艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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さて、69話が終わりました

今回のお話の前に報告が一つ

少し前にリクエストがあった新キャラが、今回のお話で出て来ます

リクエストして頂いた方、名前は伏せますが”奴”が出ます‼︎

今回のお話は、その新キャラとレイの過去がまた少し分かります

そして題名通りの方が活躍します


70話 雪の女王(1)

「とりあえずこんな所かな⁇この機銃には、AP弾を加工した物を装填できる。火力、制空力共に上がるはずだ」

 

隊長ときそと共に、今日は呉に来ている

 

以前照月と秋月に造った主砲が思ったより好評で、反対派に配備される事になった

 

「とりあえず、今回は二つ持って来た。試験用と実戦用で使ってみて欲しい」

 

「すみません…ウチは駆逐艦の火力不足が目立ってましてね…」

 

「雷装はどうだ⁇魚雷が入用なら、今度設計図を持って来る」

 

「お願いしても宜しいですか⁇」

 

「任せてくれ。よしっ‼︎会議はこれでオシマイだ‼︎腹減った‼︎」

 

書類を纏め部屋を出ると、呉さんが話し掛けて来た

 

「レイ、カツレツは好きか⁇」

 

「好き‼︎カツレツあるのか⁉︎」

 

「ある。最近、コックが新作として出して採用したんだ。是非食べてくれ」

 

呉さんと別れ食堂に入り、食券を購入

 

俺達の基地の食堂とは随分違うな…

 

ここの基地含め、大抵の基地は絵に描いた様な食堂だ

 

俺達の基地はキッチンがあり、カウンターと長机が近く、いつもカウンターからはまかぜやグラーフが料理を渡してくれる

 

後はテレビがあったり、ソファがある

 

あ、出入り口もある

 

子供達は良くそこから出入りしているし、たいほうは出入り口付近で虫を捕まえて遊んでいる

 

ここより遥かに狭いが、生活感に溢れている

 

「カツレツ3つ‼︎」

 

「了解」

 

愛想無さそうな男性が食券を取り、中に消えた

 

「カツレツってなぁに⁇」

 

「トンカツみたいなもんだ」

 

「と、トンカツ⁉︎」

 

「はまかぜ、もうちょい油もん作ってくれよ…」

 

しばらくすると、コックが料理を持って来た

 

「カツレツ3つだ」

 

「サンキュー」

 

「…」

 

コックは此方をジーッと見ている

 

「な、何だよ…」

 

「レイも提督か…世も末だな」

 

「んだと⁉︎」

 

「お前は空が似合う。何故降りた」

 

「降りてねぇ‼︎パイロット兼仮提督兼開発者兼医者なだけだ‼︎」

 

「相変わらず多いなぁ…」

 

カツレツを口にしながら、きそがボヤく

 

「レイ、後で模擬戦に付き合え。勝った方が正しい…俺達のルールだろ⁇」

 

「ケッ‼︎食ったらな‼︎」

 

俺はカツレツを食べながら、コックが誰か考えた

 

おそらく、鹿島教室にいた時の同期生だ

 

誰だ…

 

まぁいい、模擬戦で分かる

 

 

 

 

食後一時間…

 

俺はフィリップの中に居た

 

「よし、フィリップ。相手は所属不明機だ。心して掛かるぞ」

 

《オーケー‼︎でも、何の情報も無いんだね…》

 

フィリップのモニターには”unknown”と表示されている

 

機体もパイロットも分からないが、あの気迫、手練である事は間違いない

 

「スティングレイ、出る‼︎」

 

短めの滑走路から上がり、辺りを索敵する

 

「レーダーに感…」

 

《レシプロ機だ…機体はP-40…》

 

レーダーに真っ直ぐ向かって来る機体が一つ表示される

 

「馬上槍試合がお好みの様だ。付き合ってやれ‼︎」

 

《オーケー‼︎》

 

頭合わせで互いが向かって行く

 

「回避行動無し…マジかよ‼︎えぇい‼︎」

 

正面衝突しそうな位まで来た時、操縦桿を左に傾けた

 

「‼︎」

 

すれ違った時、P-40の側面に書かれたエンブレムが見えた

 

「”虹色蝶(パピヨン)”のエンブレム…サンダルフォン隊か⁉︎生き残りがいたのか⁉︎」

 

《やっと分かっか、レイ》

 

「お前ター坊か⁉︎」

 

《そうだ》

 

ター坊と呼ばれたP-40のパイロット

 

彼の名は高山凛太郎

 

鹿島教室の時の同期生だ

 

当時、鹿島に撃沈されたのを覚えている

 

彼は鹿島教室を卒業した後、サンダルフォン隊と呼ばれる部隊に所属した

 

あの日の反抗作戦でアメリカ側の空母から飛び立った以降の記録は無い


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