艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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さて、35話が終わりました

今回のお話は、二人の人物が造った薬によって、基地がパニックに陥ります

※平和なお話です


36話 旅行鳩の惚れ薬(1)

基地の一角で、二人の会話が聞こえる…

 

「うふふっ…これで完成っ‼︎」

 

「これで本当に行けるのですか⁇」

 

「ええっ‼︎勿論です‼︎後はこれを何かに混ぜて飲ませれば…」

 

 

 

「かなぶん」

 

日の当たる場所で、たいほうは地べたにいるカナブンを木の棒で突いている

 

「かぶとむし」

 

左手に持っているのは、最近基地で見かけるカブトムシ

 

たいほうはカナブンの前にカブトムシを置き、真ん中にハチミツを塗る

 

「いけ‼︎かなぶんがんばれ‼︎」

 

どうやらカナブンとカブトムシを戦わせているみたいだが、カナブンがカブトムシに勝てる訳が無い

 

あっという間にカナブンはひっくり返された

 

「何してるんだ⁇」

 

一部始終を見ていた私は、たいほうの横で膝を曲げた

 

「パパ、かなぶんはよわいね」

 

「そうだな…たいほうはカナブン好きか⁇」

 

「うん。かなぶんはかたいんだよ⁇」

 

「カブトムシも固いぞ⁇」

 

たいほうはカブトムシを手に取り、私に見せた

 

「かぶとむしはずるいよ。つのあるんだよ⁇」

 

「カブトムシに勝てる虫でも探しに行くか⁇」

 

「行く‼︎」

 

たいほうは虫取り網と虫かごを持ち、私の手を取った

 

「さいきんね、カブトムシみたいなむしがいっぱいいるの」

 

「夏だからなぁ…」

 

私とたいほうは森に向かった

 

 

 

私達が森に行ってからしばらくした基地では…

 

「スティングレイ、お茶が入りましたよ‼︎」

 

「もうそんな時間か⁇よいしょ…」

 

フィリップの機体から降りて来たスティングレイは、鹿島の持って来たお茶を何のためらいも無く飲んだ

 

「美味しいですか⁇」

 

「何か変わった味だな…」

 

「うふふ…新しい茶葉ですよっ」

 

「ごちそうさま。もう少ししたら、そっちに戻るからな」

 

「えぇ。頑張って下さいねっ。うふふっ…」

 

 

 

 

「…」

 

ちょっと冷や汗をかきながら、はまかぜも鹿島と同じお茶を淹れた

 

「はまかぜ。ちょっと来て」

 

「あ、はい」

 

グラーフに呼ばれ、一瞬お茶から目を離した

 

「大佐」

 

そこに、運悪く定時報告に来た横須賀君

 

「ご丁寧にお茶淹れて…いただきます」

 

はまかぜの淹れたお茶を一気に飲み干す

 

「変わった味…なんだろ⁇」

 

「あ、横須賀さん。もう定時報告ですか⁇」

 

帰って来たはまかぜは、いつも通りの会話をする

 

「大佐はまた脱走⁇」

 

「いえ…たいほうと一緒に森に行きました」

 

「分かった。ちょっと見てくる」

 

「行ってらっしゃい」

 

横須賀が去った後、はまかぜは先程お茶を淹れたコップを取った

 

「…ヤバい」

 

横須賀が飲んだ為、勿論中身は無い

 

「提督が危ない‼︎」

 

はまかぜも森に走る

 

 

 

「とれた‼︎」

 

私とたいほうは森で昆虫を取っては、それらを戦わせていた

 

「くわがた」

 

「クワガタは強いぞ〜‼︎」

 

「いけ‼︎クワガタ‼︎」

 

思いが通じたのか、クワガタはカブトムシをハサミで持ち上げた

 

「かった‼︎」

 

「いた。大佐‼︎」

 

「横須賀か⁇もうそんなじか…」

 

たいほうも居るのに、横須賀は急に私に抱き着いた

 

「横須賀⁇」

 

「体が熱くて…ね、大佐…もっとキツく抱いて下さい…」

 

「やめろ。たいほうもいる…」

 

「たいほうもだっこ‼︎」

 

「あ〜もぅ‼︎おいで‼︎」

 

二人をしばらく抱き締める

 

確かに横須賀の体温が高い

 

病気では無さそうだが、心臓の鼓動も早い

 

「何があったんだ⁇」


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