艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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さて、89話が終わりました

今回のお話は、前回のお話のラストできそが言っていたセリフの意味が明らかになります


90話 つむぎびと(1)

朝早くから、麦わら帽子を被ったきそが、私の所に来た

 

「パパ、イ級のお墓掘ってもいい⁇」

 

あまりにも突然過ぎる許可入れ…

 

「墓はマズいなぁ…何かしたいなら、横須賀から…」

 

「違うんだ‼︎イ級にも新しいボティをあげるんだよ‼︎ヘラやクイーンだけじゃダメだ」

 

「そんな事まで出来るのか⁇」

 

「僕を信じて」

 

きその目は本気だった

 

嘘は無いと感じた

 

「…分かった。でも、もし出来なかったら、ちゃんと元通りにする事。いい⁇」

 

「分かった‼︎行ってきま〜す‼︎」

 

きそはスコップとデカイ瓶みたいなの台車に乗せて、イ級の墓に向かった

 

「ふぁ〜あ…おはよう〜」

 

レイが起きて来た

 

「きその声がした気がした。どこいった⁇」

 

「イ級の墓だと」

 

「墓参りとはっ…感心するねぇ。ありがと」

 

レイが椅子に座ると、いつも通りはまかぜがミルクを渡す

 

「イ級にもボティをやるんだと」

 

「今のきそならやりかねんな…」

 

しばらくそんな話をしていると、きそが帰って来たのが見えた

 

台車には土だらけになったスコップと、イ級の亡骸を入れる為の液体の入った瓶が乗っている

 

「どれっ‼︎ちょっくら覗きますか‼︎ごちそうさん‼︎」

 

レイはミルクを飲み干し、工廠に向かった

 

 

 

 

 

俺が工廠に着いた頃には、きそは建造装置の中心にイ級の亡骸を入れていた

 

「本当に出来るのか⁇」

 

「知能部分は機能停止してるね…」

 

イ級を見るきその目は本気だ

 

「でも、イ級ならまだ”機械”の体だ‼︎機械なら僕は直せる‼︎」

 

きそは建造装置を弄り、どんどんイ級の知能部分を解析して行く

 

そして数分後…

 

「よし‼︎ビンゴ‼︎」

 

俺が普段使っているパソコンのモニターに、何やら数式や文字列が表示された

 

「これがイ級の頭脳なんだね…」

 

きそが見惚れている文字列の中には、俺にも読めるものもあった

 

「オカー…シャン⁇」

 

「お母さんの事じゃないかな⁇ほら、スカイラグーンのル級さん‼︎」

 

「あぁ‼︎なるほど‼︎」

 

「これがあれば新しいボティに転送可能だ‼︎これを建造装置に送って…」

 

情報を送ると建造装置が動き始めた

 

後はスイッチを押すだけだ

 

「さ〜て、どんな感じかなぁ⁇」

 

きそはスイッチを押した

 

数十秒後、中から少女が出て来た

 

「ここは…」

 

「出た‼︎よいしょっと‼︎」

 

きそは数段の階段を飛び降り、出て来た少女に駆け寄った

 

「スゲェ…」

 

きその頭脳は、既に俺の理解を超えていた

 

流石の俺でも、死んだ奴を別のボティに入れ替えるのは無理だ…

 

「気分はどうかな⁇」

 

「あ…えと…」

 

少女はきそを見るなり、両手の人差し指を合わせてクルクルし始めた

 

恥ずかしがり屋の様だ

 

「僕はきそ‼︎こっちはレイ‼︎」

 

「あ、あの…私は…いきゅ…」

 

「君は生まれ変わったんだ。今から君の名前は”潮”。いいね⁇」

 

「潮…」

 

潮と呼ばれた少女は下を向いたが、嬉しそうな顔はしている

 

「あ、あの…おかーしゃんは…」

 


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