艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

225 / 1086
さて、ゴールデンウィーク特別企画もこれでおしまいです

さぁ、きそは何を歌うのか‼︎

分かった人は凄い‼︎



そして、ハイスピード感が否めないのはご愛嬌

ゴールデンウィークは既に終わっていたんだね‼︎

知らなかったよ‼︎


59話 ゴールデンウィーク特別企画③ 新世界より愛を込めて(4)

最初は明るそうな曲調で始まる

 

「おっ…」

 

「会う日まで〜」

 

アニソンだと思っていた俺達の意表を突く選曲だった

 

まさかのバラードで来るとは…

 

しかも中々上手い

 

この曲も、昔隊長が聞いてた歌だ

 

ラバウルさんがレコードを持っていたはず

 

「ドアを閉〜め〜て〜‼︎」

 

その場に居る全員が聞き入るレベルだ

 

子供達に至っては、知らない方が普通のレベルだ

 

俺が知ってるのも不思議なレベルだ

 

「おしまい」

 

「おぉ〜‼︎」

 

拍手喝采で、きその番は終わった

 

「きそ。そのまま俺に付き合え」

 

「うん」

 

俺が入れたのは、最近きそが見ていたロボットアニメの主題歌だ

 

「くたばれオモチャ野郎‼︎のアニメだ‼︎」

 

「行くぞ」

 

「うん‼︎」

 

 

 

曲が終わっても、きその熱はまだ冷めていなかった

 

「あぁ〜…チェンバーかっこいいよぉ〜」

 

「ホラ、時間だ。行くぞ」

 

カラオケ店を出ると、外は少し暗くなっていた

 

「レイ‼︎アレン‼︎風呂行くぞ‼︎」

 

大通りで隊長が待っていた

 

「おう‼︎アレン、行くぞ‼︎」

 

「お、おぅ‼︎」

 

新世界の中心線の端に、デカい入浴施設がある

 

「じゃあな〜」

 

「またここで集合な」

 

女と男に分かれ、風呂に入る

 

男風呂の入浴シーンは、誰も見たくないので、割愛させて頂く

 

が、中は色々な入浴施設があり、充分楽しめた…と、だけ言っておく

 

 

 

 

一時間程すると、全員エントランスに戻って来た

 

「んじゃ、帰りますか」

 

アレン達と別れ、阿倍野橋のホテルまで再び歩く

 

既に薄暗くなっており、たいほうは武蔵の肩で

 

しおいと霞も、ローマの腕で眠っていた

 

「疲れたのだな」

 

「そうね。散々はしゃいだもの」

 

「レイ。今日はありがとう‼︎」

 

きそは先程、武蔵がたいほうにしている”肩車”をして欲しいと言って来たので、今俺の肩の上にいる

 

「ちゃんと寝るんだぞ⁇」

 

「パパとレイはもう少しお出掛け⁇」

 

「そっ。昼間の御礼さ。さっ、着いたぞ」

 

ホテルの入口に着き、きそを降ろした

 

「提督、レイ。子供達は任せろ‼︎」

 

「兄さんも息抜きして来て⁇」

 

「じゃ、任せたぞ」

 

子供達を二人に任せ、隊長と共に再び新世界に向かう

 

 

 

「やってるか⁇」

 

暖簾を分けると、割烹着を着た名取がいた

 

…何処と無く、犯罪臭がする

 

「いらっしゃいませ‼︎お好きな席にどうぞ‼︎」

 

隊長とカウンター席に座り、まずは昼間の謝罪をした

 

「昼間はすまなかったな…」

 

「本当にすみませんでした…まさか品物を切らすなんて…」

 

「とりあえずビール‼︎隊長は⁇」

 

「私もそれで」

 

「かしこまりました‼︎」

 

名取が作業している間、店内を見回す

 

小さなテレビ

 

有名人のサイン色紙、数枚

 

キープされているであろう酒瓶、大量

 

店内は満席とまでは行かないが、ポツポツ人が座っており、繁盛している部類に入る

 

そして、隅っこの席に座る緑とオレンジのTシャツを着た女性が二人と、中年の男性

 

「美味しいですねぇ〜‼︎」

 

「蒼龍⁉︎また食べ過ぎたらダメよ⁉︎」

 

「お腹空いてたら、飛龍を食べるんで控えめにします。あ、物理的にですよ⁇」

 

「蒼龍。満足するまで食べ歩きましょう‼︎」

 

「流石提督‼︎太っ腹ぁ‼︎」

 

「トラックさん⁉︎」

 

「お疲れ様です‼︎」

 

互いに存在に気付いた

 

「お待たせしました‼︎」

 

俺達の前に、ビールと出汁巻き卵が置かれた

 

「出汁巻きはサービスです」

 

「そっか。サンキュー」

 

とりあえず頂く事にした

 

出汁巻きを一口食べ、ビールを飲む

 

「う〜ん‼︎凄く美味しい‼︎」

 

キンキンに冷えたビールは、疲れを一気に吹き飛ばしてくれた

 

「レイさん…」

 

飛龍がポーッとした顔で、俺の方を見ている

 

「どうしたんだ飛龍⁇」

 

「レイさん…いいパイロットですよね…」

 

「美味しそうな肉付きですねぇ‼︎」

 

「…違うと思うぞ」

 

「レイさん‼︎」

 

「んあ⁇」

 

意を決した飛龍は、俺の所に来た

 

「番がいるのは分かっています。私にも提督が居ます」

 

「お…おぅ…」

 

「わ…私の艦載機になって下さい‼︎」

 

飛龍は頭を下げた

 

「ヘッドハンティングだぞ、レイ」

 

隊長が肩を叩いて来た

 

「や、やめてくれ‼︎俺ぁ艦載機に乗るのは苦手なんだ」

 

「そんな…」

 

「そんな男は物理的に食べた方がい…」

 

トラックさんは蒼龍の口に唐揚げを放り込んだ

 

「その代わり、要請があれば何時でも駆け付ける」

 

「ホントですか⁉︎」

 

「空軍は嘘をつかないっ‼︎」

 

「やった‼︎」

 

「じゃあ毎日支援要請出して、疲労した所を頂きましょう‼︎」

 

「これ、蒼龍‼︎」

 

蒼龍は俺の事をどうしても物理的に食べたいらしい

 

笑いが絶えなくなった店内で、夜は更けて行った

 

 

 

 

俺達のゴールデンウィークは、こうして終わりを迎えた

 

少しばかりの休暇だったが、中々良い思い出になったと思う

 

…ほとんど日常と変わらない気もしたけどな


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。