼︎」

 

まずはたこ焼きのパックを開け、割り箸をたいほうに渡す

 

「あぢっ」

 

パックの底は結構熱く、たいほうの膝に置いたら火傷してしまうかもしれない

 

「これをお膝に敷いて…」

 

革ジャンを脱ぎ、たいほうの膝に置く

 

そしてその上にたこ焼きのパックを乗せた

 

「熱くないか⁇」

 

「あつくないよ。ありがとう‼︎」

 

「よし、頂きます」

 

「いただきます‼︎」

 

俺はたい焼きを食べ、たいほうはたこ焼きを食べ始めた

 

「はい‼︎」

 

たいほうは二つほどたこ焼きを食べた後、割り箸でたこ焼きを掴み、俺の前に出した

 

「いいのか⁇」

 

「かしまがすてぃんぐれいにしてるの、たいほうもやりたい‼︎」

 

たいほうはみんなをちゃんと見て育っていると実感出来る瞬間である

 

「あ〜ん…」

 

「おいしい⁇」

 

「んっ、美味しいな‼︎」

 

たいほうにこうして貰うのは、俺の小さな夢だったりする

 

子供達といると、こうやって小さな夢がどんどん叶っていく

 

霞と手を繋いだり

 

しおいと素潜りしたり

 

叢雲に振り回されたり

 

幸せな家庭って、こんな感じだろうな…と、幾度も感じる

 

「秋月ねぇ、りんご飴だよ‼︎」

 

ちょうど目の前に秋月と照月の後ろ姿が見えた

 

「ほんとだ、一つ下さい‼︎」

 

「照月は〜…りんご飴二つと、三連のりんご飴一つ‼︎」

 

この時俺は、照月ならそれ位食うだろうと安易に考えていた

 

「綺麗だね〜…」

 

「そこに座って食べましょう⁇」

 

「うんっ‼︎」

 

そう言う照月の手のりんご飴は、既にビニールを剥かれ、口に入っていた

 

「おいひ〜い‼︎」

 

「てるづき、ひとくちでたべたよ⁉︎」

 

「あ…あぁ…」

 

俺もたいほうも目が点になる

 

照月の両の手に握られていたりんご飴の片方が、一口で終了したのだ

 

「たいほう、たこやきもひとくちむりだよ」

 

「ま…真似しちゃいかんぞ⁉︎」

 

秋月と照月は俺達と少し離れたベンチに座り、照月は口をモゴモゴさせながら次のりんご飴のスタンバイに入っていた

 

「あ〜んっ‼︎」

 

俺もたいほうも照月の食いっぷりに魅入ってしまう

 

ニコニコしながら、照月はりんご飴を咀嚼して行く

 

「照月⁇もうちょっと味わって食べなさい⁇」

 

「失礼だなぁ秋月ねぇ。照月の味わい方は一口で食べる事にあるんだよ⁇」

 

「こうやって、少しずつ食べるの」

 

「照月は一発がいいなぁ〜」

 

相反する二人を見て、必死に笑いを堪える

 

「てるづきはいっぱつがいいなぁ〜、だって‼︎」

 

「や…やめろ…」

 

たまに照月はとんでもない事を言う

 

間の抜けてそうな顔と口の開き方をしているが、自分の考えがあるようだ

 

「やったわ‼︎ぬいぐるみが取れたわ‼︎」

 

「ゲームのソフト‼︎」

 

「まぁ…中々美味しいじゃない」

 

三人が帰って来た

 

それぞれ満足そうだ

 

「レイ、返すわ。ありがとう」

 

「おぅ」

 

霞から財布を返して貰い、忘れない内にポケットにしまう

 

「あ、そうだ犬。きそを見たわ。何かギャラリーが出来てたわよ⁇」

 

「また何かしでかしたんじゃねぇだろうな…」

 

「T-爆弾とかは使って無いわ。座って何かしてただけよ⁇」

 

「ちょっと見回りしてくる。たいほう頼んだ。これ渡しとくから、みんなで好きな所回って来い。全部使ってもいいぞ」

 

もう一度霞に財布を渡す

 

「ちょっと‼︎レイはお金あるの⁇」

 

「俺はこっち〜」

 

俺は長財布を霞に見せた

 

「スラれないようにチェーン付きだっ‼︎」

 

「わぁ…アレンさんの造ったチェーンね⁇」

 

「切れない錆びないスラれない、この三拍子が揃ってる‼︎じゃ、行って来る‼︎」

 

「行ってらっしゃ〜い‼︎」

 

大人が誰も居なくなったら、たいほうは霞に任せるのが一番良い

 

ほんとはきそや武蔵が良いんだが、当のきそがギャラリーを集めているのでは話にならない

 

しばらく歩くと、確かに異様にギャラリーが集まっている場所が見えた




照月「照月は一発がいいなぁ〜」

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