艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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54話 二人のヒロイン〜グラーフのデート編〜(2)

トラックさんと出逢ってから、レ級は更に明るくなった

 

トラックさんは時々、自身の基地の精鋭空母の二人、蒼龍と飛龍を連れて此処に来るが、その時もレ級を同席させ、三人別け隔てなく接している

 

「オマタセシマシタ‼︎」

 

ミートパスタとビールがそれぞれに置かれ、二人は口にする

 

「美味しい…」

 

「中々イケるな」

 

ミートパスタを食べるミハイルを見て、グラーフは手を止めた

 

「ミハイル」

 

「ん⁇」

 

「このパスタも美味しいけど、ミハイルの為なら、もっと美味しいパスタ、グラーフ作る」

 

「嬉しいよ‼︎ありがとう‼︎」

 

緊張が完全に取れていなかったミハイルの顔に、自然な笑顔が現れた

 

グラーフはミハイルの食べる姿を見るだけで幸せな気分になる

 

それは基地にいる時だってそう

 

子供達が食べる姿を見るのが、グラーフの生き甲斐だ

 

「ごちそうさま」

 

そして、本人もよく食べる

 

しかし、グラーフはあまり太らない

 

恐らく、全部胸に行っている

 

…ここで気付いて欲しい

 

愉快な三人の若い勇士達を

 

スティングレイ

 

アレン

 

そしてミハイル

 

全員、巨乳好きである

 

類は類を呼ぶとは、この事だろうか…

 

「また付き合ってくれる⁇」

 

「うん。次は本土に行こう⁇」

 

「うん‼︎」

 

個室を出ると、両手で頬杖をついたル級が、カウンター越しにニヤついていた

 

「ウマクイッタ⁇」

 

「うん。ホントにありがとう」

 

「オレイハ、コンドキタトキ、レンアイバナシヲキカセテ⁇ココノミンナ、レンアイバナシガダイスキ‼︎」

 

「分かった。楽しみにしてて⁇」

 

ル級は笑顔で手をヒラヒラし、二人を見送る

 

「Uを迎えに行くから、基地に寄るよ」

 

「うん」

 

先にミハイルがスカイラグーンから出た

 

その後すぐ、グラーフも飛び立つ

 

 

 

ミハイルより先に基地に着いたグラーフは、Uちゃんを呼んできた

 

「ごめんね、Uちゃん。寂しかった⁇」

 

「ううん、みんないるから、U、寂しくなかった」

 

「もう来るからね」

 

そう言っている間に、ミハイルが来た

 

「ごめんよU‼︎さ、帰ろっか‼︎」

 

「うん。みんな、今日はありがとう」

 

「ゆーちゃん、またあそぼうね⁇」

 

たいほうが手を振ると、照れてはいるが、嬉しそうにUちゃんは微笑んだ

 

「うん、ばいばい、たいほうちゃん」

 

船着場までグラーフが見送る

 

その様子を、レイと隊長が執務室から見ていた

 

「甘酸っぱいねぇ〜‼︎」

 

「恋愛っていいなぁ‼︎」

 

やはりこの二人、ガキである

 

そうなるのも、グラーフとミハイルが顔を赤くして会話しているのを見ているからである

 

ミハイルが基地を後にすると、二人は瞬時にチェスに戻る

 

「ただいま」

 

「おかえり。どうだった⁉︎」

 

顔を見れば分かるが、ここで敢えて聞くのがこの二人だ

 

「今度、本土に行く約束した」

 

「ミハイルが落ちたか…」

 

「グラーフは魅力的だからな」

 

「レイ、隊長」

 

「ん⁇」

 

「ん⁇」

 

「チェス、ホントにしてた⁇」

 

よく見れば、チェスの盤面はメチャクチャ

 

二人の額に冷や汗が流れ、手が止まる

 

「し…してましたよ、グラーフさん」

 

「レイが勝ってるんだ…な⁇」

 

「お、おぅ…」

 

「見てた⁇」

 

「み、見てないさ‼︎ホントだって‼︎」

 

「正直に言わないと、晩御飯抜…」

 

「「見た‼︎」」

 

晩御飯を抜かれてはマズいとの意見が、二人で合致した

 

「見たんなら…応援してね⁇」

 

そう言い残し、照れくさそうにグラーフは執務室を出た

 

「邪魔する訳ね〜だろ」

 

「二人共ケッコンしてるしな」

 

チェスを諦めた二人は、タバコに火を点け、しばらくくつろいでいた

 

 

 

 

 

 

「U。基地はどうだった⁇楽しかったか⁇」

 

「うん。コレ貰ったよ」

 

Uちゃんはジュラルミンケースから、小さな箱を取り出した

 

「0.03…うすうす…」

 

「赤ちゃんの作り方のお勉強したの。コレ、好きな人と使うって、みんなでお勉強したよ…」

 

「…大切に取っておきなさい。とても大事な事を習ったんだ」

 

「うん」

 

ミハイルは内心助かっていた

 

実はUちゃんも、きそと同じ質問をミハイルにした事があった

 

その時、ミハイルは焦ってしまい、うやむやにしてしまった

 

鹿島がした授業は、意外な場所で感謝されていた


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