艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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63話 ラスト・ヒロイン(2)

「では、私達はこれで。横須賀君、任せたよ。グラーフ、デート頑張ってね⁇さぁ‼︎文月‼︎お父さんとご飯食べに行こっか‼︎」

 

「やったぁ‼︎」

 

総理は去り際、超☆子煩悩っぷりを見せた

 

「まさか総理が文月を引き取るとはね…」

 

「総理、息子いるの⁇」

 

「えぇ。総理の息子なのに、コネや裏口を全く使わず、自分の力で入隊した、とても立派な軍人よ⁇総理と良く似てるわ。顔も性格も。裏表も無いし、人の話を聞いて、意見を出す所とか特に」

 

「最近、ケッコンしたって言ってた」

 

「そう言えばしてたわね…」

 

「横須賀さん」

 

話していたら、横須賀の背後に誰か現れた

 

「これ、頼まれてた軍規違反の処分の結果書です」

 

呉さんだ

 

相変わらず強面だ

 

「いつも悪いわね…」

 

すると、呉さんは気まずそうな顔をした

 

「全員、トラック送りです…」

 

「あぁ…まぁ、仕方ないわね…」

 

「生きては帰れませんよ。では、隼鷹と繁華街で待ち合わせがあるので」

 

「ごめんなさいね、忙しいのに」

 

呉さんは自身の帽子のつばを触り、その場を後にした

 

「噂の彼よ…」

 

「呉さんが⁇」

 

流石のグラーフも驚きを隠せない

 

まさか、総理と呉さんが親子だったなんて…

 

でも、言われてみれば似ている気がする

 

「グラーフ‼︎」

 

「ミハイル‼︎」

 

グラーフの顔が、パァッと明るくなる

 

恋する乙女の顔だ

 

「ジェミニ、行ってくる」

 

「行ってらっしゃい‼︎」

 

 

 

 

二人は繁華街に来た

 

「何食べたい⁇」

 

そう切り出したのはグラーフの方だ

 

「そうだなぁ…あれなんてどうかな⁇」

 

ミハイルが指差す先には、串に刺した肉が売っている

 

「食べ歩きにする⁇」

 

「それもいいね‼︎そうしよう‼︎」

 

出店の前に立ち、グラーフが注文する

 

「二本下さい」

 

「了解‼︎ちょっと待ってね‼︎」

 

店員は、いつの間にか恋人繋ぎをしていた二人の手を見た

 

「いいカップルじゃない‼︎」

 

「ホント⁇ありがとう」

 

「ありがとうございます」

 

「私も欲しいな〜…いい相手居ないかしら…」

 

不信に思ったグラーフは、看板の名前を見てみた

 

”神戸牛串・足柄屋”

 

「はい‼︎出来上がり‼︎熱いから冷まして食べてね‼︎」

 

「ありがとう」

 

互いに一本ずつ受け取り、近くのベンチに座り、少し冷ましてから口に入れた

 

「美味しい…」

 

「うまいな…」

 

店員に対して不信感は否めなかったが、肉は絶品だった

 

「甘いの食べたい」

 

美味しかったが、味の濃い物を食べた後は、甘い物が食べたくなるのはグラーフの癖だ

 

毎食後、軽いデザートをいつも食べているが太らない

 

…何処に行ってるかは、もう言わない

 

「この前ここに来た時、凄い美味しいプリンを売ってる子がいたんだ‼︎」

 

「プリン食べたい」

 

「行こっか‼︎」

 

「うん」

 

しばらく歩くと、瑞鳳がいた

 

「プリン美味しいですよ〜‼︎卵焼き焼き過ぎて最近飽きて、プリン売ってますよ〜‼︎卵焼きも焼きますよ〜‼︎」

 

だが、ちゃんとコンロとフライパンはある

 

「瑞鳳」

 

「あ‼︎グラーフさん‼︎デートですか⁉︎」

 

「そう。ドイツ海軍のミハイルさん」


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