艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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さて、62話が終わりました

今回のお話は、リクエストを頂いたとある艦娘のお話です

それと、色々暴露もあります


63話 ラスト・ヒロイン(1)

「隊長、行って来ます」

 

「行ってらっしゃい‼︎ミハイルに宜しくな⁇」

 

「いざとなったら、色気で落として来い‼︎俺と違って、色仕掛けは効果抜群だ‼︎」

 

「色仕掛けする」

 

毎回毎回要らない事を言うレイを軽くいなし、意気揚々とグラーフが乗ったスペンサーが飛び立つ

 

グラーフは、以前ミハイルと約束した本土でデートをする

 

基地では、相変わらずガキの二人が心配半分、面白半分で、執務室から空を眺めていた

 

「グラーフは抱き心地良いからな…そろそろミハイルも煩悩に負けんじゃねぇか⁇」

 

「抜けてる様に見えて、母性本能に溢れてるからな」

 

《聞こえてるぞ‼︎》

 

思いっきり会話内容がバレていた‼︎

 

「カッコいいよな‼︎グラーフって‼︎」

 

「機体に乗ると一層凛々しくなるな‼︎」

 

《フッ…宜しい。ここから先は私一人で大丈夫だ》

 

「邪魔はしないよ」

 

「じゃあな〜」

 

無線を切り、二人でため息を吐く

 

「何でグラーフは戦闘機に乗ると性格キツくなるんだ⁉︎」

 

「気圧でやられてるのか⁉︎」

 

二人のグラーフに対する疑問は絶えない…

 

 

 

 

「着いた」

 

スペンサーが横須賀基地に着いた

 

《今日は一層美しく見えます》

 

「そう⁇綺麗⁇」

 

グラーフはスペンサーの前で、クルッと一回転する

 

いつもの服ではなく、今日はグレーのワンピースを着ている

 

《貴女はいつも美しいです》

 

「スペンサー、白雪姫の魔女みたい」

 

《毒リンゴはあげませんよ》

 

「お留守番、お願いね⁇」

 

《畏まりました》

 

フィリップが子供っぽく、天真爛漫な性格をしているのとは間逆で、スペンサーはいつも紳士的な対応をする

 

待ち合わせ場所は、横須賀基地の工廠前

 

そこは広場になっており、時々艦娘達が遊んでいる

 

「ん〜…」

 

グラーフは二時間も前に待ち合わせ場所に着いていた

 

暇なので、少しだけその辺を探索する事にした

 

「あ」

 

施設の中から、スーツでピシッと決まった、厳つい初老の男性が出て来た

 

「ご機嫌よう、総理さん」

 

出て来たのは、いつかの総理大臣だった

 

「おや…君は大佐の所の…グラーフだったかな⁇」

 

「そうです。視察ですか⁇」

 

「そう。色んな人とのコミュニケーションは大切だ。今日は一人か⁇」

 

「デートです。息抜きします」

 

「君達はもっと息抜きしなさい。いつも国を護ってくれているのだから」

 

話せば話す程、パパとレイがこの人に着いたのが分かる気がする

 

ふと目線を下に落とすと、総理大臣の手には、小さな手が握られている

 

「こんにちは、ぐらーふさん‼︎」

 

「あら、小さい」

 

グラーフは膝を折り、総理に付いている女の子に目線を合わせた

 

「お名前は⁇」

 

「ふみつきっていうの‼︎おとーさんのようじょなんだよ‼︎」

 

グラーフが一瞬だけ総理に顔を戻すと、デレデレの顔をしていた

 

「幼女の養女…ふふふ」

 

グラーフは案外オヤジギャクに弱い

 

「息子も少し前にケッコンしてね…老いぼれの最後の楽しみさ…よいしょ」

 

総理はふみつきを抱き上げ、頬にキスをする

 

ふみつきは嬉しそうだ

 

「レイに礼を言っておいてくれ。彼女を救ってくれて、ありがとう、と」

 

「畏まりました」

 

頭を下げるグラーフだが、笑いが込み上げて来ている

 

(レイに礼…ふふふ)

 

だが、頭を上げるといつものグラーフ

 

精神力でねじ伏せているが、次来たらヤバい

 

「あら、グラーフ‼︎」

 

「ジェミニ」

 

横須賀は、グラーフだけはジェミニと呼ぶのを許している

 

理由は分からないが、恐らく互いが女同士の同僚だからだろう


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