艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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72話 巨竜を屠る(2)

「言うだけならタダだ‼︎」

 

「分かった…」

 

アレンはスクリーンを切り替え、説明を始めた

 

「シールドを破る方法は二つ。この電磁防御装置は、周波数が同じ機体には反応しない。つまり、同じシールドを造ってやればいい」

 

「やっぱり電子管理なんだね‼︎」

 

「きそは凄いな…だが、映画の様にコンピューターウィルスは効かない。ファイヤウォールを破れないからな。もう一つは、地上部隊が内部から破壊する事。電磁防御装置は、地上から搬入される物資や人員には反応しない。そこを狙う」

 

「地上から攻撃出来る部隊…か」

 

「この後が問題だ。シールドは破れても、こいつを破壊するには生半可な火力じゃ無理だ。そこで、航空機で内部に突入して、高火力の爆弾で一気に叩く」

 

「もしそうなったら、俺が行ってやらぁ」

 

「その時は私も行く。二機なら高火力を出せるハズだ」

 

「…分かりました。では、もう少し説明を続けます」

 

アレンは武装の説明を始めた

 

対空機銃…これは先程俺に向かって放った物らしい

 

対空ミサイル…追尾式ではなく、投射式。適当な場所に放って、周囲を巻き込む

 

対地兵器…投下式の爆弾が大量。それも威力は半端ないと来た。たった一発で、街一個が半壊する程の威力だ

 

艦載機…これだけは不明だ。だが、放っておくとマズい事にはなる

 

 

 

「後は中和装置か…」

 

「幸い、電磁防御装置の設計図はある。問題は周波数を合わせる事だ」

 

「オーケー。ならっ、一仕事しますか‼︎隊長、しばらく横須賀にこもるから、子供達を宜しく頼む」

 

「分かった。装置は頼んだぞ‼︎」

 

「全員の分を造ってやらぁ‼︎」

 

隊長は会議室を後にした

 

「横須賀、工廠借りるぞ⁇」

 

「えぇ」

 

「アレン、行こう。きそ、それ飲んでからでいいからな」

 

「分かった‼︎」

 

俺はアレンと共に工廠に向かった

 

会議室に残されたきそは、横須賀の顔をジーッとガン見しながらジュースを飲んでいた

 

「が、ガン見しないでよ…」

 

「…」

 

「な、何よ‼︎」

 

「もうチョットレイに優しくしたら〜⁇」

 

きそはにやけ顔で横須賀をおちょくる

 

横須賀は前の一件があるので、きそにあまりキツい事を言えない

 

現に提督室の隅には、あのマッサージチェアーがある

 

「くっ…れ、レイはアレでいいのよ‼︎」

 

「レイは優しい人が好きなんだよ⁇」

 

「知ってるわよ。貴方以上に彼と付き合ってるのよ、私」

 

「ふ〜ん…」

 

それでもきそはにやけ顔を止めない

 

「貴方、レイが好き⁇」

 

「ん〜…この感情は好きって言うのかな…レイの傍に居ると、何だかポカポカするんだ‼︎」

 

「どっかで聞いたわね…」

 

「レイだけに、だよ‼︎」

 

「ふふふっ。さっ、そろそろ行きなさい。後でジュース持って行ってあげるから‼︎」

 

「は〜い‼︎ごちそうさま⁉︎」

 

きそがしっかり御礼を言う所を見ると、こう言った教育はちゃんとしてるみたいだ

 

「でけた‼︎」

 

きそが出ようとした瞬間、会議室の扉が勢い良く開いた

 

扉の向こうでは、レイとアレンが息を切らしている

 

「は⁉︎え⁉︎」

 

「仕組みは簡単だったんだ‼︎まぁ、企業秘密だが、戦闘機位の大きさなら、充分量産出来るぞ‼︎」

 

レイの手には、小さな機械があった

 

「テストするから来てくれ‼︎」

 

二人共嬉しそうだ

 

 

 

 

言われるがまま格納庫に行き、レイとアレンは整備に入っていたT-50に装置を付けた

 

「アレン、そこのコーラ取ってくれ‼︎」

 

「ホラよっ‼︎」

 

「サンキュー‼︎」

 

「あ‼︎そっか‼︎二人共エンジニアなんだ‼︎」

 

ようやく気付いたきそ

 

元々巨人兵器を造ろうとしていた彼等に取って、電磁防御装置一つ造る事など簡単だった

 

ましてや、アレンが元々完成間近まで造り上げていた

 

そこにレイの技術が加わり、妖精達の物量とスピードが加われば、この時間は分かる

 

「オーケー、設置完了‼︎そっちはどうだ⁉︎」

 

「大丈夫だ‼︎やろう‼︎」

 

レイはT-50の上に仁王立ちし、此方を向いた

 

「横須賀、腰のピストルで俺を撃て」

 

「え…頭狂ったの⁇」

 

「それは元々だっ‼︎」

 

「それは元からだよ‼︎」

 

間髪入れずに、きそとアレンが横須賀に突っ込む

 

「テメェら…」

 

「失敗したらどうすんのよ‼︎」

 

「いつも言ってるだろ‼︎神を…」

 

「神を信じる前に、俺を信じろ…か。分かったわ」

 

私はレイにピストルを向けた

 

「来いっ‼︎」

 

意を決して、銃弾を放った

 

「おぉ…」

 

明らかに眉間を狙っていた銃弾は、レイの一メートル程前で止まり、数秒後に床に落ちた

 

「凄いよ‼︎」

 

「てか横須賀‼︎お前何眉間狙ってんだ‼︎普通腹とかだろ‼︎」

 

「あんたみたいなバカは一回死ななきゃ直んないのよ‼︎か弱い乙女にこんな事させんじゃないわよ‼︎」

 

「ぷぷぷ、か弱い乙女だって〜‼︎」

 

「ぐぬぬ…これでも喰らえ‼︎」

 

T-50の上からバカにしてくるレイに腹が立ち、もう三発銃弾を放った

 

勿論レイには届かない

 

「ぬはははは‼︎無敵‼︎最強‼︎」


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