「行くぞ‼︎」
大火力の武蔵の主砲が先制
「うわうわうわぁ‼︎」
至近弾を初撃で叩き込むのは、相当な熟練がいる
プリンツは持ち前の回避力で、何とか小破未満で済んだが、これ以上続くとマズイ
「行きます‼︎ファイヤァ‼︎」
流石に武蔵の主砲の威力には及ばないが、4連撃ともなると、それに匹敵する威力を見せる
「ぐっ…やるな‼︎」
互いに小破未満で済んだ
「武蔵…やっぱり、武蔵とは撃ち合いはヤダよ」
「そうだなぁ…どうやら、主砲の威力は互角の様だ」
互いに艤装を捨て、腕と首を鳴らす
海に落ちた艤装は、妖精達が回収している
「行くよ‼︎」
「来い‼︎」
海の上で、壮絶な殴り合いが始まった
「あ〜ぁ、やっちゃってるねぇ」
双眼鏡で二人の様子を見ていたレイは、私に双眼鏡を渡して来た
「どれ…」
双眼鏡を覗くと、武蔵がプリンツに右フックを当てていた
しかしプリンツは怯む事無く、武蔵の鳩尾に右ストレートをかます
「互角だな…」
「いや、プリンツが若干押されてる」
よく見ると、プリンツに若干の息切れが見えた
「何か分からないけど、決着付けるとか言ってるし、付き合ってやってくれないか⁇」
「俺は別に構わんよ。武蔵も楽しそうだしな」
武蔵はしっかりしたフォームでプリンツを少しずつ追い込む
対するプリンツは、持ち前のタフネスと、一昔前”アウトロー”や”ヤンキー”と言われた時代に培った、粘り強い格闘を見せていた
「やるな…ぷりんつよ‼︎」
「武蔵も…変わらず強いね‼︎」
互いに息を切らし、神経スレスレの戦いを見せていた
そんな時、プリンツの右フックが武蔵の頬に当たった
「…あっ」
大したダメージは無いはず
なのに、頬を叩かれた時、武蔵の胸が痛んだ
またこの感覚だ…
昔、同じ事をされた気が…
誰だ…
誰に…
「くっ‼︎」
痛む胸を隠し、プリンツに反撃する
「うわ‼︎」
「どうした。その程度か⁇」
「…まだまだ‼︎」
「武蔵がおかしい」
私は武蔵の異変に気付いていた
武蔵自体は特に異常なさそうな感じをしているが、いつもより瞬きが遅い
「やめさせるか⁉︎」
「何か…思い出してるのか⁇」
「…恋人、だったっけ⁇武蔵は」
「そうだ。今は”武蔵”として生きている」
「いいのか⁇このままで」
「むやみやたらに記憶を蘇らせるなって、横須賀に言われた。頭がイカれるらしい。だから、俺はその手解きをするだけだ」
「じゃ‼︎しょうがないか‼︎」
「演習だしな‼︎」
そう言って、二人は呑気に瓶のコーラを飲む
一旦プリンツから距離を取り、立ち止まる
流石の武蔵も、ここまで粘られるとスタミナが切れて来た