艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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5話 籠の中の雛鳥(2)

《パパ、ギョウショウセンガイッセキキテルケド、イレテモダイジョウブカナ⁇》

 

「ん⁇行商船⁇」

 

あぁ、横須賀君が言ってたあの事か

 

「構わん、入れてくれ」

 

《ハイッテイイヨ》

 

外に出ると、小型船が停泊していた

 

「いらっしゃい、どうぞごゆっくり」

 

中に入ると、所狭しと物資が置いてあった

 

「お菓子はあるか⁇」

 

「奥にありますよ」

 

あったあった

 

これとこれとこれと…

 

後は雑誌だな

 

あ、外国の煙草もあらあ

 

こいつも

 

「全部で幾らだ⁇」

 

「5000円です」

 

結構買ったのに、この値段か…

 

「定価で売って大丈夫なのか⁇」

 

「国からの仕事ですからね、定価以上取ったら嫌味を言われますよ」

 

「ふっ…ありがとう」

 

「ではでは」

 

大きな袋を抱え、船から出た

 

これでたいほうも喜ぶだろう

 

《パパ》

 

「どうした⁇」

 

《キョウハモウ、タンカーキタヨネ⁇》

 

「あぁ、来たよ⁇」

 

《モウイッセキ、タンカーキタヨ⁇》

 

「方向は⁇」

 

《ニシノホウカラ。ココニツクナラ、ヨルニナルヨ⁇》

 

「分かった。一旦帰って来い。補給と休憩だ」

 

《ラジャー》

 

「ただいま︎」

 

《タダイマカエッタゾ》

 

「ん、おかえり。何か見つかったか⁇」

 

《ドウクツヲミツケタ。ナニカアリソウダゾ⁇》

 

「洞窟か…次の遠征の時に調べてくれるか⁇」

 

《ソノツモリダ》

 

「さて…」

 

残るはそのタンカーか…

 

望遠鏡でタンカーを眺めていると、無線が入った

 

《タン…カ………認︎……命……を》

 

「何だ⁇混線か⁇フィリップ︎」

 

《キコエタヨ。タンカーノチカクカラダ》

 

「今どこにいる⁇」

 

《カートリッジノナカダヨ⁇》

 

「そのまま待機しててくれ」

 

《ラジャー》

 

《サテ、カラダノヨゴレヲオトシテクルゾ⁇》

 

「たいほうも︎」

 

「あぁ、行っておいで」

 

二人が入渠するのを見送った後、私は再び窓の外に目を向けた

 

「夜が近い…」

 

《ヨルニハココニツクヨ⁇》

 

「着かない事を祈るね…嫌な予感がする…」

 

まさか、その予感が的中するとは…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜に紛れ、一機の大型ホバークラフトがタンカーから出る

 

パパ提督にもフィリップにも気付かれず、基地に近付いて行く…

 

「エンジン音だ…戦闘機じゃないな」

 

《ナンダロウ…ネンピワルソウ》

 

「分からん…」

 

 

 

基地の死角から、数人が上陸する

 

黒いボディースーツに、手には自動小銃を携えた彼等は、とある場所を目指していた

 

 

 

「足音だ…まさか︎」

 

心配になり、入渠ドッグに走った

 

「たいほう︎マリア︎」

 

「パパ〜︎」

 

泣きながらたいほうが私に抱き着いた

 

「どうした︎何があった︎」

 

「まりあがつれていかれた︎」

 

「ん…分かった。妖精さんの所に居なさい」

 

たいほうを離した時、服のすそを掴む彼女がいた

 

「パパ、いかないで︎」

 

「マリアを助けてくる。たいほうは妖精さん達とお留守番だ」

 

「まりあもパパもかえってくる⁇」

 

「空軍は嘘をつかないよ」


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