艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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さて、74話が終わりました

今回のお話では、きそにある疑惑が掛かり、とある秘密も判明します

単発ダズルよ‼︎


75話 きそ、ゲーヲタ疑惑

「ここはこうして…」

 

哨戒任務無し

 

出撃命令無し

 

工廠は…たまには休みだ

 

隊長に至っては、外でサーフィンしている

 

呑気な基地だぜ、全く

 

そう言う俺も、自室で寝転びながら漫画を読んでいた

 

腹の上にはきそが居て、あれはなんだ、これはなんだと聞いて来る

 

読んでる漫画は、黒い鎧を着た主人公が冒険をする話だ

 

長年続いているが、未だに終わりが見えない

 

まっ、それが面白味の一つでもあるけどな…

 

「回復は…これか」

 

さっきから鹿島がボヤいている

 

「何やってんだ⁇」

 

「人斬りサイボーグのゲームです。中々難しくて…」

 

「どれ…」

 

鹿島は四足歩行の機械と戦っている

 

中々面白そうだ

 

「回復が難しいんですよね…あ、やられた」

 

「僕にもやらして‼︎」

 

「はいっ」

 

きそはコントローラーを受け取り、まずは説明書を見た

 

「接近されたらこう…敵が怯んだらこう…よし、分かった‼︎」

 

説明書を戻し、コンテニューする

 

「オッケー、大体動きは読めた」

 

きその操るサイボーグは、画面上でバッサバッサと敵を斬って行く

 

鹿島があれ程苦戦していた四足歩行の機械も、なんか時間が緩やかにする能力で簡単に倒した

 

「ぬっふっふっふ…」

 

「きそちゃん、貴方ゲーマーの素質がありますよ⁉︎」

 

「僕はアクションよりパズルの方が好きかな⁇」

 

「そういや、きそのタブレットに入ってるパズルのゲーム、レベルカンストしてたな⁇」

 

「うんっ‼︎フィリップの中に入る時も時々してたんだ‼︎」

 

みんなは覚えているだろうか

 

きそは美少女剣士が好きなのを

 

あのフィギュアだって、新しく出来たきその部屋に綺麗に飾ってある

 

美少女剣士で気付いたが、きそは何故か艤装より剣が好きだ

 

中々筋も通っている

 

隊長が剣道、ラバウルさんがフェンシングの達人だが、きそは何度も負かしている

 

体格差もあるが、きそは剣を振るのが速く、パワーもある

 

意外にも二人は力押しで負けている

 

唯一負けたのがプリンツだ

 

プリンツは喧嘩殺法なので、中々手が読めないらしい

 

「あ、そうそう‼︎レイ、これが届いてましたよ⁇」

 

鹿島から封筒を受け取り、中を開けてみた

 

「あぁ、アイちゃんの身体検査の時に、ついでに受けた奴だ」

 

診断結果表と、相変わらずDNAの検査表が入っている

 

「え〜と、何々…診断結果、良好。再検査、必要無し‼︎心臓に毛が生えてます、だと」

 

最後の横須賀の一言が腹立つ

 

次はDNA検査だ

 

毎回コレをやる意味が分からない

 

内容は、元は人間か、純粋な艦娘かを調べると言うもの

 

簡単に言うと…

 

武蔵は元は人間

 

たいほうは純粋な艦娘

 

ま、分かりにくいがこんな感じだ

 

「どれ…」

 

表を見ると、俺の艦娘の名前が並んでいた

 

 

 

 

鹿島のDNA配列…人間

 

プリンツのDNA配列…人間

 

霞のDNA配列…艦娘

 

照月のDNA配列…人間

 

しおいのDNA配列…一致

 

きそのDNA配列…一致

 

 

 

「一致て何だ‼︎」

 

「ここに書いてあるよ」

 

きそが指差す所には、結果内容の詳細が書いてあった

 

 

 

人間…元は人間の艦娘

 

艦娘…建造から産まれた艦娘

 

一致…提督及び保護者にDNA配列が一致、もしくは酷似しています

 

 

 

「マジかよ…」

 

しおいは何と無く分かる

 

自分が生みの親だからだ

 

問題はきそだ

 

何故DNA配列が一致しているのか分からない

 

「ちょっと電話してくるわ」

 

「行ってらっしゃい」

 

「僕、ここに居ていい⁉︎」

 

「あぁ、いいぞ」

 

鹿島にきそを預け、食堂の無線を取った

 

「おい‼︎ジェミニ‼︎」

 

《何よ‼︎》

 

互いに大声から始まる

 

「お前、DNA配列が一致ってどういう意味だ⁉︎」

 

《そのままよ。しおいちゃんはあんたが生みの親だから、まぁ分かるでしょ⁇》

 

「まぁ…俺の手から産まれりゃそうなるのかな…そうじゃなくてきそだよ‼︎」

 

《きそちゃん⁇あ〜…ずっとあんたの傍に居たからじゃないの⁇》

 

