艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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62話 妹達への贈り物(2)

工廠の裏に向かい、そこに二人を座らせて、ラムネを飲ませた

 

二人共、手が小さいので両手でラムネを持って飲んでいる

 

「力の要らない、小型の艤装…っと」

 

ラムネを飲みながら、メモを書き進めて行く

 

「そういや、最近宝石見付かってねぇな…」

 

「宝石⁇」

 

興味を示した照月に、きそが説明する

 

「ちょくちょくあるんだ。この前もたいほうちゃんと砂浜で遊んでたら、ビー玉みたいなルビーが出てきたんだ‼︎ホラっ‼︎」

 

きそはポケットからルビーを出して、照月に見せた

 

「ほへ〜…」

 

「照月にあげる‼︎」

 

「いいんですか⁉︎」

 

「うんっ‼︎ラバウルにいるアレンって人にお願いすれば、アクセサリーにしてくれるよ‼︎」

 

照月は口を開けて喜んでいる

 

嬉しくても口が開くのか‼︎

 

「じゃあ、僕は食堂にいるよ。何かあったら呼んでね‼︎」

 

「おう」

 

きそが去り、照月と二人きりにされた

 

「まぁ…あれだ。きそと仲良くやってやってくれ」

 

「きそちゃん、いい子ですよね‼︎」

 

「あいつは、ここの基地じゃ照月と秋月の次に新参なんだ。まだ不慣れな事も多い」

 

「大丈夫‼︎照月に任せて‼︎」

 

ガッツポーズをする照月を見て、少しホッとした

 

小柄なのに、ガッツはあるみたいだ

 

「さてっ‼︎俺はしばらく工廠にこもるよ。企業秘密だから、誰も入れるなよ⁉︎」

 

「うんっ‼︎分かった‼︎」

 

工廠に入っても、窓から照月の姿は見えた

 

しばらくラムネを飲んだ後、照月は基地の中に入って行った

 

「さてっ…」

 

適当に書いたメモを、机の上に放り、椅子に座る

 

・簡単に使える

 

・上を向くと口が開く

 

・小型軽量化

 

尚且つ高性能…と、なると、かなり難しくなるが、一つだけ思い当たる節があった

 

「…やってみるか」

 

眼鏡を掛け、作業に取り掛かった

 

 

 

 

夕方…

 

「まっ、こんなもんだろ」

 

工廠のド真ん中には、2つの艤装が置かれており、その後ろには、専用の弾と弾薬パックが置かれている

 

片方は照月

 

もう片方は秋月の為の物だ

 

”えらいちっさいな”

 

「駆逐艦が使うんだ。これ位が丁度いい」

 

”長10cm砲ちゃんのもあるんか⁇”

 

「あるぞ。二人を呼んで来てくれ」

 

”アイアイサー‼︎”

 

数分後、数人の妖精が二人を連れて戻って来た

 

入って来た途端に、俺は開口一番にこう言った

 

「長10cm砲ちゃんを貸してくれ」

 

「はい‼︎」

 

「どうぞ‼︎」

 

案外潔く長10cm砲ちゃんを貸してくれた

 

各々の長10cm砲ちゃんを受け取り、内部を開ける

 

「新しいシステムに切り替える」

 

「はぇ〜…こうなってるんだ〜…」

 

口を開けて驚いているのは…秋月だ‼︎

 

…姉妹って似るんだな

 

「よし、出来た‼︎じゃ、二人に艤装をあげよう‼︎」

 

「艤装⁉︎」

 

「君達二人の弱点は火力の無さだ。それを補う為、対空性能を生かしたまま、火力を底上げ出来る専用装備だ」

 

「これ、ですか⁉︎」

 

「右手、出して」

 

まずは照月の右手に艤装を付けた

 

俺が造ったのは、手の甲に巻き付けるタイプの小型主砲だ

 

「軽いです‼︎」

 

「あ、秋月にもお願いします‼︎」

 

「よしよし」

 

秋月の右手にも、艤装を付ける


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