艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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62話 妹達への贈り物(3)

「手元の引き金を引けば、弾が出る」

 

そう言われ、照月は引き金に指を掛けた

 

「待て待て‼︎試射は後だ‼︎そんで、コレを腰に巻く」

 

二人の腰に、弾薬パックを巻いて行く

 

二人共腰がくびれてはいるが、ベルトを巻きながらでも柔らかさは伝わって来た

 

「この弾薬パックがあれば、しばらく弾切れの心配は無い」

 

「これも軽いです‼︎」

 

照月がピョンピョン跳ねても、全くズレずにいる

 

強度は良いみたいだ

 

「仕上げは…こいつだ」

 

二人の元に、長10cm砲ちゃんを返した

 

「長10cm砲ちゃん⁇」

 

「長10cm砲ちゃんには、敵味方識別システムと、敵追尾システムを組み込んだ。コレで誤射は一切無くなるし、主砲が格段に当てやすくなる」

 

「お兄ちゃん凄いね‼︎」

 

「えぇ…ですが、こんな上等な艤装、頂いても良いので⁇」

 

「二人にしか使えない。まっ、試射してから色々言ってくれ。フィリップ‼︎」

 

《はいはい》

 

いつの間にかきそはフィリップに入っていた

 

「的を出してくれ」

 

《オーケー。じゃ、みんな外に出て‼︎》

 

三人外に出ると、海上に的が出されていた

 

「あの的を撃ち抜いてくれ」

 

「はいっ‼︎」

 

まずは照月

 

この艤装は音が小さく、反動も少ない

 

だが、威力は高くしてある

 

「わぁ‼︎」

 

照月の撃った弾は、的を粉々にした

 

「秋月」

 

「はっ‼︎」

 

秋月の撃った弾も、的を粉々にする

 

「凄い威力…」

 

「信管を特殊な物にしてある。ある程度距離が離れていても、相手にダメージを与えられる。それとな…」

 

照月の手を取り、俺に銃口を向けさせた

 

「お、お兄ちゃん⁉︎危な…‼︎」

 

照月が反発する前に、俺は無理矢理引き金を引いた

 

だが、弾は出ない

 

「味方には撃てない」

 

「も…もう‼︎ビックリさせないでよ‼︎」

 

照月がポカポカと叩いて来た

 

「まっ。どう使うかは君達次第だ」

 

「ありがとう‼︎お兄ちゃん‼︎」

 

「ありがとうございます‼︎レイさん‼︎」

 

「秋月も”お兄ちゃん”でいいぞ⁇」

 

と、冗談で言ってみた

 

「…兄さん‼︎」

 

「フッ…それでいい」

 

カッコつけて言うが、鼻に違和感を感じた

 

「お兄ちゃん‼︎鼻血鼻血‼︎」

 

「おっ⁉︎」

 

どうやら、俺は”お兄ちゃん系”で呼ばれるのが嬉しいみたいだ

 

その後、照月にハンカチで抑えて貰い、何とか事無きを得た

 

 

 

 

 

 

艤装を貰って、レイが去った後、照月はまた防波堤で口を開けて空を見ていた

 

「長10cm砲ちゃん。お兄ちゃんは凄いね⁉︎」

 

長10cm砲ちゃんは、照月を見て頷く

 

照月は長10cm砲ちゃんを撫で、抱き上げる

 

「お兄ちゃん…」

 

照月は夕日と同じ様に頬を染めていた


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