艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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さて、61話が終わりました

今回のお話は、照月秋月の艤装のお話です

ちょろっときそも出てきます


62話 妹達への贈り物(1)

照月と秋月が基地に来た

 

俺の艦隊に入ったのは照月だ

 

新艦の子には、その子専用の艤装をプレゼントするのが俺の流儀だ

 

今回は照月の生活に密着して、何かヒントを得よう

 

 

 

朝…

 

食堂にみんなが集まる

 

たいほうに前掛けをかけながら、チラチラ照月の方を見る

 

「いただきま〜す‼︎」

 

照月は目玉焼きを箸で掴み、そのまま切らずに口にした

 

しかも、箸の持ち方がおかしい

 

Uちゃんが色鉛筆を持つ時と同じ持ち方だ

 

もしかして…

 

「照月。こっちの方がいいか⁇」

 

「うんっ‼︎そっちの方がいい‼︎」

 

たいほうがいつも使っている、プラスチックのスプーンとフォークを手渡すと、ちゃんと食べ始めた

 

箸が持てない訳ではないが、こっちの方が食べやすそうだ

 

「なるべく簡素な物…と」

 

 

 

朝食を食べ終えると、昼食まで自由時間だ

 

まっ、この基地は食事以外は自由時間みたいなものだけどな

 

照月は食堂を出て、長10cm砲ちゃんと工廠の裏に向かった

 

俺は工廠に入り、適当に置いてあった設計図で顔を隠しながら、裏にいる照月を見ていた

 

特に何かする訳でもなく、防波堤に足を降ろしてプラプラしている

 

「レイ、見て‼︎」

 

きそに呼ばれてフィリップに乗ると、モニターに照月が映し出されていた

 

「照月の様子を見てるんでしょ⁇フィリップのモニターに映せる様に設定しておいたから、気になったらコレを見て⁇」

 

「参ったな…お前にゃバレバレか」

 

「レイの考えはお見通しだよっ‼︎」

 

にひひ、と、きそが笑う

 

きその頭を撫でながら、モニターを見る

 

モニターの向こうで、照月が口を開けて、嬉しそうに空を眺めている

 

横には長10cm砲ちゃんがいる

 

「上を向いたら、口が開く…と」

 

 

 

昼…

 

鹿島が持って来たサンドイッチを食べながら、きそと共に工廠の屋根の上のレーダーの調整をしていた

 

きそは機械に詳しく、助手の様な感じで、最近は整備に付き合ってくれる

 

「よしっ。あらかたオーケーだな‼︎」

 

「お兄ちゃ〜ん‼︎」

 

下で照月が呼んでいる

 

「上だ上‼︎どうした⁉︎」

 

照月は口を開けながら上を向いた

 

「ラムネ貰って来ました‼︎」

 

「よし、降りるよ‼︎」

 

ハシゴに手をかけようとした時、きそが話しかけて来た

 

「ホントに口開くね‼︎」

 

「ま、可愛いからいいんじゃないか⁇」

 

「レイ、最近お父さんみたいだね」

 

「元々貫禄あるだろ⁇」

 

「まぁね‼︎」

 

下に降りると、照月はラムネを三本持っていた

 

「はい、どうぞ〜‼︎」

 

「サンキュー」

 

ビー玉を落とし、ラムネを口にすると、二人が歯を食いしばりながらラムネと格闘していた

 

「んぎぎぎ‼︎」

 

「んぐぐぐ‼︎」

 

「…何やってんだ⁇」

 

「開かないんだ…」

 

「固い…」

 

二人はラムネの口を、ペットボトルのキャップを外す様な動作で開けようとしていた

 

「違う違う‼︎コレを使うんだ‼︎」

 

ビー玉を落とす為のプラスチックを手渡し、レクチャーして見せた

 

「ぐぬぬぬ…」

 

「ん〜〜〜っ‼︎」

 

どう足掻いても、二人のラムネは開かない

 

「ほれ、貸してみ⁇」

 

二人のラムネを受け取り、いとも簡単にビー玉を落とした

 

「凄い‼︎」

 

「ありがとう‼︎」


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