「レイ‼︎いらっしゃい‼︎」
大湊に着陸すると、早速鹿島が迎えに来てくれた
「棚町に話をしに来た。コーヒー頼めるか⁇」
「わっかりました‼︎美味しいの淹れて持って行きますね‼︎」
鹿島が中に入って行くのを見て、タブレットの通信を繋げる
「親潮、聞こえるか」
《はい、創造主様》
「ゴーヤとヨナと協力して、そっちでも加賀の動向を調べてくれ」
《畏まりました。創造主様、創造主様はどうお考えで⁇》
「どうだろう…加賀は歌手をしているからな。伝達ミスであって欲しいな…それと、加賀は若い。もしかすると駆け落ちかもしれない」
《駆け落ちの場合、どうされるのですか⁇》
「彼女が選んだ道だ。俺が棚町を説得してやればいい。それだけさっ」
《その言葉を聞けて良かったです‼︎それでは調査を始めます。何か分かり次第連絡を入れます》
「頼んだ」
親潮との通信を切り、俺も執務室がある建物に入る…
「俺だ」
「マーカス‼︎入ってくれ‼︎」
執務室に入ると、既に棚町が対面のソファを準備して待っていてくれた
「加賀が行方不明だと⁇」
「はい。それが、一週間前から消息を絶ちまして…此方でも捜索をしたのですが、一向に見つからず…」
「最後に連絡したり見たのはいつだ」
「一週間前、要人護衛の為に太平洋に遠征に行った際の通信が最後になります。此方を」
棚町から録音機器を受け取り、それを聞く…
《要人を乗せた船舶を目視で確認。護衛を始めるわ》
《了解。周辺海域及び対潜哨戒を可能な限り行ってくれ》
《分かったわ》
特に何ら変哲のない通信
「やはり、年頃の女性なので色々考えたのですが…加賀は連絡はキチンとする子ですので…」
「要人とはどこの要人だ」
「視察に来た国会議員と聞きました。此方を」
棚町から遠征の記録を受け取る
「こいつに直接聞こう」
「ま、マーカス⁉︎」
「友達がいるんだ」
「議員にですか⁉︎」
「まぁなっ。ちょっと電話を借りる」
「此方を‼︎」
こうなれば話は少し前に進む
俺は総理に電話をかける…
「総理。マーカスだ」
《おぉマーカス‼︎どうした⁇》
「一週間前に太平洋で視察をした“海堂”と言う奴を探しているんだ。少し話を伺いたい」
《奇遇だなマーカス。此方でも調査中なんだ。彼は一週間前の視察から未だに帰っていない》
「言いたかないが…乗っていた船舶の撃沈の可能性は⁇」
《ちょっと待て…いや、その報告は受けていない。もし撃沈となれば、此方に連絡が入るハズなんだ。しかしこの船舶は突如として消えている。マーカス、君の見解はどうだ⁇“護衛船団ごといきなり消える”なんて有り得るか⁇》
「有り得るとしたら海域ごと巻き込む兵器を使う…しかし、そんなモノ使えば必ず何処かの基地が察知するハズだ…」
《この事は何か裏がある。マーカス、力になれる事があるならいつでも言ってくれ》
「ありがとう。助かるよ」
電話を切り、棚町に顔を向ける
「まさか総理大臣と顔見知りとは…」
「娘の面倒を見て貰ってるんだ。この事件、何か引っかかる…加賀は何かに巻き込まれた可能性が高いな…」
《創造主様》
「親潮、どうだった⁇」
親潮から連絡が来たので、机にタブレットを置き、棚町と共に見る
《加賀様が消息を絶った地点はここ》
タブレットの地図の太平洋にポインターが出る
《近場の基地はここ》
「旧自衛隊の基地…」
親潮が示したのは旧海上自衛隊の基地
「行ってみる価値はありそうだな。親潮、タナトスを寄越してくれ」
《もう来てるでち。グリフォンはきそが帰らせたでち》
「棚町、待っててくれ。必ず連れ戻す」
「すまない、マーカス…感謝する」
《それとお二人様。ここ数日“とある方”が頻繁にこの基地に出入りしています》
タブレットに出された顔写真を見て、尚更行く理由が出来た…