艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

263 / 1086
言っていた特別版を貼ります

ストーリーと全く関わらないし、駄文だし、作者の遊びだし、見なくてもストーリー分かります 笑

今回のお話では、作者の別作品の世界から三人が登場します




特別版 魔剣士とパパ

登場人物…

 

毛利…作者の他の作品からゲスト出演して来た、黒いトレンチコートを着た男性。オリジナルキャラ。作者の本名か

も知れない

 

作者の他の作品”おはなしの館”からゲスト出演して来た、左腕に障害がある男性。イカロスとリグレットを連れて、色んな本の世界を冒険しているらしい

 

第一印象は暗い感じがするが、性格は明るく、人と話すのが好きらしい。

 

童話や絵本が世間から風化した時に、本の中に産まれる”神話”と呼ばれる者を倒しながら、主人公や物語の行く末を正して行き、結末まで見届ける事をしているらしく、色んな物語の”結末の先”を知っている

 

武器は剣。威力が高く、手数も多い

 

イカロスからはお兄ちゃん

 

リグレットからは黒騎士さんと呼ばれている

 

もう出ない

 

 

 

 

イカロス…作者の他の作品からゲスト出演して来た、低身長巨乳の白髪の女の子。オリジナルキャラ

 

摩耶から買った本の中に迷い込んだパパが出会った女の子の一人

 

毛利が一番最初に入った絵本”みにくいアヒルの子”の中で出会ったらしく、見る物や食べる物全てに好奇心を向ける

 

容姿は浜風に似ているが、性格が明るく、好奇心旺盛。そして食いしん坊

 

黒い鎧を着ているが動きが速く、右腰にレイピアを挿している所から見て左利き。白鳥なので空を飛べる

 

”イーちゃん”、もしくは”イカロス”と呼ばれている

 

もう出ない

 

 

 

リグレット…作者の他の作品からゲスト出演して来た、赤髪の女の子。この子もオリジナルキャラ

 

毛利とイカロスと共に、絵本の世界を冒険している、メイド服を着た女の子

 

艦これには似ているキャラがいない

 

三つ編みがトレードマークで、イカロスと同じ位の身長。胸は普通

 

物語や出処は不明だが、暴飲暴食のイカロスと違い、粗食で物分かりが良く、真面目そうに見えて冗談が通じる

 

装備はレンチ。機械系の敵を相手するのが得意

 

何故こんな名前になったかは言わないが、二人からは”リグ”と呼ばれている

 

もう出ない

 

 

本文に行きます

 

 

 

 

 

 

 

ある日横須賀に行くと、摩耶の店が開いていた

 

摩耶が店を開くのは珍しく、何処で開くかも日も知らされないので、中々貴重だ

 

「摩耶っ」

 

抱っこしていたたいほうを降ろすと、店の前に座って色々見始めた

 

「おっ‼︎大佐‼︎今日は横須賀に用事かい⁉︎」

 

「定期的に開かれる資源についての話し合いさ。今日は何売ってるんだ⁇」

 

「色々あるぜ‼︎」

 

「がーがーさん」

 

たいほうが持っているのは、ゼンマイ式のアヒルのオモチャだ

 

「たいほう。それ多分ガーガーさんじゃなくて、白鳥だと思うぞ⁇」

 

「お風呂に浮かべられるオモチャだな」

 

「はくちょう⁇」

 

「それ欲しいか⁇」

 

「うんっ‼︎」

 

「じゃあそれと…」

 

目に止まった、一冊の分厚い本

 

題名が無く、赤い表紙で分厚い本だが、何となく気になった

 

「これは⁇」

 

「これか⁇よく分からないんだ…何か潰れた図書館の奥底から見付かったらしいんだけど、私にもよく分からない‼︎安くしといてやるよ‼︎もし良い情報が書いてあったら儲けもんだぜ⁉︎」

 

「…分かった。たまには読書も必要だしな」

 

「二つで200円で良いぜ」

 

摩耶に200円を渡し、白鳥のオモチャと本を買った

 

「はい。相変わらず安いな」

 

