艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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さて、46話、そして番外編が終わりました

今回のお話は、パパに久々の休暇が降ります

特に行く所の無い彼は、いつも通り自分の街へと帰ります


47話 愛の巣(1)

再びやって来た休暇期間

 

嫌で仕方無い

 

横須賀に言い渡され、「今度は一週間です」と言い捨てられた

 

毎日が休みみたいなものなのに、ましてや二週間は一切基地に近付くなと言われた

 

今回はスティングレイが居るから安心出来るが…

 

またしても何処へ行くか悩んだが、とりあえず横須賀鎮守府に向かう事にした

 

「大佐⁇休暇中じゃ⁇」

 

入ってすぐ、横須賀に見つかった

 

「車借りに来たんだよ」

 

「何処に行かれるんです⁇」

 

「まずは自分の街だ。その後は風まかせ…だな」

 

「気をつけてくださいね」

 

「ん」

 

車を借りようとしたが、現在軍用のジープしか無いらしく、再びバイクを借りる事にした

 

バイクに乗り、しばらく考え事をしながら走る

 

平和になったら一度、スティングレイとツーリングに出掛けてみたい

 

スティングレイとは傭兵時代、空いた時間を共に過ごす事が多かったが、本当の意味で遊んだ事は無かった

 

だから、一度二人で出掛けてみたい

 

そうこうしている内に、自分の街に着いた

 

「大佐⁉︎」

 

エンジンを止めた瞬間、パンパンのリュックサックを背負った瑞鳳と出会した

 

「買い物か⁇」

 

「うん。新しい料理に挑戦しようと思って‼︎」

 

「みんなは元気か⁇」

 

「うんっ‼︎ビスマルクが大佐に会いたがってたよ⁉︎」

 

「…乗るか⁇ビスマルクに会いに行くからついでだ」

 

「やった‼︎ありがとうございます‼︎」

 

瑞鳳がピッタリと背中に付き、バイクを彼女達の居住区まで走らせ、”びすまるく”と書かれた家の前に停めインターホンを鳴らした

 

「お客さんだよ〜‼︎」

 

《今出るわ‼︎待ってって言っといて‼︎》

 

中からドタドタと音がし、息を切らしたビスマルクが出て来た

 

「や、ヤダ‼︎大佐‼︎こんな格好で…」

 

ヘアバンドにメガネ

 

そしてジャージ

 

完全にリラックススタイルだ

 

だが、そこは流石のビスマルク

 

何を着ても似合う

 

「とりあえず入って。瑞鳳、貴方もよ」

 

「お邪魔しまーす‼︎」

 

部屋の中は綺麗に整理整頓してある

 

…書斎以外は

 

机の上にはパソコンが置かれ、周りには沢山の書類がある

 

「小説を書いてるのよ。戦えなくなった今、私に出来る事は文字で人を平和にする事よ」

 

「絵とよく似てるな」

 

「貴方のお陰よ」

 

「ビスマルク〜、台所借りるよ〜」

 

「どうぞ」

 

瑞鳳が台所に立ち、私達二人はリビングでコーヒーを飲み始めた

 

「今日は子供達と一緒じゃないの⁇」

 

「休暇だと。基地を追い出された」

 

「たまには子育てから離れるのもいいんじゃない⁇新しい事が見えてくるかも⁇」

 

「だと良いがな…」

 

「出来ましたよ〜‼︎簡単ですけど、おつまみです‼︎」

 

10分もしない内に出来上がったのは、油揚げを簡単に焼き、中にチーズを入れた物だ

 

「アルコールの薄いお酒もありますよ⁇」

 

机の上に置かれた、三本のチューハイ

 

「今日はここに泊まりなさい。いいわね⁇」

 

「ありがとう。助かるよ」

 

「じゃ、かんぱ〜い‼︎」

 

3つの缶が重なり、コツンと音が出た

 

「大佐、基地はどうなんです⁇」

 

「楽しいよ。今は相方に任せてある」

 

「指輪してるわね。結婚したの⁇」

 

「ケッコンした。武蔵を覚えてるか⁇」

 

「戦艦の人ですよね⁇大佐の子供を抱っこしてた」

 

「そう、あの子だ」

 

「戦争が終わっても、一緒に居るの⁇」

 

「そうだな…今はまだ分からない。何せ”カッコカリ”らしいからな」

 

「なら、私にもまだチャンスはあるのね⁇」

 

「やめろよ…全く…」

 

三人の笑い声が響く


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