艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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311話 消息(2)

「レイ‼︎いらっしゃい‼︎」

 

大湊に着陸すると、早速鹿島が迎えに来てくれた

 

「棚町に話をしに来た。コーヒー頼めるか⁇」

 

「わっかりました‼︎美味しいの淹れて持って行きますね‼︎」

 

鹿島が中に入って行くのを見て、タブレットの通信を繋げる

 

「親潮、聞こえるか」

 

《はい、創造主様》

 

「ゴーヤとヨナと協力して、そっちでも加賀の動向を調べてくれ」

 

《畏まりました。創造主様、創造主様はどうお考えで⁇》

 

「どうだろう…加賀は歌手をしているからな。伝達ミスであって欲しいな…それと、加賀は若い。もしかすると駆け落ちかもしれない」

 

《駆け落ちの場合、どうされるのですか⁇》

 

「彼女が選んだ道だ。俺が棚町を説得してやればいい。それだけさっ」

 

《その言葉を聞けて良かったです‼︎それでは調査を始めます。何か分かり次第連絡を入れます》

 

「頼んだ」

 

親潮との通信を切り、俺も執務室がある建物に入る…

 

 

 

「俺だ」

 

「マーカス‼︎入ってくれ‼︎」

 

執務室に入ると、既に棚町が対面のソファを準備して待っていてくれた

 

「加賀が行方不明だと⁇」

 

「はい。それが、一週間前から消息を絶ちまして…此方でも捜索をしたのですが、一向に見つからず…」

 

「最後に連絡したり見たのはいつだ」

 

「一週間前、要人護衛の為に太平洋に遠征に行った際の通信が最後になります。此方を」

 

棚町から録音機器を受け取り、それを聞く…

 

 

 

《要人を乗せた船舶を目視で確認。護衛を始めるわ》

 

《了解。周辺海域及び対潜哨戒を可能な限り行ってくれ》

 

《分かったわ》

 

 

 

 

特に何ら変哲のない通信

 

「やはり、年頃の女性なので色々考えたのですが…加賀は連絡はキチンとする子ですので…」

 

「要人とはどこの要人だ」

 

「視察に来た国会議員と聞きました。此方を」

 

棚町から遠征の記録を受け取る

 

「こいつに直接聞こう」

 

「ま、マーカス⁉︎」

 

「友達がいるんだ」

 

「議員にですか⁉︎」

 

「まぁなっ。ちょっと電話を借りる」

 

「此方を‼︎」

 

こうなれば話は少し前に進む

 

俺は総理に電話をかける…

 

「総理。マーカスだ」

 

《おぉマーカス‼︎どうした⁇》

 

「一週間前に太平洋で視察をした“海堂”と言う奴を探しているんだ。少し話を伺いたい」

 

《奇遇だなマーカス。此方でも調査中なんだ。彼は一週間前の視察から未だに帰っていない》

 

「言いたかないが…乗っていた船舶の撃沈の可能性は⁇」

 

《ちょっと待て…いや、その報告は受けていない。もし撃沈となれば、此方に連絡が入るハズなんだ。しかしこの船舶は突如として消えている。マーカス、君の見解はどうだ⁇“護衛船団ごといきなり消える”なんて有り得るか⁇》

 

「有り得るとしたら海域ごと巻き込む兵器を使う…しかし、そんなモノ使えば必ず何処かの基地が察知するハズだ…」

 

《この事は何か裏がある。マーカス、力になれる事があるならいつでも言ってくれ》

 

「ありがとう。助かるよ」

 

電話を切り、棚町に顔を向ける

 

「まさか総理大臣と顔見知りとは…」

 

「娘の面倒を見て貰ってるんだ。この事件、何か引っかかる…加賀は何かに巻き込まれた可能性が高いな…」

 

《創造主様》

 

「親潮、どうだった⁇」

 

親潮から連絡が来たので、机にタブレットを置き、棚町と共に見る

 

《加賀様が消息を絶った地点はここ》

 

タブレットの地図の太平洋にポインターが出る

 

《近場の基地はここ》

 

「旧自衛隊の基地…」

 

親潮が示したのは旧海上自衛隊の基地

 

「行ってみる価値はありそうだな。親潮、タナトスを寄越してくれ」

 

《もう来てるでち。グリフォンはきそが帰らせたでち》

 

「棚町、待っててくれ。必ず連れ戻す」

 

「すまない、マーカス…感謝する」

 

《それとお二人様。ここ数日“とある方”が頻繁にこの基地に出入りしています》

 

タブレットに出された顔写真を見て、尚更行く理由が出来た…


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