艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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さて、66話が終わりました

今回のお話は、豪雨に晒され、二人の艦娘が雨宿りをしにやって来ます

一波乱起きそうな奴等かも⁇

新キャラも出て来ます


67話 酒とチョコと野郎と艦娘(1)

「お〜っ。テルテルボー、ですねぇ」

 

「てるてるぼー」

 

「たいほうちゃん、チョコレート食べますか〜⁇」

 

「うんっ‼︎」

 

「これは美味しいで〜すよ〜」

 

初めて見る艦娘が、たいほうにチョコレートを与えている

 

「すまないねぇ…急に降られちゃってさ〜」

 

呉さんの所の隼鷹と、もう一人の子が雨宿りに来ていた

 

近くの海域に遠征に来ていたらしく、急な雨の為に寄ったらしい

 

しばらくすると、呉さんから無線が入った

 

《申し訳ありません、大佐。遠征部隊がそちらにお邪魔しているとお聞きして…》

 

「こちらは豪雨ですからね。心配ありませんよ。しばらくこちらでお預かりします」

 

《申し訳ありません…あ、そうだ。外国の艦娘が居ますか⁇新しく配属された子なんです‼︎》

 

「居ますよ。たいほうと”テルテルボー”見てます」

 

《その子です‼︎》

 

どうやら、今の言い方で伝わったみたいだ

 

《大佐、酒類を隠して下さい‼︎》

 

「さ、酒⁉︎」

 

《放っておくと基地の酒が無くなります‼︎》

 

「なっ…」

 

「提督〜ポーラそんな事しませんよ〜。自分のお酒しか飲みませんて‼︎」

 

いつの間にかポーラが横におり、無線の先の呉さんに話し掛けている

 

《いいかポーラ。大佐に失礼の無い様な行動をするんだ‼︎いいな⁉︎》

 

「大丈夫ですって〜‼︎ポーラ今日は3本しか持ってませんて‼︎」

 

《それがマズいんだ‼︎》

 

「不味くないですよ〜。パスタの国からお取り寄せした、素晴らしい逸品で〜すよ〜」

 

ポーラと呼ばれる子は、どこかズレていた

 

どことなくのほほんとした風貌ではあったが、どうやら内面もそうみたいだ

 

《…大佐、後々お詫びしますので…その…》

 

「ははは‼︎言いたい事は分かりました。了解です‼︎」

 

《頼みます…はぁ…》

 

呉さんはため息を吐きながら無線を切った

 

「パパさんも食べますか⁇美味しいですよ〜⁇」

 

ポーラはどこからか、包み紙に包まれたチョコレートを取り出した

 

「ありがとう」

 

「ポーラこれ好きなんですよね〜ふふふぅ〜」

 

ポーラに一抹の不安を抱きながら、チョコレートを口に入れた

 

「おまっ…これお酒入ってる奴じゃないか‼︎」

 

「お酒なんですかねぇ⁇」

 

「た、たいほう‼︎」

 

窓際にいたたいほうは、急に服を脱ぎ始めた‼︎

 

「こらこらこら‼︎たいほう‼︎お洋服着なさい‼︎」

 

「あつい〜」

 

たいほうは酔っ払っていた

 

大人なら”美味しい”で済むが、子供にはキツかったみたいだ

 

「パパらっこ〜」

 

呂律が回っていないが、だっこして欲しいのは伝わって来た

 

「仕方無いな…よいしょ」

 

「ぬっふっふっふ…ばつびょん‼︎」

 

目がトロンとしたたいほうは腕を高く上げている

 

ここが何処か分かっていないみたいだ

 

「ここは海じゃないぞ⁇」

 

「うみ⁉︎うみいきゅ‼︎むしゃし‼︎いっしょにいこ〜⁇」

 

「ダメだぞたいほう。今は雨が降ってる。今日は私もたいほうもお休みだ」

 

「ん〜…むさひ、たいほうきあい⁇」

 

「嫌いな訳ないだろう‼︎」

 

「じゃあらっこして⁇パパ、らいほ〜、むさひのとこいきゅ」

 

たいほうは私の腕で、もがき始めた

 

武蔵にたいほうを渡すと、すぐに眠り始めた

 

「全く…騒がしい子だ」

 

たいほうを寝かせる為、武蔵は子供部屋に向かった

 

「ポーラ⁇」

 

「は…はは…」

 

怒られると思ったのか、ポーラから冷や汗が出ている

 

「子供にあげちゃダメだぞ⁇」

 

「はい…すみません…」

 

椅子に座り、飲みさしのコーヒーを飲む

 

ポーラもコーヒーを飲み、息を吐く

 

「ま、済んだ事はいいさ。そういえば、呉さんの所にはいつからいるんだ⁇」

 

一番の疑問はそこだった

 

彼女は初めて見る子だった

 

「伊勢志摩サミットが終わった後ですね〜。ポーラ、祖国から酒樽と一緒に来ました‼︎」

 

「ポーラ、ね。宜しく」

 

「もう一人男性がいるとお聞きしたのですが〜…」

 

ポーラがキョロキョロしても、もう一人の男性は見当たらない

 

「あれ⁇そういえば見当たらないな…まぁ、その内出て来るだろ。今の内にお風呂に入っておいで。あぁ、今日は露天はダメだよ⁇この雨だから」

 

「分かりました〜‼︎行ってきます〜‼︎」

 

「大佐、覗いちゃダメだぞ〜⁇」

 

「心配するな」

 

ポーラと隼鷹が食堂を去り、ひと段落ついた

 

 

 

 

 

 

「ビチョビチョだよ‼︎全く‼︎」

 

工廠にいたレイは、基地に帰るまでに集中豪雨に打たれ、お風呂に入っていた

 

「きそのレインコート借りりゃ良かった…え〜ぇ…」

 

きそは雨が降ると、俺のレインコートを着る

 

きそにとっては、ブカブカのレインコートだ

 

これが中々可愛い

 

相当な用事が無ければ雨の日は工廠は休止だが、たまたま書類を工廠に忘れ、それを取りに行っていた

 

「はぁ〜…」

 

湯船に浸かり、ため息を吐いていると、目の前にアヒルのオモチャが浮いているのに気が付いた

 

手に取ってひっくり返すと”おいげん”と平仮名で書いてあった

 

そういえばたいほうに貰ってたな…

 

「うわ〜‼︎デッカいお風呂ですね〜‼︎」

 

「ウチの鎮守府とドッコイドッコイだな‼︎」

 

「誰だ…」

 

一人は隼鷹だとすぐ分かった

 

だが、もう一人が分からない

 

陰からそ〜っと覗くと、ウェーブがかかった髪が見えた

 

「誰〜⁇」

 

一瞬気付かれたと思ったが、大丈夫そうだ

 

「はは〜ん。レイだな⁉︎」

 

「うっ…ち、違う‼︎私はお風呂の妖精だ‼︎」

 

「レイだ…」

 

隼鷹には気付かれた

 

「お風呂の妖精ですか⁉︎ポーラ、妖精見たいです⁉︎」

 

もう一人の子は、無邪気に反応している

 

「こ、こっちに来てはいけません‼︎男性がいます‼︎」

 

「あ、ホントだ‼︎たいへ〜ん‼︎」

 

「うわぁ‼︎」

 

ポーラは体を洗う場所から、体を乗り出してこちらを見ていた

 

「隼鷹さん。変態さんですかね〜」


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