「へへへ、毎度あり〜‼︎今度はちゃんとしたモン仕入れとくよ‼︎」

 

「ありがとう。その内、あの家に帰るからな」

 

「土産話でも期待しとくよっ‼︎」

 

摩耶と別れ、高速艇に乗り込む

 

たいほうが膝の上で白鳥のオモチャを弄っている

 

「パパ、はくちょうって、えほんにでてきたとりさん⁇」

 

「そっ。帰ったら読んであげる」

 

「やったぁ‼︎」

 

言っている間に基地に着いた

 

既に夕暮れになっており、とりあえず夕飯を食べて、風呂に入った

 

風呂から上がり、食堂で先程の本を開けてみた

 

「おっ」

 

みにくいアヒルの子…

 

シンデレラ…

 

マッチ売りの少女…

 

幸せな王子様…

 

本には沢山の童話が載っていた

 

漢字が多く子供向けでは無いが、絵付きでとても分かりやすい

 

どうやら本当に儲け物だった様だ

 

「随分ボロい本だな⁇摩耶の店からか⁇」

 

コーヒーを飲んでいるレイが興味を示した

 

「そっ、中々良いぞ⁇童話がいっぱい載ってる」

 

「これで夜に読む本迷わなくて済むな⁇」

 

「まぁな」

 

「パパ〜、どんなほん⁉︎」

 

武蔵と共に風呂から帰って来たたいほうは、いの一番に本を気にした

 

「絵本がいっぱい書いてある。読んであげるから、お布団行こっか⁇」

 

「うんっ‼︎」

 

「提督よ。摩耶から買ったのか⁇」

 

武蔵にまで見抜かれていた

 

「みんな見抜いているのか…」

 

「横須賀にある図書は、全て管理されていて美品ばかりだからな」

 

「なるほど…」

 

「まぁ、提督の顔を見る限り、当たりだったみたいだな⁇」

 

「まぁな」

 

「たいほうよ。ちゃんと眠るのだぞ⁇」

 

「うんっ。おやすみ、むさし」

 

「ふふっ、おやすみ」

 

武蔵がたいほうの頭を撫で、私達は子供部屋に入った

 

たいほうが布団に入り、私は横で本を開いた

 

「みにくいアヒルの子」

 

「がーがーさん」

 

武蔵辺りが教えたのだろうか⁇

 

たいほうはアヒルをがーがーさんと言う

 

しばらく読んでいると、いつの間にかたいほうは寝息を立てていた

 

たいほうに布団を被せた時、私も眠気が来て、そのままそこで横になった

 

 

 

 

 

 

 

「…やぁっ‼︎」

 

「…っ‼︎」

 

暗闇の向こうで、誰かの声が聞こえる…

 

鉄がぶつかる音もする…

 

それに、腹の上が重い…

 

「ん…はっ‼︎」

 

目を開けると、深海棲艦に囲まれていた‼︎

 

どうやら対話出来る様子では無い様子だ

 

「おい、あんた‼︎」

 

剣を持った黒いトレンチコートを着た男が視界に入った

 

「目が覚めたか⁉︎」

 

「貴方は…⁇」

 

「話は後だ‼︎その子抱えて後ろで待ってろ‼︎」

 

そう言われて腹の上を見ると、たいほうが居た

 

完全に目が覚め、辺りを見渡してみた

 

どうやら基地に居る様だ

 

もたれているのは格納庫の外壁だ

 

「ん〜…」

 

たいほうの目が覚めた

 

「わぁ‼︎しんかいせいかんいっぱい‼︎」

 

「たいほう、艦載機出せるか⁇」

 

「だせるよ‼︎ゆんかーすごーごー‼︎」

 

たいほうは背中から折り畳み式のボウガンを取り出し、何発か撃ち出した

 

撃ち出した矢は爆撃機に変わり、深海棲艦を消し飛ばして行った

 

「何だ…魔法でも使ったのか⁇」

 

男が驚いている

 

もしかして、艦娘を知らないのか⁇

 

「よいしょっと‼︎空は終わったよ‼︎」

 

空から白髪の女の子が降りて来た

 

