艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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95話 シンデレラ奪還作戦(3)

「ち、地下だ‼︎頼む、やめてくれ‼︎」

 

「足が痛いか」

 

「い…痛い…」

 

「死にはしない。やった事をそこで反省してるんだな」

 

場所を聞いた以上、上に行く必要性は少なくなった

 

それに、足音が多くなって来た

 

「レイ、無駄に死人を増やさないでおこう」

 

「よしっ、下だ‼︎」

 

階段を駆け下りながら、登って来る相手を撃つ

 

下に行くに連れ、人が増えて来た

 

「甘いわ‼︎」

 

レイは的確に相手の足を撃ち抜き、確実に動きを封じて行く

 

私はレイの後方で援護射撃位しか出来ない

 

それ程までレイは強い

 

「隊長‼︎レイっ‼︎」

 

「横須賀だ‼︎」

 

横須賀の声が聞こえた扉に近付いた瞬間、左側から数人纏めて重武装した連中が出て来た

 

「レイ‼︎伏せろ‼︎」

 

「邪魔‼︎」

 

今まで拳銃だけで来ていたレイが、ようやくライフルを放った

 

だが、相手の足元の床に撃った為、相当量だが、煙が出ただけだ

 

「今だ‼︎」

 

扉を開けると、吊るされた横須賀がいた

 

「レイっ‼︎」

 

「何やってんだマヌケ‼︎」

 

鎖を外し、へたり込んだ横須賀の背中をさすった時、異変に気付いた

 

相当怯えてる…

 

「もう大丈夫だからな」

 

「うん…ありがと。私、戦えるからWarspiteを‼︎」

 

「行くか」

 

「あぁ」

 

私の後ろでは、数人の男が倒れていた

 

「隊長もよっぽどの鬼神だぜ…」

 

「ふっ…撃って来たから叩いただけだ」

 

廊下には、クーデターを起こした男達が大量に倒れていた

 

それらを蹴り飛ばしながら部屋を確認して行くと、倒れていた男が一人目を覚ました

 

「姫は何処だ」

 

気付いたのは横須賀だ

 

「その部屋の中だ…」

 

「これは貰うわ」

 

男の腰からピストルを取り、撃鉄を落とした

 

「一気に行くぞ…相手に死人が突き進むんだ。いいな⁇」

 

「了解。空と一緒だな」

 

「了解です」

 

「行くぞ‼︎」

 

扉を蹴破ると、此方に気付いた敵が一斉に此方を向いた

 

「邪魔だ‼︎」

 

「どきなさい‼︎」

 

やはりこの二人は強い

 

一瞬で敵が片付いて行く…

 

部屋の奥に行くと、ベッドの周りに男が集まっていた

 

中央には、目隠しされたWarspiteが両腕を縛られた状態で寝かされていた

 

「誰だ貴様等‼︎」

 

「遅い‼︎」

 

三人いた男が一瞬で倒れる

 

「へへへ…ただのピストルじゃねぇぜ‼︎マシンピストルだっ‼︎」

 

「姫確保‼︎」

 

「その声…ウィリアムですか⁉︎」

 

「そうです‼︎マーカスとジェミニも居ます‼︎」

 

「私は良い部下を持ちましたね…」

 

「さぁ、出ま…」

 

横須賀と共に姫の体に触れた時、違和感を感じた

 

「ウィリアム、私、体の至る所に生温かい物が付いているのですが…」

 

横須賀と顔を見合わせ、互いの手に着いた物を見た

 

「…心配要りませんよ。お風呂に入りましょう‼︎」

 

「お風呂があるのですか⁇」

 

「あります。外は少し悲惨な状況なので目隠しはそのままにしておきますね⁇」

 

「えぇ」

 

横須賀と共に部屋を出ようとすると、レイが何かに気が付いた

 

「二人共、姫を連れて脱出してくれ。俺はチョットやりたい事がある‼︎スカイラグーンで落ち合おう‼︎」

 

「分かった‼︎早く来るんだぞ‼︎」

 

「横須賀、俺のジェットスキーを使え‼︎」

 

「分かったわ‼︎早く来るのよ‼︎」

 

レイは頷き、何処かに走って行った

 

 

 

 

「さ〜てっ‼︎おっ、あるあるぅ‼︎」

 

俺が来たのは、大量の資源を置いておく場所だ

 

格納する為のハッチを開くと、イ級達が見えた‼︎

 

「レイキタ‼︎」

 

「タスケタ⁉︎」

 

「ジェットスキーアルヨ‼︎」

 

