艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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さて、33話が終わりました

雲龍も仲間に加わり、再び訪れた平和

そんな中、基地に訪問者がやって来ます


34話 三羽の凶鳥(1)

「雲龍隊、発艦」

 

「たいほうたい、はっかん‼︎」

 

基地の周りで、空母の二人が発艦の練習をしている

 

「よし…目標前方」

 

前方には、格納庫の前に座って焼きそばにむしゃぶりつくスティングレイが‼︎

 

「爆弾倉、開け」

 

雲龍の航空隊が爆弾倉を開き、下腹部から爆弾が出て来た

 

「投下」

 

焼きそばに向かって、機体が急降下していく

 

スティングレイは振り向きもせず、先頭にいた機体を箸で掴み、機体を裏返して爆弾を取った

 

”はなせ〜‼︎”

 

「サンキュー」

 

機体を離し、空に返す

 

スティングレイは爆弾の先端部分を取り、中身を焼きそばに振りかけた

 

機体に付けられていたのは、塩胡椒だった

 

「うまい‼︎流石ははまかぜだ‼︎ん⁇」

 

埠頭に一隻の船が来た

 

「連絡に無いぞ…フィリップ」

 

《武装してる‼︎スティングレイ、隠れて‼︎》

 

「ちっ…」

 

格納庫の隅に隠れ、息を潜める

 

《パパのライフルがそこにあるよ》

 

「よし」

 

ライフルを手に取り、なるべく音を立てない様に弾を詰める

 

「隊長、聞こえるか⁇」

 

《どうした⁇》

 

「武装した連中が接岸した。どうする⁇」

 

《私が出る》

 

無線を切ってしばらくすると、隊長が出て来た

 

「フィリップ、いつでも誘導弾を撃てる様にしておけ」

 

《了解。誘導弾セット》

 

「マズイ事になったな…」

 

 

 

埠頭に向かうと、スティングレイの言った通り、武装集団が待機していた

 

「何か御用で⁇」

 

「サンダーバード隊隊長は貴方か」

 

「そうだ」

 

「首相がお呼びです」

 

「断る。国には従事しない」

 

「では、強制的に連行します。やれ‼︎」

 

「そうかい…なら、反抗するだけだ‼︎」

 

数人がかりで隊長を拘束しにかかるが、隊長は全員押し返している

 

「船に人はいるか⁇」

 

《いない。あの偉いさんが運転してるみたいだ》

 

「よしフィリップ、船だ‼︎船に一発かましてやれ‼︎」

 

《了解‼︎誘導弾発射‼︎》

 

発射した後、強烈なカーブを描き、船に誘導弾が着弾、炎上する

 

「なにっ⁉︎」

 

「動くなよ」

 

偉いさんの後頭部にライフルを突き付けた

 

余程彼が殺されるのがマズイのか、隊長の周りにいた連中も両手を挙げた

 

その後、隊長と共に逆に拘束して尋問を始めた

 

「なんだこいつら」

 

「…督戦隊が何の用だ」

 

「今は違う」

 

「督戦…あっ‼︎お前ら”ストーカー”の連中か‼︎バーカバーカ‼︎」

 

「クソ野郎‼︎」

 

スティングレイは一人の連中をけしかけ、けしかけられた奴はキレ返していた

 

「今は首相お抱えの雑用係さ」

 

「落ちぶれたもんだな…やってる事は昔と変わらんか…」

 

「馬鹿にするな。我々にも理念がなる」

 

「んで⁇その首相とやらは俺に何の用だ⁇」

 

「分からん。ただ、連れて来いと」

 

「自分から来いってんだ…全く」

 

「まぁいい。お前らを連れて本土に向かう。スティングレイ、武蔵に子守りを頼んだ後、機体で追い掛けて来てくれ」

 

「了解した」

 

この基地に”一応”用意されたボロい船に乗り、本土を目指す

 

「変わらんな…お前は」

 

「ふっ…」

 

船の中で、一人だけ自由になった人がいた

 

フィリップが”偉いさん”と言っていた人だ


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