はまかぜと似ているが、何処と無く違う

 

「こっちも終わりましたよ‼︎」

 

今度は赤髪のメイド服の女の子が現れた

 

「”あんたの物語”は厄介そうだ…」

 

「物語…⁇」

 

「そっ。俺は毛利。修復師をやってる」

 

「修復師…⁇」

 

「簡単に言えば、絵本や物語を元のお話に戻す仕事さ」

 

「大変そうだな…よっこら」

 

ようやく立ち上がり、二人の女の子と目を合わせた

 

まずは白髪の女の子から自己紹介を始めてくれた

 

「僕はイカロス‼︎白鳥なんだよ‼︎」

 

「天使じゃないのか⁇」

 

羽を広げているイカロスは、絵本に出て来る天使と瓜二つだった

 

「あはは。みんなからそう言われるんだけど、僕は根っからの白鳥だよ⁇」

 

「世界は広いな…」

 

そして、赤髪の女の子に目を合わせた

 

「リグレットです。機械の扱いや分解はお任せ下さい‼︎」

 

二人共元気があって良い

 

特にリグレットはレイと気が合いそうだ

 

「それで、あんたの名前は⁇」

 

「私は…みんなからパパか大佐と呼ばれてる」

 

「じゃあパパだね‼︎お兄ちゃん‼︎」

 

「そうだな」

 

イカロスは毛利をお兄ちゃんと呼んだ

 

「兄妹なのか⁇」

 

「…内緒だ。その女の子は⁇」

 

「あたしたいほう‼︎」

 

たいほうは元気良く答えた

 

私がまだ彼に警戒心が取れないのに対し、たいほうは全く不安を感じていないみたいだ

 

「そうか〜。君は召喚師か何かか⁇」

 

「たいほうそーこーくうぼ」

 

「装甲空母…⁇大佐の世界では空母は人間の形をしてるのか⁉︎」

 

どうやら毛利は本当に艦娘を知らない様だ

 

「ま、まぁ良いさ‼︎俺達はとにかく、大佐の物語を修復しに来たんだ」

 

「物語…わ、私の⁇」

 

「そっ。人間誰しもが持ってるだろ⁇”人生”って名の物語を。大佐は何処かで綻びが生じてる。だから俺達を呼んだんだろ⁇」

 

「呼んだ…⁇」

 

「まっ、話すより見た方が早いだろ。行こう‼︎」

 

毛利に連れられ、食堂に向かった

 

「おぉ、あるある‼︎」

 

「これは⁇」

 

食堂には、幾つかの光った物があった

 

「これは誰かの心にある記憶の欠片さ。触れてみな」

 

言われるがまま、一つに触れてみた

 

光の中に、ぼんやりとだが誰かが映った

 

”パパはいつもお菓子くれるんだ‼︎”

 

”パパこそ至高”

 

どうやられーべとまっくすの記憶みたいだ

 

「ほうほう。姉妹で好きな人が違うのか‼︎」

 

横で毛利が面白そうに見ている

 

「今のは…⁇」

 

「どうやら大佐の人生の綻びは”恋愛”にあるみたいだな」

 

「行くぞ〜‼︎」

 

「しゅっぱ〜つ‼︎」

 

外でイカロスとたいほうが遊んでいる

 

イカロスはたいほうを抱え、少しだけ浮かび上がってその辺を飛び始めた

 

「じゃっ、次の奴行こうか」

 

「あ、あぁ」

 

次の光に触れる前に、毛利は少しだけ説明をしてくれた

 

「この光は”記憶の断片”って言うんだ。大佐場合、誰がどう思ってるか分かる。問題は、大佐を一番気に掛けてる子を探す事だ」

 

一発でピンと来た

 

「まっ、今は順番に見て行った方がいいな」

 

光に触れると、今度ははまかぜとグラーフが現れた

 

”大佐はいい人です。いつも私を助けてくれます”

 

”隊長は凄い人。何があっても、絶対助けてくれる”

 

「随分好かれてるな」

 

「子供みたいなものさ。みんな…」

 

