艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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こちらも番外編です

こっちは、本編の元になったお話です

最初は金剛=サンがメインヒロインでした

お気付きの方もいらっしゃるかと思いますが、ほんの少しだけ元ネタがエースコンバットのシーンがあります

本編にも、ほんの少しだけあるのかな??

興味のある方は探してみて下さい


番外編 喉元の刃(1)

人里離れた海の上

 

そんな海に浮かぶ、小さな島にその基地はあった

 

 

「テイトクゥ〜︎!!」

 

「お茶の相手ならしないぞ」

 

「んもぅ、つれないデスね〜」

 

金剛の誘いを気にもせず、机の上の本を見ていた。

 

「テイトク〜」

 

「後でな」

 

「テイトクゥ〜」

 

私の服を引っ張り、催促を続ける彼女

 

まるで駆逐艦の娘が私に褒めて欲しがる時の様に振り向くまで延々と続けるつもりだろう

 

「金剛」

 

「ハイっ︎!!」

 

「大鳳を呼んで来てくれ」

 

「うぅ〜」

 

イヤイヤ部屋を出て行った彼女

 

申し訳ないとは思っている

 

すまない、コレが終われば、幾らでも付き合ってやるからな…

 

「お呼びでしょうか⁇」

 

「コレを見てくれ」

 

大鳳に手渡したのは、先程の資料

 

「最新鋭の艦載機だ。どうだ⁇載せられるか⁇」

 

「こんな機体、載せた事は…」

 

「焦らなくていい。念頭に入れてくれれば、それでいい」

 

「分かりました。少し考えてみます」

 

一礼した後、大鳳は部屋を出て行った

 

「ん〜〜〜︎!!」

 

「そこに居るのは分かってるぞ、金剛」

 

「浮気デスか︎!?」

 

「じきに分かるさ。さて、喉が渇いたな」

 

そういうと、彼女の顔が一気に明るくなった

 

「ティータイムにするデース︎!!」

 

最近買ったばかりのティーセットの周りが、一気に騒がしくなって行く

 

そんな彼女の姿を私は、いつも眺める

 

この時間が、好きなのかも知れない

 

「こっちはテイトク、こっちはタイホー、で、コレがワタシデース︎!!」

 

楽しそうにお茶菓子を並べている彼女を余所目に、タバコに火を点け、ふと空を見た

 

「金剛」

 

「なんデスか⁇」

 

「ティータイムは少し待て」

 

「え〜なん…」

 

金剛が拗ねかけた時、数発の砲撃音が聴こえた

 

「ワァーオ︎!!一体なんデス︎!!」

 

「敵機2、特攻する気か︎」

 

「み、見えるデスか︎!?」

 

「空は第二の故郷みたいなもんだからな」

 

「い、行ってくるデス︎!!」

 

「待て、待機しろ」

 

「なっ︎!!ナゼデスか︎!?」

 

「大鳳、艦載戦闘機を発艦させろ。方位120」

 

《了解、戦闘機発艦︎!!》

 

数機の戦闘機が、敵機に向かって行き、何回か機銃の音が聴こえた後、艦載機は帰還に入った

 

《隊長、敵機破壊を確認しました》

 

「はぐれか⁇」

 

《えぇ、どうやら帰る場所をなくして、辿り着いたのがここみたいでした》

 

「分かった。とりあえずお茶にしよう」

 

《分かったわ》

 

「待たせたな、金剛」

 

「てっきり無下にされてたのかと」

 

「んな訳無いだろ」

 

「大鳳、帰還しました」

 

「座れ座れ」

 

「さ︎!!ティータイムにするデース︎!!」

 

三人だけの、おごそかなお茶会が始まった

 

「あ、美味しい」

 

「ま、金剛が淹れたからな。俺は精一杯やって湯を沸かすのがいっぱいいっぱいだ」

 

「こうして3時にティータイムするのが日課ネ」

 

「…淋しくないか⁇」

 

「え⁇」

 

「ワッツ⁇」

 

「いや、独り言だ」

 

そう、お茶会はいつも三人

 

どんな時でも、何があろうとも、三人なんだ

 

第一艦隊の金剛

 

第二艦隊の大鳳

 

第三、第四艦隊はいつも空いている

 

建造や開発が出来ない位、資源が無い訳じゃない

 

むしろ開発資材や高速建造材も持て余してるくらいだ

 

でも、これで良いんだ

 

戦う必要なんて、俺達には無いはずだ

 

戦闘もしない

 

演習もない

 

遠征も行かせない

 

なら、俺は何故こんな所にいるか⁇と、疑問が湧く

 

答えは一つだ

 

俺のやり方に文句があるなら、空へ帰らせろ

 

頭の中で独り言を言っていると、扉を叩く音がした


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