艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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85話 動物を覚えよう‼︎(2)

「これは”ピンゲン”だ。寒い所に住んでるんだぞ〜⁇」

 

その時、食堂にいた隊長、武蔵、ローマが此方に振り向いた

 

「これは⁇」

 

「これは”コウテイピンゲン”だ。普通の”ピンゲン”よりおっきいんだぞ⁇」

 

「れ…レイ⁇」

 

「すてぃんぐれい⁇」

 

「…レイ、これは何⁇」

 

ローマが此方に来て、一つの動物を指差した

 

「フンボルト”ピンゲン”。ピンゲンの仲間だろ⁇」

 

「何か違うな…」

 

「ぴんげん…聞いた事が有りそうで無さそうな…」

 

隊長と武蔵は頭を抱え始めた

 

俺は何か間違えた事を言ったのか⁇

 

「れ、レイ。これは何⁇」

 

ローマは違う動物を指差した

 

「イワトビ”ピンゲン”。髪型見たいなのが特徴だな」

 

「ほ、本気で言ってるの⁇」

 

「ピンゲンはピンゲンだろ⁇歩き方が可愛いんだぞ⁇」

 

「ぴんげんみたい‼︎」

 

「ピンゲン可愛いね‼︎」

 

二人は既にピンゲンという名を覚え始めている

 

「子供達が変な覚え方するわ。ちゃんと教えてあげて‼︎」

 

「俺はちゃんと教えてる‼︎これはピンゲンだ‼︎」

 

「…ちょっと待ってなさい」

 

ローマは食堂を出て、しばらくすると、ノートパソコンを持って帰って来た

 

「これを見なさい」

 

ノートパソコンら動画投稿サイトにアクセスされており、再生された動画には氷山に乗った動物が映っている

 

《これはホッキョクグマです》

 

どうやら子供向けに作られた、動物紹介の動画みたいだ

 

しばらくすると、問題の動物が映った

 

《これは”ペンギン”です》

 

「ぺ…ペンギン…だと⁇」

 

「これをどうやったらピンゲン何て覚えるのよ…」

 

「俺が間違ってたのか⁉︎」

 

「そうよ。誰に教えて貰ったの⁉︎」

 

「それは…」

 

「いやぁ〜‼︎スッキリしました‼︎」

 

背伸びをしながら食堂に入って来たのは鹿島だ

 

新作のゲームを一通り終えたみたいだ

 

「鹿島‼︎お前これ何て言う⁉︎」

 

「え⁉︎あぁ”ピンゲン”ですね‼︎可愛いですよね‼︎」

 

「いたわ、原因が…」

 

「そら見ろ‼︎ピンゲンの方がポピュラーなんだよ‼︎ぬわっはっはっは‼︎」

 

俺が鹿島のアカデミーに居た頃、一般常識を教えて貰う為に鹿島に個人教室を何度か開いて貰った

 

その時に、動物を教えて貰う事もあった

 

ピンゲンはその時に覚えた

 

「鹿島。これはペンギンよ⁇」

 

「ぺ、ペンギン何ですか⁉︎ピンゲンじゃなくて⁉︎」

 

「はぁ…貴方達、ちょっとそこに座りなさい」

 

鹿島と共にソファに座らされた

 

たいほうと照月は隊長の横に座って、ノートパソコンで動画を見ている

 

「今から見せる動物の名を答えて頂戴。行くわよ。これは⁇」

 

ローマは白黒の動物を指差した

 

「「モーモーさん」」

 

鹿島コラム…お乳が取れるこの動物は、モーモーさんと言います

 

 

 

 

「もう違う…これは牛‼︎」

 

「「牛‼︎」」

 

「…次行くわ。これは⁇」

 

次は白い鳥を指差した

 

「「ガーガーさん」」

 

鹿島コラム…白い鳥を見て、名前が分からなければ大体ガーガーさんです

 

 

 

 

「これは鶴‼︎」

 

「「鶴‼︎」」

 

「ハァ…ハァ…これはっ⁉︎」

 

ローマは息を切らしながら、体毛に包まれた動物を指差した

 

「「めりーさん」」

 

鹿島コラム…体毛に包まれた動物は、大体めりーさんで通じます

 

 

 

「もう…めりーさんは人の名前‼︎これは羊‼︎」

 

「「羊‼︎」」

 

「ふぅ…まぁ、今日の所はこれ位にしてあげるわ…疲れた」

 

動物の名前を変に覚えている癖は、どうやら鹿島にある様だ

 

「ごめんなさいね…」

 

「いいよ、別に。今からでも遅くは無い。子供達と覚えよう‼︎そうしよう‼︎」

 

「えぇ‼︎私も覚えます‼︎」

 

「すてぃんぐれい、たいほうぱんだすき‼︎」

 

「照月はゾウが好きです‼︎」

 

「よし、おいで‼︎一緒に覚えよう‼︎」

 

隊長の所に居た二人が戻って来た

 

再び二人を膝の上に座らせ、照月の口を閉め、今度は鹿島も一緒に図鑑を見始めた

 

「提督よ。あれが家族の形なのだな」

 

武蔵と隊長が嬉しそうに此方を見ているのが、図鑑を見ていても分かった

 

「レイは理想の旦那さんだな」

 

「私達も、いつか子を持てると良いな…」

 

「あぁ。戦争が終わったら、一人二人位は作ろうな」

 

その言葉を聞き、誰にも分からない様に、俺はたいほうを抱いた手に少しだけ力を込めた…


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