「ここのエリアはこれだけみたいだ。他の所に行こう」

 

子供部屋に行くと、また一つあった

 

”パパですか⁉︎パパは良い人ですよ〜‼︎しおいを助けてくれましたからね‼︎”

 

”パパ⁉︎まぁ、レイより出来た男性だと思うわ。だけど、私はレイみたいなマヌケが好きなの‼︎”

 

しおいと霞だ

 

やっぱり霞はレイが好きなんだな

 

「もう一人いるみたいだな」

 

「レイって男がいるんだ。君に少し似てるかな⁇」

 

「そいつの記憶を楽しみにしとくよ」

 

子供部屋を出て、自分の部屋に入った

 

やはり一つあった

 

誰が見えるか予想はつく

 

「ちょっと待って下さ〜い‼︎とうっ‼︎」

 

いきなり現れ、私の手を取ったのはリグレットだ

 

「この記憶の断片は、大佐さんが一番好きな人です」

 

「分かってる。悩みの種は、恐らくここにある」

 

「もし、違った答えを聞いても、後悔しませんか⁇」

 

「しない。行くぞ」

 

躊躇いもせず、光に触れた

 

”提督は私の自慢の旦那だ‼︎ケッコンして、何の後悔もない。ただ…私がもっと思い出せれば良いのだが…”

 

やはり武蔵が映った

 

だが、何となく悩みの種ではない気がする

 

「訳ありみたいだな…」

 

「昔の記憶を思い出せないんだ…」

 

「まっ、これ以上余計な詮索はしないでおくよ…しかし…」

 

「何も起きませんね…」

 

二人が辺りを見回す

 

「どうやら、大佐の綻びは彼女じゃ無かったみたいだ」

 

「他の所に行こう」

 

自分の部屋から出て、レイの部屋に入ってみた

 

「あった」

 

ベッドの上に光がある

 

レイの部屋にある位だ

 

恐らく私よりレイだろう

 

”大佐ですか⁇レイをあそこまで手懐けるなんて、立派も立派です‼︎後進の育成にはうってつけのお方です‼︎”

 

”レイも好きだけど、提督さんも好きですよ⁉︎ここに来てから、知らない事がいっぱいです‼︎”

 

鹿島とプリンツだ

 

大方レイの事だった

 

「この子達は大佐の子じゃないな」

 

「そう。レイの子だ」

 

「次行こう」

 

レイの部屋を出た後、ローマの部屋に入ってみた

 

机の所に光がある

 

「大佐さん。その方も訳ありです」

 

「私の妹だよ」

 

リグレットの忠告を、もう少し聞いておくべきだったと、数十秒後に後悔する

 

”大佐⁇たまに誘拐して抱き枕にしてるわ”

 

”兄さん⁇兄さんは出来た人だと思うわ。まっ、私を妹だと知らなくて抱かれた事もあるけど…優しかったわよ⁇”

 

雲龍とローマだ

 

だがそこでは無い

 

言った事がマズイ

 

「妹はマズイな」

 

「大佐さんの性生活が明らかになりましたね‼︎」

 

毛利はほんの少し目を細め、リグレットは何故かテンションが上がっている

 

「…次行こう」

 

恥ずかしい気持ちのまま、ローマの部屋を後にした

 

残されているのは、工廠施設の周りしかない

 

まずは格納庫から当たろう

 

「おぉ‼︎」

 

「黒騎士さん‼︎戦闘機ですよ、戦闘機‼︎」

 

格納庫にはクイーンが居た

 

リグレットのテンションがやたらと高い

 

「リグ、読めるか⁇」

 

「お任せ下さい‼︎」

 

リグレットはクイーンにシールが付いた紐の様な物を点け、手元の機械を弄り始めた

 

「リグは機械弄りが得意でな。あぁして、機械の意思を読み取れるんだ」

 

「この機体はAIが付いてるぞ⁇」

 

「本心さ。この機体が大佐をどう思ってる…か」

 

「え〜と…とても大切な人だと言っています。もし同じ人間だったなら、貴方に恋をしてみたかった…ですって‼︎」

 

