艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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さて、78話が終わりました

急な伏線回収申し訳ありませんでした

そろそろ一度、核心に触れておこうかと思いましてね

今回のお話は、みんな大好き鹿島のお薬回です

さぁ‼︎今回の被害者は誰かな⁉︎


79話 旅行鳩はショタが好き(1)

こんにちは。霞よ

 

今日は面白い事があったから、きそから借りたビデオで録画してるわ

 

あれは数時間前の事…

 

 

 

 

「ぬふふふ…出来ましたよ。素晴らしい新薬が…」

 

新設された研究室の中で、鹿島がニヤついている

 

「また変な薬じゃないだろうね⁇」

 

手伝いに来ていたきそは、机から顔を覗かせた

 

きそは身長が足らず、鼻から上しか顔が見えない

 

「いい薬ですよ、これは…ふふふっ」

 

鹿島は小瓶に薬を入れ、ポケットにしまった

 

二人で食堂に戻ると、お昼ご飯が机に並んでいた

 

「レイのご飯は…」

 

鹿島はレイのチャーハンに薬を一滴垂らした

 

数分後、レイがチャーハンを口にする

 

「…」

 

レイの口の動きが緩やかになる

 

ついでに目つきも悪くなる

 

まぁ、元々悪いけど…

 

「どうされました⁇」

 

「お前また変な薬入れてねぇだろうな⁉︎」

 

「入れてませんよ⁇」

 

「そっか。ならいい」

 

レイは薬品の類に過敏だ

 

ほんの一滴の薬品だって、すぐ様気付く

 

お昼ご飯を終えて、大体一時間が経った

 

鹿島は工廠の陰からレイの様子を眺めていた

 

「何してんのよ」

 

「あら、霞ちゃん⁉︎レイは働き者だな〜って」

 

「ふ〜ん…怪しいわね…」

 

二人でレイを眺めていると、何故か段々小さくなっていった

 

「ちょ、ちょっとレイ⁉︎」

 

「レイがショタ化した‼︎」

 

霞ときそが驚く中、鹿島だけが落ち着いていた

 

「お、お姉ちゃん達…誰⁇」

 

「僕はきそだよ‼︎」

 

「私は霞よ‼︎覚えてないの⁉︎」

 

本人は恐らくそんなつもりはないだろうが、霞は凄い剣幕でレイを怒鳴っていた

 

「びえええぇぇ〜‼︎」

 

ショタ化したレイは、普段では絶対見れない大泣きをし始めた

 

「泣いちゃった‼︎」

 

「泣いてんじゃないわよ‼︎ガキじゃあるまいし‼︎」

 

「霞‼︎今のレイは子供だよ‼︎もうちょっと優しくしようよ。ね⁇」

 

そう言いながら、きそはレイを抱き締めた

 

「大丈夫だよ〜。みんな仲間だよ‼︎」

 

「…ほんと⁇」

 

「ホントだよ⁇ほら、あの大きいお姉ちゃんがおいで〜って」

 

きそが手を離すと、レイは鹿島に近付いて行った

 

「可愛い〜‼︎レイ君、あっちでお姉さんと絵本読みましょうか‼︎二人もおいで‼︎」

 

レイを抱き上げ、鹿島は基地に戻った

 

 

 

 

そろそろ冒頭に戻るわ

 

カメラの先では、鹿島の膝の上で絵本を読んで貰っているレイがいる

 

「だ…誰⁉︎」

 

パパがようやく気付き、レイは鹿島にしがみ付く

 

中々シュールね…ふふふっ

 

「レイですよっ。ちょっと小さくしてみたんです。小一時間したら効果は切れますので…」

 

「へぇ〜、可愛いもんだな‼︎」

 

パパはレイの頬を撫で、いつも通りに頭を撫でた

 

「お…おじさん、だれ⁉︎」

 

「君の友達さ」

 

「ほぉ〜」

 

驚いた…

 

上官か隊長でくると思っていたのに、仲間だとは…

 

「鹿島デレデレだね‼︎」

 

「ショタコンなのかしら⁇」

 

陰からコソコソしているのは、勿論きそと私

 

「なにしてるの⁇」

 

背後から急にたいほうが現れた

 

私達も大概低身長だが、たいほうはそこから頭一つ分小さい

 

だからバレずに尾行したり、かくれんぼが神がかり的に上手い

 

「シーッ‼︎たいほうちゃん。見て、あれ誰だと思う⁇」

 

「ん〜⁇」

 

たいほうは隙間からレイ達をそ〜っと見た

 

「かしまと…パパと…ちっちゃいすてぃんぐれい…」

 

「やっぱり分かるんだね」

 

「たいほうは凄いわね」

 

「たいほうのぱいろっとなんだよ⁇」

 

自慢気に語るたいほうは、とても嬉しそうだった

 

そんな時、来ては行けない人物が来た

 

「レイ‼︎レイ〜⁇あれ、おかしいわね…大体工廠かここにいるのに…」

 

「だ…誰⁇」

 

「あらっ、鹿島の子供⁇」

 

「え…えぇ…まぁ…」

 

「レイそっくりねぇ‼︎」

 

「みたことないひとだけど…なんかいやだ…」

 

レイは鹿島にしがみ付いて離れようとしない

 

「きひひひっ‼︎横須賀さんの顔‼︎」

 

「あははははは‼︎やっぱり本能で分かるのね‼︎」

 

「すてぃんぐれい、かわいいね‼︎」

 

きそもたいほうも笑う

 

釣られて私も笑う

 

だがビデオは止めない‼︎

 

「レイはどこ⁇依頼があるのよ‼︎」

 

「今は急用で席を外してますので、明日また…」

 

「いや、待つわ」

 

鹿島の横に座り、ボーッと考え事を始めた

 

「…」

 

「おねえちゃん、やっぱりこのひとこわい…」

 

「なんですって⁉︎」

 

「ヒィーーーッ‼︎」

 

私の数倍怖い剣幕で、横須賀さんはレイを怒鳴り睨み付ける

 

レイは鹿島に埋もれる

 

恐怖心からか、体がプルプル震えている

 

「横須賀さんっ⁇相手は子供ですよ⁇」

 

「あぁ…ごめんなさい…」

 

「たいほうちゃん、レイを連れて来れる⁇」

 

「わかった」

 

完全に怯えてしまったレイを見て、たいほうは部屋に入った

 

「たいほうとあそぼ⁇」

 

「…うん」

 

たいほうは涙目になったレイを連れて来た

 

「おやつたべるの」

 

たいほうはキッチンの床下収納からグミを取り出し、レイと一緒に食べ始めた

 

「いつもと逆ね」

 

「おいしい⁇」

 

口を尖らせているたいほうは、レイの手元を見ながら自分もグミを食べる

 

いつもレイやパパが聞いている言葉を、今日はたいほうが言っている


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