艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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さて、95話が終わりました

今回からまた日常回に戻ります

今回のお話は、Warspiteが出てきたり、子供達が出てきたりと、結構ほのぼの系のお話です


96話 シンデレラと合鴨の行進曲(1)

ようやくWarspiteが基地に来た

 

彼女も彼女で、みんなの名前を覚えている

 

大体の子供の名前を覚えた時点で、事件は起きた

 

「よいしょ…貴方のお名前は⁇」

 

「わぁ」

 

Warspiteがソファに座ると、足元にいたたいほうを抱き上げ、膝の上に置いた

 

たいほうはミニカーに夢中だったが、ちゃんと彼女の目を見ている

 

「あたしたいほう‼︎」

 

「まぁ‼︎貴方が”てぃーほう”なのね‼︎ウィリアムから聞いてましたよ‼︎」

 

「てぃーほう」

 

発音が良すぎる為、どうしても”てぃーほう”と聞こえてしまう

 

「てぃーほうは、どんなお菓子が好きですか⁇」

 

「たいほう、むさしのおいものおやつすきなの。おいしいんだよ⁇」

 

「ふっ…たいほうは気に入ってくれた様だ…良かった」

 

「武蔵は揚げ物上手だからな。はまかぜは煮物、グラーフと鹿島はオヤツ」

 

「うぉーすぱいとは、なにつくる⁇」

 

たいほうはWarspiteの膝の上でゴロゴロしている

 

もう彼女に懐いている

 

「私は…そうね”オムスビー”を向こうで作ったり、後はパンを練って焼けますよ⁇」

 

「おむすびー」

 

「てぃーほうはオムスビー好き⁇」

 

「うんっ‼︎こんぶと、きゃらぶきがすきなの‼︎」

 

「キャラー…ブキ⁇」

 

「山菜の一種だよ」

 

俺達も夜につまみとして食べる事があるので、冷蔵庫の中にきゃらぶきはあった

 

「ほらっ」

 

小皿にきゃらぶきを少し乗せ、Warspiteの前に出すと、彼女は口を開けた

 

よくよく考えれば、たいほうで手が埋まっている

 

「マーカス。手で良いですから…」

 

「んっ」

 

Warspiteの口にきゃらぶきを入れると、美味しそうに咀嚼し始めた

 

それにしても、少し当たっただけだが、柔らかい唇だ…

 

「見た目は微妙だけど、味は良いわ‼︎」

 

「たいほうもちょうだい‼︎」

 

「二人でわけわけして食え」

 

二人に小皿を渡し、俺は元の席に戻って来た

 

横では照月がタブレットで何か見ていた

 

「何見てるんだ⁇」

 

「合鴨の飼い方‼︎可愛いなぁ〜…」

 

照月は合鴨の動画に夢中だ

 

「合鴨位なら飼えるかもな」

 

「ホント⁇」

 

「隊長に聞いてきてやるよ。命の大切さを学ぶには大事な事だ」

 

 

 

 

10分後…

 

「許可が下りたので、農家に買いに走ります」

 

「今から⁉︎」

 

「行って参りまする」

 

照月に見送られ、俺はフィリップと共に基地を飛び立った

 

「田舎ならどこでも良いと思うんです、はい」

 

《何かレイ壊れてない⁇》

 

「いやな、ぶっちゃけ言ったしりから代金渡されると思って無くてな」

 

俺の内ポケットには、封筒に入った数枚の万札が入っている

 

隊長に合鴨を飼いたいと言うと、子供達に色々教えるから、今の内に買って来いと言われて、基地を飛び立ったのだ

 

《ははははは‼︎まぁ、事情は分かったよ。マップから合鴨農家を探すから、ちょっと待ってて⁇》

 

数秒後、フィリップのモニターに地図が出た

 

《三重県の農村地帯に合鴨農家があるね。行ってみる⁇》

 

「近くに空き地はあるのか⁇」

 

《大っきい空き地があるから多分大丈夫だよ‼︎》

 

「まっ、行くだけ行ってみるか…」

 

山を幾つも越え、あっと言う間に風景が田舎に変わった

 

《うわぁ〜…綺麗…》

 

「中々の絶景だな」

 

上空から見下ろす農村地帯は素晴らしい風景だ

 

これだからパイロットは辞められない

 

《あったあった。降りるよ〜》

 

空き地にフィリップを降ろし、俺が出る前には、きそが下で待っていた

 

「いい空気だね。はぁ〜」

 

「はぁ〜」

 

きそも俺も深呼吸をしてから、辺りを見回した

 

「な〜んもねぇな」

 

「上から見えたけど”わらびもち”って書いてある場所があったよ‼︎」

 

「わらび餅か。久しく食ってないな…合鴨買ったら食うか⁇」

 

「わらび餅って美味しい⁇」

 

「美味しいぞ、冷たくてプルプルしてるんだ」

 

「えへへ…楽しみだね‼︎」

 

きそと手を繋ぎ、合鴨農家を目指して少し歩く


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