艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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60話 二人の死神(2)

「紹介するわ。防空駆逐艦”秋月”よ」

 

「防空駆逐艦…成る程な…」

 

「二人が動けないのは、その子がパイロットの天敵だからよ」

 

本能が寄せ付けないのか…

 

成る程…

 

「秋月は良い子よ⁇」

 

「顔見たら分かる…体が動かんだけだ」

 

「頭触って見たら⁇」

 

言われた通りに、秋月に手を伸ばすが、やはり体が受け付けず、途中で止めてしまった

 

「秋月の事…嫌いですか⁇」

 

「嫌いじゃない‼︎本当だ‼︎信じてくれ‼︎」

 

「秋月。艤装を降ろしなさい」

 

「あ‼︎忘れてました‼︎」

 

床にドカッと艤装が置かれ、妖精達が何処かに運んで行った

 

それと同時に、俺と隊長の血の気も戻った

 

「改めて…申し訳ありませんでした‼︎」

 

「テメェか‼︎隊長のコルセア叩き落としたのは‼︎」

 

「敵機だと思って…」

 

「レイ、秋月は産まれ立てなの」

 

「産まれ立てって…」

 

「数日前建造されたばかりの子よ。後もう一人居るんだけど…」

 

その時、隊長の眉間にシワが寄った

 

「レイ」

 

「あぁ…」

 

何処からか、視線と殺気を感じる

 

秋月のから感じた殺気と同じだが、二人共順応が早い為、体を動かせる

 

「照月。出て来なさい」

 

「…」

 

島風の連装砲ちゃんみたいな子を抱えて、部屋の隅から出て来たのは、浜風とドッコイドッコイのロリ巨乳の女の子だ

 

「防空駆逐艦”照月”よ。秋月の妹なんだけど、経験はこの子の方が上よ」

 

「ま、よろしくな、照月」

 

レイがいつもの様に差し出した手を、照月は弾いた

 

「触らないで‼︎」

 

「こら照月‼︎ちゃんと挨拶しなさい‼︎」

 

秋月が声を荒げた

 

「秋月。照月を連れて、ちょっとだけ廊下に居てくれる⁇」

 

「はい、分かりました」

 

秋月は照月を連れ、執務室から出て行った

 

「は〜…」

 

横須賀は頭を抱えている

 

「とりあえず、色々申し訳ありません…秋月はコルセアを潰した上に、照月は失礼な態度を…」

 

「秋月はまだしも、照月は訳ありか⁇」

 

「そうね…」

 

横須賀は何故か俺から目を逸らした

 

「女の悩みか⁇」

 

「そうね…それも重大な…ね」

 

「恋してるって…感じじゃなかったな」

 

そう言ったのは隊長だ

 

「私達に異常な殺意を向けていた。あれは本気の殺意だ」

 

「俺の言い方がキツかったか⁇」

 

「あんたはマヌケだから大丈夫よ…」

 

「なんだと⁉︎」

 

「襲われたのよ。入渠直後に、ね」

 

その場に居た全員が黙る

 

そこまで重たい内容だとは思っていなかった

 

「隊長、レイ。ここまで無礼な事をして頼めるタチじゃないけど…照月の面倒をしばらく見て頂けませんか⁇」

 

「俺達の艦隊に入れるのか⁉︎」

 

「違う。今日一日で良いの」


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