艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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32話 鷹の宝石(2)

工廠に向かい、妖精達に扉を開けて貰うと、中には煌めく艤装があった

 

妖精に造らせていた、出来る限りの技術が詰め込まれた、特注の艤装だ

 

「これで勝てそうか⁇」

 

”まぁな。艤装自体も充分やけど、あの子自体も大分強なっとるさかいな。テストさすか⁇”

 

「いや、明日の朝にしよう。疲れただろう。とりあえず、みんなで食べてくれ」

 

内ポケットからチョコレートを取り出し、妖精に渡した後、基地に戻った

 

”あれ”が出来たという事は、別れが近い…

 

執務室に入り、とある場所に電話をかけた

 

「えぇ。えぇ。明日の朝⁇はい、畏まりました。では」

 

電話を置き、深いため息をつく

 

「ほらチビ共‼︎お布団の時間だぞ‼︎」

 

「きゃ〜‼︎」

 

執務室から出ると、チビ達三人が武蔵に掴まれてはしゃいでいる

 

「武蔵、今日は俺が見よう」

 

「む、頼んだぞ‼︎」

 

「パパ〜‼︎」

 

三人を布団に入れ、絵本を取り出した

 

「今日は絵本を読んでやろう」

 

「やった」

 

三人の枕元で絵本を読んでいると、あっと言う間に眠ってしまった

 

………

 

もう少し、時間を取ってやれば良かったな…

 

不甲斐ない俺を、許してくれ…

 

全員の頭を撫でた後部屋を出て、自身も部屋で眠りについた

 

 

 

 

 

次の日の朝…

 

「今日はプレゼントがある。ご飯食べたら、工廠においで」

 

一足先に朝ご飯を食べ終え、工廠に向かう

 

”おはよう提督”

 

「おはよう。言ってる間に来る」

 

「パパ〜‼︎」

 

「来た」

 

先に来たのはれーべだ

 

少し遅れてまっくすも来た

 

「わ、何これ⁉︎ピカピカだぁ…」

 

「強そう」

 

目の前に置かれた艤装に興味深々の二人

 

「これは、君達の改装に必要な装備だ。今の君達になら、付けられるハズだ」

 

「よ、よし‼︎」

 

「えい」

 

二人とも、威勢良く艤装を付けた

 

「ん。良く似合ってるぞ」

 

「そ…そうかな…」

 

「軽い」

 

照れ臭さそうにしている二人を見ていると、汽笛が鳴った

 

「さっ、お迎えだ」

 

「え…」

 

「…」

 

外に出ると、ミハイルがいた

 

「やぁ、大佐‼︎」

 

「ミハイル」

 

握手を交わした後、しばらく他愛無い話が続き、本題に入る

 

「れーべとまっくすは如何してます⁇」

 

「あぁ…返す前に、一つ頼みが…」

 

「いたー‼︎れーべとまっくす‼︎」

 

「あ」

 

時既に遅し

 

プリンツが二人の所に走って向かっている

 

「いっちょまえに艤装なんか付けて‼︎戦えないのに付けても一緒だよ⁉︎」

 

開口一番キツイな…

 

「うるさい‼︎」

 

「‼︎」

 

「おやおや…」

 

いきなりれーべがキレた

 

普段温厚なれーべがキレたのは初めて見た

 

「この艤装は、大切な人から貰った装備だ‼︎誰であろうと、バカにするのは許さない‼︎」

 

「むっ…」

 

「な、何よ二人共‼︎生意気な口聞くんじゃ無いわよ‼︎駆逐の癖に‼︎」

 

プリンツがれーべに手を上げようとした時だった

 

「やぁ‼︎」

 

「フォイヤ‼︎」

 

二人のアッパーがプリンツにクリーンヒットする

 

「わぁ…凄いや‼︎」

 

「力が漲る」

 

「ど、どうしたんだ‼︎二人共‼︎」

 

慌てたミハイルが二人に駆け寄る

 

「パ…大佐から艤装を頂いたんだ」

 

「大佐は良い人。私達、強くなった」

 

「そうか…大佐、ありがとうございます」

 

「これで安心して本国に帰れるな⁇」

 

「う…うん…」

 

「そうね…」

 

本国に帰れるというのに、二人は何処か寂しそうだ

 

「大佐」

 

「ん⁇」

 

「二人を…貴方に託します」

 

「宜しいのですか⁇」

 

「えぇ…本国はまだ、深海の影響を受けておりません。彼女達はどうやら、ここに居た方が幸せそうだ」

 

「…」

 

「大佐、貴方に未来を託します」

 

「二人共、いいか⁇」

 

「うんっ‼︎」

 

「やったね」

 

最初とは随分違った、決意溢れる瞳で、私達を見詰めた

 

「それに、貴方になら安心して託せる。まさか、こんな短期間で改装までさせるとは…」

 

「彼女達の訓練の賜物です」

 

「ふふっ…では‼︎時々顔を見せに来ます‼︎」

 

「今度は横須賀で飯でも食おう」

 

「えぇ‼︎ほらプリンツ、行くぞ‼︎」

 

「は〜い」

 

二人に舌を出した後、ミハイル達を乗せた船は基地を去った

 

「パパ、これからもよろしくね⁉︎」

 

「お願いします」

 

「こちらこそ」

 

 

 

駆逐艦レーベレヒト・マースこと”れーべ・つゔぁい”

 

駆逐艦マックス・シュルツこと”まっくす・つゔぁい”

 

が、艦隊の指揮下に入ります‼︎




れーべ…ドイツから来た、駆逐艦の女の子

よく「男の娘⁇」と言われるが、れっきとした女の子

芯が強いが、まだまだ甘えたい盛り


まっくす…ドイツから来た、駆逐艦の女の子

口数が少なく、最初の頃は死にたがっていたが、今はれーべと共に強くないたいと願う

れーべと同じ、まだまだ甘えたい盛りだが、口数が少ないため、分かりにくい

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