「戦闘機まで恋に堕ちるとはな…」

 

「クイーン…」

 

「この機体からは安心感が感じ取れる。大佐がいると落ち着くみたいだな」

 

「ありがとう、クイーン」

 

「大佐、私武器を見てみたいです‼︎」

 

クイーンを見てからテンションが上がりっぱなしのリグレットを連れて工廠に入った

 

「おおおおぉ〜‼︎」

 

主砲や機銃

 

大型のライフルや造りかけの魚雷が沢山ある

 

「た、大佐さん‼︎黒騎士さん‼︎ちょっと調べてもいいですか⁉︎」

 

「好きにしていいよ」

 

「失礼の無いようにな⁉︎ありがとう、大佐」

 

「興味津々な子は好きだ。あったぞ‼︎」

 

レイがいつも座っている椅子の上に光があった

 

「今回は大丈夫そうだ。まっ、ちょっと多めに入ってるけどな」

 

毛利の言葉を聞き、光に触れた

 

”隊長⁇俺の兄貴であり、父でもある人だ。身寄りの無い俺に、色んな事を教えてくれたり、色んな場所に連れて行ってくれた。今も昔も、隊長を尊敬する気持ちは変わらないな”

 

”パパ⁇僕を助けてくれた人だよ‼︎パパがいなかったら、僕はみんなと出逢ってないよ‼︎”

 

”隊長は素晴らしい人徳の持ち主です‼︎ここに来て、遊ぶ事を教えて頂きました‼︎”

 

”隊長さん⁇凄く頼りになる人ですよ⁇いつも私達を気に掛けてくれます‼︎”

 

レイ、きそ、そして秋月照月姉妹だ

 

レイの言葉に一番安心した

 

正直、内心はどう思っているのか分からなかったからだ

 

「いい奴だな。確かに俺に似てる」

 

「ふっ…」

 

「黒騎士さん、どうやら今ので最後です…」

 

「八方ふさがりだな…一旦休憩しよう」

 

外に出て、港で三人で一息ついた

 

私が煙草に火を点けたの見て、毛利も煙草に火を点けた

 

「ねぇな…大佐の綻びは…」

 

「自分でも分からなくなって来た…はぁ」

 

「答えは案外近くにあったりしてな…」

 

「パパ〜‼︎たかいよ〜‼︎すごいよ〜‼︎」

 

頭上でたいほうを抱えたイカロスが飛んでいる

 

「お兄ちゃ〜ん‼︎お腹空いた〜‼︎」

 

「降りて来い‼︎パンがあるぞ‼︎」

 

「分かった〜‼︎」

 

イカロスとたいほうが降りて来て、それぞれに抱き着く

 

「たかかった‼︎いかろすはすごいね‼︎」

 

「ふふ〜ん、僕は白鳥だからね‼︎」

 

イカロスはドンと胸を張り、リグレットからパンを受け取った

 

毛利の膝の上で美味しそうにパンを食べるイカロスを見て、たいほうもパンを口にした

 

「おいしいね‼︎」

 

膝の上のたいほうは嬉しそうにしている

 

私にとってのたいほうは、毛利にとってのイカロスなんだろうな…

 

「んで、お兄ちゃん。見付かった⁇」

 

「まだだ。記憶の断片はもう無い」

 

「ん〜…大佐さん、まだ見てない所は⁇」

 

「無いな…あらかた見回った」

 

「…いや、一つだけ見てない」

 

「ん⁇」

 

毛利の目線は、私の膝の上に向かっている

 

「たいほう⁇」

 

「ん⁇」

 

「たいほうちゃん、ちょっとごめんね…」

 

イカロスはたいほうの胸に手を置き、何か呟いた後、たいほうから何か出て来た

 

「わぁ、ぴかぴか‼︎」

 

「あったあった‼︎これだね‼︎」

 

「イカロス。たいほうと向こうで遊んでいてくれないか⁇」

 

「分かった‼︎たいほうちゃん、あっちで僕の手品見せてあげる‼︎」

 

「てじなみたい‼︎」

 

イカロスがたいほうを連れ、食堂に入って行った

 