「お前ら‼︎腹減ったか⁉︎」

 

「オナカスイタ‼︎」

 

「ネンリョウノミタイ‼︎」

 

「ダンヤクモタベタイ‼︎」

 

イ級達の言葉を聞き、ドラム缶を一つ構えた

 

「行くじょ‼︎」

 

「ヤッター‼︎」

 

「二段目‼︎」

 

「オイチイオイチイ‼︎」

 

「ラスト‼︎」

 

「ネンリョウスキスキ‼︎」

 

それぞれの口にドラム缶が入り、それを噛み砕いて中の燃料を飲んで行く

 

「弾薬はいるか⁉︎」

 

「ホシイ‼︎」

 

「タベタイ‼︎」

 

「チョウダイ‼︎」

 

「ホラッ…よっ‼︎」

 

眼下では弾薬を美味しそうに食べるイ級達がいる横で、隊長達がジェットスキーで脱出した

 

「誰か俺をスカイラグーンまで運んでくれないか⁉︎」

 

「イイヨ‼︎ボクニノッテ‼︎」

 

先頭にいたイ級に飛び乗ると、三人はスカイラグーンに進路を向けた

 

「オトモダチカラツウシンガキテルヨ‼︎」

 

「繋げてくれ」

 

《呉さんがそっちに遠征部隊を送ったわ。全員蒼龍送りでいいか、ですって》

 

「ヘラか。トラックさんはなんて⁇」

 

《蒼龍が腹を減らして暴れ回る前に是非‼︎って言ってるわ》

 

「じゃあお願いしよう。もう少し仕事がある。呉さんにありがとうって言っておいてくれ」

 

《分かったわ。早く帰って来なさいよ》

 

無線が切れ、ヘラが帰って行くのが見えた

 

 

 

スカイラグーンに着くと、ジェットスキーが二台停まっているのが見えた

 

「ツイタ‼︎」

 

「オツカレサマ‼︎」

 

「ゴハンタベル⁉︎」

 

「そうだなぁ…まずは風呂だ‼︎」

 

「ボクタチマタクル‼︎」

 

「コンドハアソンデネ‼︎」

 

「バイバーイ‼︎」

 

「おい‼︎たまには礼ぐらいさせろ…行ったか…」

 

イ級三人組はいつも通り、事が済んだら帰ってしまう

 

毎度毎度、礼が出来ない

 

ため息混じりで喫茶ルームに入ると、隊長、横須賀、そしてサッパリした姫がいた

 

「ただいま〜」

 

「おかえり、レイ」

 

「大丈夫か⁉︎」

 

「マーカス…」

 

入るなり四方八方から心配された

 

「大丈夫大丈夫。帰りはイ級達が送ってくれた」

 

「ありがとう…マーカス…」

 

「姫を助けるのは私達の任務です。礼には及びません」

 

「やっぱ不自然ね…」

 

折角助けてやったのに、横須賀はすぐコレだ…

 

「ウィリアム、マーカス、これから私は貴方がたの下に就くのです。もう敬語はいいですよ」

 

「あ、そう。なら改めて宜しく‼︎」

 

「切り替えはやっ‼︎」

 

「宜しく、Warspite‼︎」

 

「た、隊長も⁉︎」

 

「ふふっ‼︎宜しくお願いしますね‼︎」

 

 

 

大変な一日だったが、何とか救出は出来た

 

Warspiteは少し汚されたみたいだが、本人は至って気丈だし、貞操は護れて良かった

 

 

 

その日の夜、呉さんから来た報告書によると、大湊のタンカーを何者かが奪取、そして偽造された指令書で二人を連れ去り、事に至った様だ

 

話によると、佐世保の生き残りの連中らしい

 

大湊はタンカー潰されカンカン

 

横須賀も変態行為をされカンカン

 

そして呉さんに至っては、言う事の聞かない捕虜に腹を立て、捕虜をまとめた場所にT-爆弾を放り込み、自身も誤爆して更に怒っているらしい

 

威力を落として、最近試作品が配られたとは言っていたが、まだまだ改良の余地はありそうだ…

 

 

 

 

戦艦”Warspite”が、艦隊の指揮下に加わります‼︎




Warspite…お姫様戦艦

イギリスからやって来た、お姫様みたいな風貌の戦艦娘

隊長やパパが昔、大変お世話になった人で、色んな事を教えてくれた人

”空軍は嘘をつかない”

と言うのは彼女の教え

生まれつき足が悪く、車椅子に乗って移動している

こう見えてデスクワークが超☆得意

抱き着くと甘くて良い匂いがする

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