艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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さて、41話が終わりました

互いの平和の為に尽力を尽くした、パパとスティングレイ

そんな二人を深海棲艦達は、自分達が開設した非武装地帯に招待します


42話 青い楽園(1)

基地からひとっ飛びした所に、新しい基地が出来た

 

「セントウキ、チャクリク‼︎」

 

見張り台に立った深海棲艦が鐘を鳴らす

 

ここは非武装地帯

 

通称、スカイラグーン

 

別に空に浮いている訳ではなく、パイロット達がよくここで羽休めをする為、この名が付いた

 

ここにいる間は、全員が平等

 

人間であれ、深海棲艦であれ、艦娘であれ、誰もが武装を降ろし、一休みする

 

「オツカレサマ‼︎」

 

「ここがスカイラグーン…」

 

「ノミモノハナニガイイ⁇コーラ、ミルク、アルテイドハアル」

 

「ジンジャーエールはあるかい⁇」

 

「アル。スグハコブ。ソコニスワッテマッテテクレ‼︎」

 

受け付けのル級に案内されたのは、ラバウル航空戦隊の三人

 

哨戒任務を終え、隊長にここを紹介されてここに来た

 

「座りましょうかね…」

 

ラバウルさんに続き、二人も腰を下ろす

 

「オニイサァン、タマッテナァイ⁇」

 

「あ、いや…私は別に…」

 

「ウフフッ、ソウ」

 

スティングレイとどっこいどっこいのイケメンであるバッカスは、その容姿とは裏腹に、身持ちは固かった

 

「ココハヨコスカチョクエイダカラ、ミンナタダ。ホキュウモオショクジモ…ネ⁇」

 

バッカスの顎を撫でながら、離島棲姫はここの説明を始める

 

「み、見返りは無いのか⁇」

 

「アルワ。サンショクヒルネツキ、タガイニコウゲキシナイ。ソレダケ。モクテキノナイハカイヨリ、ワタシタチハコッチノホウガイイノ」

 

「なるほどな…」

 

「アナタ、スティングレイハゴゾンジ⁇」

 

「知ってるも何も、あいつは親友だ…あっ…」

 

離島棲姫の擦り具合に、段々落ち始めたバッカス

 

「スティングレイモイケメンダケド、アナタタチモイケメン…」

 

「離島さん…」

 

「ウフフッ…」

 

離島棲姫はバッカスが気に入ったみたいだ

 

「ジンジャーエールダ」

 

「ありがとう」

 

「バッカス。落ちるなよ⁇」

 

「はっ‼︎」

 

ギュゲスの言葉で目が醒める

 

その頃、奥の入渠施設では…

 

 

 

「あっ…あぁ…」

 

「はぁぁぁぁぁ…」

 

私とスティングレイは露天風呂に入っていた

 

「これが流行りのインフィニティ温泉か…」

 

「最高…」

 

「イイユカゲンカ⁇」

 

「あぁ、最高だよ‼︎」

 

「ユックリシテイクトイイ」

 

戦艦棲姫がオレンジジュースを持って来た

 

「ワタシモハイル」

 

「来い来い‼︎」

 

「入れ入れ‼︎」

 

なんのためらいも無く、彼女を向かい入れる

 

「あ…」

 

バスタオルを取った彼女の腹部を見て、私は罪悪感を感じた

 

「ン⁇」

 

「その傷…」

 

「アァ、テイトクガツケタナ」

 

既に足を入れていた彼女は、身体全体を入れて此方に来た

 

「謝っても許されないよな…」

 

「コレハ、ヘイワノタメノキズ。ココニハ、ヘイワヲネガウヒトバカリ。ワタシモテイトクヲウラマナイ。テカ、スキ」

 

私の腕を掴む戦艦棲姫

 

「ソレニ、カンシャシナクテハイケナイ。ワタシタチニ、フタタビイキルカチヲクレタ」

 

「それは俺達も一緒さ‼︎な、隊長⁉︎」

 

「そうだ。みんなを受け入れてくれて、ありがとう」

 

「スキスキ」

 

「隊長〜、モテる男は困るなぁ⁉︎」

 

「自分に言ってんのか〜⁇」

 

「へっ‼︎」

 

「ふっ」

 

戦艦棲姫を腕に付けたまま、大海原を眺める

 

正直…平和だ

 

「アッタカイ…シアワセ…」

 

「ここがインフィニティ温泉ですか〜‼︎」

 

「明石、これは横須賀に造れる⁇」

 

「どうでしょうね〜…」

 

水飛沫を立て、スティングレイと共に振り返る

 

「横須賀だ…」

 

「明石もいるぜ…」

 

「あら、二人共ここにいたの⁇」

 

「出ました、出ましたよ、天下御免の横須賀さん。オネショは治りましたか〜⁇」

 

スティングレイの言葉で、横須賀の眉間にシワが寄る

 

そして見せる笑顔

 

「沈めて欲しいのね⁇分かったわ‼︎」

 

「ダメだぞ。ここにいる間はイザコザは無しだ」

 

「知ってるわよ。入るわよ⁇」

 

「勝手にどうぞ〜」

 

「はぁぁぁぁぁ〜幸せ〜」

 

トロンとした顔の横須賀を見たスティングレイは、私に耳打ちした

 

「いつもあんな感じなら良いのになぁ…」

 

「ちょっと肩肘張りすぎだよな」

 

「いいお湯ですねぇ〜…あっ…」

 

明石がイッた

 

側から見ていて、二人の姿は面白い

 

「隊長、ここのお風呂はしっかり入って下さいね」

 

「お、おぅ…」

 

「ここにいるみんなは知ってるから言うけど、隊長の深海化を安定させる成分が、ここには含まれてるの」

 

「ちょっと待て‼︎それは俺もか⁇」

 

「そうね。あんたのマヌケは治らないけど、治癒力を飛躍的に高めるわ」

 

「なるほど…」

 

「しかし不思議ね…」

 

横須賀は一番海を見渡せる場所に行き、再び腰を降ろす

 

「ここだけ、中立なのよね…」

 

「そう。敵味方関係ない、唯一の場所さ」

 

「いつか、全部がそうなるかしら…」

 

「なるさ。絶対」

 

「ソウネガウ」

 

「…隊長を見てたら、出来る気がします」

 

「もう上がるよ。のぼせる」

 

「ビールと洒落込むか‼︎」

 

「今日は二本までだぞ⁉︎」

 

「へへっ、了解了解‼︎」

 

隊長とスティングレイが上がり、残されたのは女衆三人

 

「隊長…否定しないんだ…」

 

「何がです⁇」

 

「レイがビール飲むとか言ってたの」

 

「隊長さんがあんな感じだから、みんな伸びるんじゃないんですかねぇ⁇」

 

「テイトクハ、トテモリッパ。ミンナテイトクスキ」


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