艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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さて、94話が終わりました

今回のお話は、久方振りにレイとパパが暴れます


95話 シンデレラ奪還作戦(1)

基地の執務室では、朝から私の膝の上でたいほうが一生懸命名前を覚えている

 

「うぉーすぱいと」

 

「覚えたか⁇」

 

「しんでれらみたいだね」

 

たいほうの頭の中では、Warspite=お姫様の印象が付いた様だ

 

「もうすぐ来るからな⁇」

 

「こわい⁇」

 

「怖くないさ‼︎パパの昔の先生みたいな人さ」

 

「かとりてんてーみたい⁇」

 

香取=先生の印象も強い

 

《…ちら………か》

 

無線から雑音混じりに声が聞こえた

 

「そら来た‼︎そこでジッとしてるんだぞ⁉︎」

 

「わかった‼︎」

 

たいほうにみんなが写っている書類を渡し、無線の前に座る

 

「こちら横須賀分遣隊、どうぞ」

 

《隊長⁇助けて‼︎》

 

声の主は横須賀だ

 

だが、何故か焦っている

 

「横須賀⁉︎どうした‼︎」

 

《タンカー内でクーデターです…今は隠してある無線で通信してます》

 

「状況は⁉︎」

 

無線の先でジャラジャラと金属がぶつかる音がする

 

鎖か何かで縛られているのだろうか…

 

《タンカーは隊長の基地を通り過ぎ、スカイラグーンで補給を受けようとしています》

 

無線を聴きながら、横須賀からスカイラグーンまでの予測航路を書き出し、最短で邂逅出来るポイントを探る

 

「オーケー分かった。助けに行くから、しばらく耐えられるか⁇」

 

《私は大丈夫ですが…Warspiteが別の部屋に連れて行かれました…》

 

「心配するな。姫は強い。よしっ‼︎すぐ行くからな‼︎」

 

《ごめんなさい…迷惑掛けます》

 

無線を切り、食堂に走る

 

食堂に行くと、珍しくレイが厨房に立っていた

 

「上手く焼けてるか⁇」

 

「美味しいよ‼︎」

 

「上手ですねぇ‼︎」

 

どうやらスコーンを焼いているみたいだ

 

「レイ、出動だ。横須賀のタンカーが拿捕された」

 

「了解した‼︎横須賀は中に居るのか⁉︎」

 

「あぁ。姫も居る」

 

「ならジェットスキーが良いな。三分で準備する‼︎」

 

レイはエプロンを脱ぎ、工廠へ向かった

 

私も着替えて食堂の出入り口に立った

 

「ローマ、子供達を頼む。武蔵には無線で案内してくれと言ってくれ」

 

「分かったわ。兄さん、気を付けて‼︎」

 

「すぐ戻る‼︎」

 

 

 

 

工廠に行くと、レイは自分のジェットスキーをチェックし、きそが私のジェットスキーをチェックしてくれていた

 

レイは背中にあのライフルを背負っている

 

「パパ‼︎」

 

きそに手渡されたのは、久方振りに使う、あのレバーアクションのライフルだ

 

「二台共チェックしてあるから、多少乱暴な運転しても壊れないよ‼︎補助武器はバックパックの中、後、非常用の応急修復材が3つ入れてあるよ‼︎」

 

バックパックの中には、拳銃1丁と、T-爆弾2つ、それと大きめのナイフが入っている

 

後は牛乳パックみたいな三角の紙パックが入っている

 

「パパ、レイ、この非常用の応急修復材は、普通の物より半分位しか効き目が無いんだ。その代わり、経口摂取が出来るんだ‼︎身体に振りまいても効果はあるから、使い分けを大切にね⁉︎」

 

「了解した。だからストロー付いてるんだな‼︎」

 

「武蔵と一緒に、無線を任すよ⁉︎」

 

「分かった‼︎気を付けてね‼︎」

 

二台のジェットスキーが、基地から出た

 

 

 

 

「くっ…下衆が考える様な行為ね…」

 

二人がタンカーに急行している時、横須賀は個室に閉じ込められて尋問を受けていた

 

横須賀は天井から吊るされた鎖に繋がれ、両手が塞がっている

 

数人の男に囲まれ、荒い息遣いの中、横須賀は二人が来るのを待っていた


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