艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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さて、45話が終わりました

お陰様で付き添い有りきなら、何とか外出出来る様になり、この間、大阪日本橋に行って来ました

同人誌売り場に鹿島棚があるのは本当だったよ

それと、ストリートフェスタにも巻き込まれた

さて、私事はこれ位にして

今回のお話は単発です

題通り、プリンツが少しだけ活躍します


46話 魔女は何でもお見通し

「クンクン」

 

「クンクン…」

 

「くんくん」

 

「な…なんだよ…」

 

朝刊を読んでいたスティングレイの所に、鹿島、プリンツ、たいほうが匂いを嗅ぎに来た

 

「煙草の匂いです‼︎」

 

「男の匂いがします…」

 

「てつのにおい‼︎」

 

「なんだよ。浮気したとでも思ったのか⁇」

 

「えぇ」

 

「私は別に‼︎」

 

鹿島は笑顔で本心を言い、プリンツは手振り付きで否定

 

「たいほうはにおいかぐだけ‼︎」

 

たいほうだけが純粋だった

 

「そうか‼︎たいほうは偉いな‼︎」

 

「たいほうえらい⁇」

 

「偉いぞ〜たいほうは天才だ‼︎」

 

スティングレイはたいほうを抱き上げ、外に出た

 

「たいほうちゃんに取られましたね」

 

「レイ、怒ってるわ…」

 

「えっ⁇」

 

何となく、鹿島には分かった

 

自分の旦那なのに、疑ってしまった

 

レイは私の事を信じていてくれるのに…

 

「心配するな。男に浮気は付き物だ」

 

腕を組んで座っていたのは武蔵

 

「そんな事を全部ひっくるめて、我々は番いになったはずだ」

 

「レイに謝らないと…」

 

 

 

 

「なにつくるの⁉︎」

 

「これか⁇新しい装備さ」

 

スティングレイの手元には、小さな機銃があった

 

「これは肩に乗せて使うんだ。ちょっと付けてみるか⁇」

 

「うん‼︎」

 

たいほうの両肩に、小さな機銃が乗る

 

「重いか⁇」

 

「おもたくない‼︎かるいね‼︎」

 

「これは、近接攻撃兼アクティブ防御の為の機銃だ」

 

「あくてぃぶぼーぎょ」

 

「自分で考えて、自分で撃って、たいほうを護ってくれる凄い機銃だ」

 

「たいほうにくれるの⁉︎」

 

「いいぞ。じゃあ、そこの的を狙ってみようか」

 

たいほうを的の前に立たせる

 

「頭で考えるんだ。的を撃て‼︎って」

 

「まと…」

 

たいほうが的を見て指を咥えた瞬間、両肩の機銃が静かに火を吹いた

 

「わぁ‼︎」

 

「サイレンサーも付いてる。気に入ったか⁉︎」

 

「うんっ‼︎すてぃんぐれいはすごいね‼︎」

 

「ふっ…」

 

たいほうの艤装取りながら、スティングレイはパパと同じ顔をする

 

優しい、父親の顔だ

 

「あの…レイ⁉︎」

 

モジモジしながら鹿島が入って来た

 

「鹿島か⁇どうした⁇オヤツか⁇」

 

「さっきはごめんなさい…」

 

シュンとして下を向く鹿島

 

「何で謝る⁇」

 

「だって…レイ怒っちゃったから…」

 

「鹿島…お前って、結構バカだよな⁇」

 

「なっ‼︎」

 

シュンとした顔が一気に赤くなる

 

「俺が怒ると思ったか‼︎ざんぬぇ〜ん‼︎」

 

「バカ‼︎」

 

「今に始まった事じゃね〜だろ‼︎」

 

「レイ〜‼︎」

 

「ぷりんつだ‼︎」

 

プリンツの所に走り寄ったたいほうが彼女に抱かれたのを見て、スティングレイは鹿島を抱き寄せた

 

「ほら、もう泣くな。俺は浮気なんてしてないよ。こんな最高の妻、誰が手放すもんか」

 

「…レイっ‼︎」

 

「まっ‼︎反省してるなら、今晩あたり相手する事だな‼︎はっはっは‼︎」

 

冗談交じりで工廠に戻るスティングレイに対し、今度は殺意が湧いて来た

 

「レイ〜⁇」

 

「は、はひ…」

 

鹿島の殺気に気付いたのかスティングレイの体が震え始めた

 

「分かりましたっ‼︎待ってますからね‼︎」

 

「お…おぅ‼︎」

 

「こうび⁇」

 

「たいほう。覚えなくていいからな⁇」

 

「私と遊びましょう‼︎何しましょうか⁉︎」

 

「あらたしいところいくの」

 

プリンツがウインクして、たいほうを連れて行ってくれた

 

一時の性格は何処へやら…

 

安堵のため息を吐き、工廠に戻る

 

 

 

 

たいほうとプリンツは林に行き、そこで遊び始めた

 

「あれは何です⁇」

 

「りす‼︎たいほうがはじめておぼえたいきもの‼︎」

 

二人の目線の先には、一匹のりすがいた

 

「これたべれるよ」

 

たいほうは木の実を取り、プリンツに渡す

 

渋っているプリンツを横目に、たいほうはそれを口にした

 

それを見て安心したのか、プリンツも口に入れてみた

 

「んっ⁉︎これは中々…‼︎」

 

「きいちご」

 

たいほうは海はあまり詳しくは無いが、やたらと木々や昆虫に詳しい

 

基地の敷地面積は限られており、尚且つ隔離されている

 

それに応じて、遊び方も少なくなる

 

たいほうはその限られた”遊び場”の中で、自分なりの遊び方を見つけた結果、こう言う事に詳しくなった

 

普段パパが買い与えている本の類も、あまり経験しない事が書かれている内容の本が多いのもある

 

二人は手を繋いで林の深い場所を目指した

 

「おはなさいてるね」

 

小さな花が沢山咲いている場所に着き、二人はそこに腰を降ろした

 

「ちょっと待って下さいね…」

 

プリンツが何やらしている手元を、たいほうは女の子座りをして見つめる

 

「はいっ‼︎」

 

「わぁ‼︎」

 

たいほうの頭に、花で作った冠が乗せられた

 

「ありがと‼︎」

 

「いーえー」

 

たいほうはしばらくプリンツの膝でゴロゴロした後、二、三本花を摘んだ

 

「きて、ぷりんつ」

 

「何処行くんです⁉︎」

 

たいほうに着いて行くと、海が見渡せる場所に着いた

 

その先の所に、小さな石碑があった

 

「おはか」

 

先程摘んだ花を石碑の下に置き、しばらくジーッと見つめる

 

「かいぞくのおはかかな⁇」

 

「そうかも知れませんね…」

 

プリンツが手を合わすのを見て、たいほうも手を合わせる

 

「これ、あげていい⁇」

 

「えぇ」

 

頭に乗った花の冠を石碑にかけた

 

「…帰りましょうか‼︎」

 

「うんっ‼︎」

 

 

 

 

「…」

 

数時間後、その石碑の前に黒い影が…

 

「コレハ…」

 

備えられた花を見て、その女性は微笑んだ

 

「ヤット…アイサレタンダナ…ママモ、イマヨウヤクアイサレタンダヨ⁇」

 

ル級は石碑を見て、優しく微笑んだ


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