「本当にそうだったらどうするんだ⁉︎」

 

《でも、あんたと性格とか癖ソックリよ⁇》

 

「確かにそうだが…まぁ良い、ちょっと聞いてみる」

 

《そうしてちょうだい。明石も真相は分からなかったみたい》

 

「分かった。ありがとな」

 

無線を切り、すぐにきその所に向かった

 

「きそ‼︎」

 

「うぇ⁉︎どしたの⁇」

 

いきなり扉を開けたから、きそはビビっていた

 

「お前、俺と血が繋がってんのか⁉︎」

 

「うん」

 

きそはアッサリと答えた

 

「何で⁉︎」

 

「え〜と…簡単に言うと、この体になる時、どうもレイの体をベースにしたみたいなんだ。それで…」

 

「妹か‼︎娘か‼︎どっちだ‼︎肝心なのはそこだ‼︎」

 

「えええぇぇぇぇぇぇ⁉︎」

 

鹿島が驚く中、俺はきそを揺さぶった

 

「いいいい妹の方が近いかな⁉︎」

 

「よし‼︎これからはお兄ちゃんと呼べ‼︎」

 

俺は手を離し、ガッツポーズを取りながらきそを見た

 

だが…

 

「レイ」

 

きそはニヤつきながら、完全にお兄ちゃんとは言わないつもりだ

 

「お兄ちゃん‼︎」

 

「レイ」

 

「お兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃん‼︎」

 

「レイレイレイ‼︎」

 

「くっ…」

 

俺は膝を落とした

 

「人生妹プロジェクトから一歩遠退いてしまった…」

 

「残念だったね‼︎レイ‼︎」

 

最後の最後まで、レイを仕留めにかかるきそ

 

「鹿島ぁ…きそがいじめる…」

 

「レイ⁇哀れです‼︎」

 

「うわぁ…」

 

二人の冷たい視線が痛い‼︎

 

特に鹿島の微笑む様な視線が痛い‼︎

 

「分かった‼︎俺が悪かった‼︎」

 

「僕、ちょっと工廠にいるよ。したい事があるんだ」

 

「気を付けろよ⁇怪我したらすぐ言えよ⁉︎」

 

「うんっ‼︎行ってくるね、お兄ちゃん‼︎」

 

「っしゃあ‼︎」

 

散々追い込んで満足したのから、きそは去り際にお兄ちゃんと言った

 

「良かったですね‼︎」

 

「お兄ちゃんって言葉を産んだ奴に勲章をやりたいぜ‼︎」

 

 

 

 

 

数時間後…

 

「ここにカードキーが…あった‼︎」

 

鹿島は相変わらずサイボーグのゲームをしている

 

「出来た出来た‼︎あはは‼︎」

 

頬にススが付いたきそが帰って来た

 

「艤装造ってたのか⁇」

 

「ううん、僕専用の武器‼︎来て‼︎」

 

「鹿島、セーブしたら来いよ‼︎」

 

「す、すぐ行きます‼︎」

 

きそに連れられ、工廠に行くと一本の刀があった

 

「鹿島のしてたゲームの武器をモデルに造ってみたんだ‼︎」

 

「スゲェな…」

 

ほぼほぼゲームと同じ様な刀だ

 

「ゲームみたいに時間を緩やかにしたりは出来ないけど、軽くて丈夫な素材を使ってるんだ。ホラ、前に榛名さんから貰った金属で‼︎」

 

「そんな良い金属なのか⁇」

 

「刃こぼれを自動で修復出来るんだ‼︎」

 

きそはサラッととんでもない事を言った

 

「売り飛ばしたらとんでもない額になるぞ…」

 

「売らないよ。僕が使うんだ。よいしょ…」

 

きそは専用の鞘に刀を収め、腰に装着した

 

中々様になっている

 

「僕でも振りやすいんだよ⁇」

 

「お前が武器造るの初めてだな」

 

「あ〜…そうだね。初めてはマッサージチェアーだったし…」

 

「やっぱ、俺に似てるのな」

 

きその頭を撫でる

 

「へへへ…榛名さんがハンマーなら、僕は刀だね」

 

「あらっ⁉︎その刀は‼︎」

 

「僕が造ったんだよ‼︎」

 

きそは嬉しそうに鹿島に刀を自慢している

 

そんな姿を見て、昔の自分を思い出した

 

今も変わらないが、隊長は何を造っても必ず褒めてくれる

 

隊長が褒めてくれたのが移って、今度は俺がきそを褒めている

 

教育の仕方ってのは、伝わって行くんだな…

 

「レイ、ご飯だって‼︎」

 

「ん、行こう」

 

仲睦まじい三人の姿は食堂に消えて行き、中からは楽しそうな笑い声が聞こえて来た

 

 

 

 

 

きその装備に”63cm自己修復機能付刀剣”が、追加されました‼︎


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