艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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63話 ラスト・ヒロイン(3)

「こんにちは、ミハイルさん‼︎」

 

「こんにちは。プリン二つ貰えるかい⁇」

 

「はいっ、どうぞ〜‼︎」

 

瑞鳳が売っている、このプリンの商品名は”50円プリン”

 

最近、横須賀繁華街で有名なスイーツだ

 

手の平サイズの小さな容器にプリンが入っており、二口三口で食べられる手軽さと、その安さが売りだ

 

栄養豊富で、赤ちゃんのデザートにも向いている

 

「Uちゃんが好きそう」

 

「生菓子だから、ここでしか食べられないのが難点だね…」

 

「ごちそうさま」

 

「美味しかったよ」

 

「また来て下さいね⁉︎」

 

瑞鳳と別れ、しばらく食べ歩きをした後、繁華街を離れた

 

海の見える階段で二人は腰を下ろし、胃を休める

 

「ミハイル」

 

「ん⁇」

 

「戦争が終わったら、Uちゃんと暮らすの⁇」

 

「そうだなぁ…私が居なくなったら、Uはひとりぼっちだからな…」

 

「ミハイルとケッコンしたら、グラーフ、Uちゃんのお母さんになれる⁇」

 

「なれるさ‼︎私もそう願ってる‼︎」

 

「絶対、グラーフを裏切らない⁇」

 

「絶対しない」

 

「約束する⁇」

 

「約束する」

 

ミハイルの言動と目の本気さを見て、グラーフはポケットから何かを取り出した

 

「戦争が終わったら、これをグラーフに渡して欲しい」

 

取り出したのは、ケッコン指輪だ

 

プロポーズはグラーフからした

 

「男のメンツ、潰した⁇」

 

「ううん。こういうのもありだね‼︎分かった‼︎じゃあ、私からはこれを」

 

ミハイルは鞄から箱を取り出した

 

「開けてみて⁇」

 

言われるがまま箱を開けると、中には新しいウエストポーチが入っていた

 

「向こうで流行っててね。使い勝手がいいらしいんだ」

 

「ありがとう…嬉しい‼︎」

 

ミハイルと居ると、グラーフはどんどん女になる

 

「私はこれからしばらく、各基地を渡らなきゃいけない」

 

「今度はグラーフが逢いに行く」

 

「分かった。楽しみにしてるよ…」

 

二人は自然とキスをする

 

しばらくして離れ、軽く口付けをし、ミハイルは横須賀を去った

 

少し寂しくなったグラーフは、繁華街に戻って来た

 

和菓子屋の外で、文月と総理が楽しそうに団子を食べている

 

そんな二人を見て、ふと自分とUちゃんを重ね合わせた

 

グラーフはほんの少しだけ、微笑んだ後、基地に戻る為にスペンサーに乗った

 

《楽しかった様で》

 

「プロポーズしたよ」

 

《女性から…ですか。まぁ、それも斬新で良いでしょう》

 

「帰ろう」

 

《了解しました》

 

 

 

 

 

基地に帰ると、レイがソワソワしていた

 

「ただいま」

 

「おめでとう‼︎」

 

相変わらずのドンドンパフパフ状態

 

「さっきミハイルから電話があった‼︎プロポーズしたんだって⁉︎」

 

「うんっ…グラーフからしたの」

 

グラーフは照れ臭さそうにしている

 

普段、二人には見せない表情だ

 

「斬新で宜しい‼︎はぁ〜‼︎これでツレは全員ケッコンかぁ〜‼︎」

 

「良かったな、レイ‼︎」

 

「おぅ‼︎今日は宴だぜ‼︎」

 

グラーフがヒロインの時間は終わり、今度は嫁として生まれ変わった日を記念して、基地は一晩中騒がしいムードに包まれた

 

 

 

 

 

グラーフとミハイルがコン約しました‼︎


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