「リグ、構えろ」

 

何故か臨戦態勢に入った二人を横目に、光に手を伸ばした

 

「大佐、触れてみてくれ」

 

「分かった」

 

恐る恐る光に触れた

 

”パパはね、とってもいそがしいの。たいほうはおるすばんして、パパをまつのがおしごとなの。たいほう、わがままいわないよ⁇でも、たいほうパパとあそびたいの…”

 

光の中のたいほうが消えた

 

「たいほう…」

 

「大佐、そこから離れろ‼︎」

 

言われるがまま、光から離れた

 

その瞬間、光の中から深海棲艦が出て来た

 

「神話だ‼︎大佐、神話は修復師の俺達しか倒せない‼︎イカロスとチェンジだ‼︎たいほうを護れ‼︎」

 

「分かった‼︎」

 

食堂に走り、イカロスを見つけた

 

「神話が出たの⁇」

 

「らしいな。代わってくれと頼まれた‼︎」

 

「たいほうちゃん、お別れみたいだ」

 

「いかろすいっちゃうの⁇」

 

悲しそうにするたいほうを見て、イカロスはたいほうを抱き締めた

 

「大丈夫。僕達はいつだって本の中にいる。いつだって逢えるよ⁇」

 

「ほんと⁇」

 

「ホントだよ。大佐さんに色んな本を読んで貰うんだ。僕はそこにいる」

 

「…わかった。ばいばい」

 

「ん…バイバイ」

 

子供っぽく見えて、イカロスはしっかりしていた

 

母性本能が強いのかも知れない

 

「大佐さん。ありがとう。後は僕達に任せて‼︎」

 

「すまない」

 

そう言い残し、イカロスは飛んで行った

 

「サン……ク‼︎」

 

「………弍式‼︎」

 

「え…っ‼︎」

 

港で三人が戦っているのが見えた

 

善戦しているみたいだ

 

「いかろす」

 

窓際でイカロスを心配そうに見つめるたいほう

 

「たいほう…」

 

数分後、爆発が起きた

 

どうやら片付いたみたいだ

 

「いかろす‼︎」

 

たいほうが外に出ようとするが、何故か開かない

 

窓際に三人が来て、イカロスが窓に口を付けてたいほうを笑わせている

 

窓の向こうで毛利の口が開いた

 

「じゃあな…後はあんたに任せた‼︎」

 

三人が光に包まれる…

 

 

 

 

 

 

 

「隊長さんっ‼︎朝ですよっ‼︎」

 

鹿島の声が聞こえる…

 

横ではたいほうが目を覚まし、座って目をこすっている

 

どうやら夢だったみたいだ

 

「朝ごはん出来てますよっ‼︎」

 

「あぁ…すぐ行く…」

 

鹿島が部屋から出た途端に、たいほうが抱き着いて来た

 

「すごいゆめみた‼︎あのね‼︎おそらとんだの‼︎」

 

「パパはいたか⁇」

 

「いたよ‼︎くろいひとと、あかいかみのおんなのことなんかさがしてた‼︎」

 

「そっかそっか‼︎」

 

たいほうを抱えて立ち上がった時、枕元の本が目に入った

 

この本の物語の一部だったのだろうか…

 

三人には感謝しなくちゃな…

 

食堂に入り、たいほうをいつもの椅子に座らせた

 

「たいほう、お前鳩と遊んで来たのか⁇」

 

「はと⁇」

 

たいほうの背後を通りがかったレイはたいほうの背中に何か付いているのに気が付いた

 

「ホレ」

 

「わぁ〜‼︎」

 

レイの手には、白い羽根があった

 

「ちょうだい‼︎」

 

「ほらよっ」

 

羽根を貰い、たいほうは嬉しそうにしている

 

「パパ、これ、てんしのはねなんだよ‼︎」

 

「大事にしろよ⁇」

 

「うんっ‼︎」

 

私は、無邪気に笑うたいほうの頭を撫でた




おはなしの館では、毛利達はもっと戦いますし、魔法とかも出てきます

その内ハーメルンに貼るかも知れません 笑

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。