艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

1059 / 1086
話数、題名共に変わりますが、前回の続きです

旧自衛隊基地でとある機体を見つけたマーカス

“彼”に乗り、基地を脱出します


312話 地獄の騎士(1)

離島棲姫はしっかりと俺に掴まり、エレベーターの到着を待つ

 

「大丈夫、心配するな」

 

「ハ、ハヒ…」

 

エレベーターが地上に着く…

 

「タナトスより砲撃‼︎」

 

「三番トーチカ群‼︎被害甚大‼︎」

 

「ウヒャ…エグゥイ‼︎」

 

離島棲姫の言う通り、外はタナトスの襲撃により穴だらけになり、倉庫群は炎上している

 

「その子は敵よ、大尉」

 

タナトスまで向かう途中、二人を送って引き戻してくれた加賀がいた

 

「気にするな。今しがた約束したんだ、一人にしないって」

 

「そう…ならいいわ。もう出航するみたいよ」

 

「分かっ…」

 

その時ほんの一瞬、格納庫から声が聞こえた気がした

 

何となくだが、俺はそこに行かなければならないという気になる…

 

「…加賀、その子を連れてタナトスに行け」

 

「貴方はどうするの」

 

「少し用事が出来た」

 

加賀に背を向けた瞬間、加賀の手から離島棲姫が離れる

 

「どうした⁇」

 

「ツイテッテアゲル‼︎」

 

満面の笑みで答える離島棲姫を見て、いつも子供達にそうされている様に手を繋ぐ

 

タナトスからの砲撃が止まない中、格納庫に向かう…

 

 

 

重い格納庫の扉を開ける…

 

《お呼びしてすみません…》

 

「そうか…お前がここにいるって事は、あいつもいるんだな…」

 

「コノキタイ、モトモトシンカイノコネ」

 

「そっ。立派な戦士だ」

 

格納庫には一機の機体が鎮座していた

 

鹵獲されたのか、はたまた自分の足でここに来たのか…

 

「あいつはどうした⁇」

 

《加賀さんの艦載機に》

 

「お前はどうしたい」

 

《“高山さん”を止めたい…》

 

機体の正体はイェーガー

 

ター坊をここまで運んで来てくれたのだろう

 

あいつは加賀の恋人だ

 

こんな辺境の基地まで、身一つで探しに来たのだろう…

 

《あの人の願いは貴方を倒す事…私の願いを聞けば、貴方に危険が…》

 

「横須賀まで俺を乗せられるか⁇」

 

《はい。ですが、貴方と交戦状態になります。私は、貴方に危害を加えたくありません》

 

「俺だってお前と戦いたくないさ…だが、あいつを地獄から救ってやるには、俺とやるしかない」

 

《ありがとう…ごめんなさい…》

 

イェーガーのキャノピーが開く

 

「アナタパイロットナノ⁇」

 

「そっ。空は初めてか⁇」

 

「ノセテクレルノ⁇ホントウニツレテイッテクレルノ⁇」

 

「空軍は嘘をつかないんだ。さ、行こう」

 

離島棲姫に手を差し伸べると、すぐに手を取った

 

「よし、イェーガー。目指すは横須賀だ‼︎タナトス‼︎良い機体を見付けた‼︎横須賀まで三人を頼む‼︎」

 

《了解でち‼︎交戦終了、急速潜航。目標地点、横須賀基地に設定完了》

 

タナトスに帰投を頼んですぐ、イェーガーを格納庫から出す

 

《敵のレーダーを掻い潜る為に、極めて低い高度を飛びます》

 

「オーケー…イェーガー、発進‼︎」

 

イェーガーに乗り、旧自衛隊秘匿基地から脱出する…


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。