艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

230 / 1086
60話 二人の死神(5)

「あと一つだけ聞かせてくれ」

 

「何です」

 

「何人いた⁇」

 

照月は震えた手で指を三本立てた

 

「オーケー。後は任せろ‼︎フィリップ‼︎オートパイロット解除‼︎」

 

《マニュアルに切り替えるよ‼︎》

 

先程まで自動で動いていた操縦桿が初期位置で固定された

 

「フィリップ。照月の皮膚組織を検索してくれ」

 

《オーケー。モニターに出すよ》

 

フィリップのモニターに、照月の情報が表示された

 

「いつの間に…」

 

「さっきフィリップに触っただろ⁇よし、そこから匂いの分析だ」

 

《分析中…チョット待ってね…出た‼︎》

 

モニターに、照月の体臭に一番近い匂いが表示された

 

「よし、基地一帯をスキャニングしてくれ」

 

《スキャニング中…完了‼︎》

 

「照月の体臭と一致する箇所をレーダーに表示してくれ」

 

《反応多数。あ、待って‼︎三ヶ所に分散してる‼︎》

 

「よ〜しビンゴだ‼︎俺のタブレットにレーダーマップを転送しといてくれ」

 

《了解‼︎着く頃にはタブレットで表示出来るよ‼︎》

 

「凄い…」

 

照月は再び驚いていた

 

目の前で、一目見ただけでは分からない機械の類を、彼は一人で全部操っているのだ

 

それも、戦闘機を操縦しながらだ

 

そうこうしている内に、フィリップは着陸態勢に入った

 

「照月」

 

「はい」

 

「提督の所に戻ってろ」

 

「…はい」

 

照月がフィリップから降りると、俺はもう一度モニターをいじった

 

「さ〜てとっ‼︎一仕事しますか‼︎」

 

 

 

 

「フィリップが降りて来たな」

 

「お〜い、隊長〜‼︎」

 

向こうからレイが走って来た

 

「何やってんだ⁇」

 

「秋月を戦闘機に乗せてやろうと思ったんだけど…良いのが見つからなくてな…」

 

「あ〜、じゃあフィリップに乗ってみるか⁇」

 

そう言えば、フィリップに乗った事が無かった

 

「いいのか⁉︎」

 

「ついでに秋月にフィリップは敵じゃねぇって、教えてやってくれ」

 

「なるほど…了解した。しばらく借りるよ」

 

「擦んなよ〜⁉︎」

 

そう言うと、レイは何処かに行ってしまった

 

「じゃあ…乗ろうか‼︎」

 

「はい‼︎隊長‼︎」

 

フィリップに入ると、自動的に全てのシステムが起動した

 

《ありゃ⁇パパ⁉︎》

 

「操縦するのは初めてだな」

 

「せせせ戦闘機が喋ってますよ⁉︎」

 

「彼女の名前はフィリップ。私達の味方さ」

 

《初めまして、秋月ちゃん。僕はフィリップ‼︎》

 

「あ…秋月です‼︎」

 

《さぁ‼︎行こうか‼︎》

 

フィリップは、本日二回目の巡回飛行に向かう

 

 

 

 

地上では、レイがタブレットのレーダーマップを見ていた

 

「アホパイロットがいるダズル」

 

目の前にワンコの所の榛名がいる

 

どうやら遠征の帰りに立ち寄ったみたいだ


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。