艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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さて、303話が終わりました

誰からでもヒョイっと抱えられるコロちゃん

大人連中は勿論、アイちゃん、あまつさえ自分より年下のホーネットからも抱き上げられます


304話 抱き上げ式コロちゃん

「フフフ…これでパパも一撃だわ…」

 

ラバウルの子供部屋でコロちゃんが一人、悪そうな顔をしてトラップを作る

 

「コロチャン‼︎」

 

「ホーネット‼︎ナイショよ⁉︎いい⁉︎」

 

突然現れたホーネットにビビるコロちゃん

 

目の前にはワイヤーで作られたトラップがある

 

「これはニーチャンの飛行機‼︎」

 

「そ、そうね…」

 

ホーネットはコロちゃんの話を聞いていない

 

手には、アレンの乗る刑部の模型がある

 

「ニーチャンはお空飛ぶの‼︎ンフフ‼︎」

 

「危ない危ない…」

 

コロちゃんの背後で遊び始めたホーネット

 

バレたと思って出た冷や汗を拭きながら、コロちゃんはトラップを作り続ける…

 

「ホーネット‼︎コロちゃん‼︎ご飯よ‼︎」

 

「アタゴンだ‼︎ハーイ‼︎」

 

「あっ‼︎ちょっと‼︎」

 

ホーネットは模型を置き、コロちゃんを抱き上げて食堂に向かう

 

来た時から既にコロちゃんの身長を追い抜いていたホーネットは、ここ最近ネルソンのマネをしてコロちゃんを抱える様になっていた

 

「降ろしなさいよ‼︎ちょっと‼︎」

 

「ホーネットと行こ‼︎」

 

「もう…」

 

最初はジタバタしていたコロちゃんだが、ホーネットの無邪気さに負け、大人しく抱えられる事にした

 

 

 

 

食事が終わり、コロちゃんは再びトラップを作ろうと部屋に戻ろうとした

 

「Colorado‼︎IowaとTrainingしましょう‼︎」

 

「あっ‼︎」

 

アイオワにも抱えられるコロちゃん

 

トレーニングルームに連れて行かれ、食後の運動をさせられる…

 

「な、なんでColoradoがこんな目に…」

 

「…」

 

ゼェハァ言うコロちゃんをよそに、アイオワは薄っすら微笑みながらエアロビをする

 

運動が終わり、ようやっと子供部屋でトラップ作りを再開しようとした

 

「コロチャン‼︎汗をかいた、んなっ‼︎余と風呂に入ろう‼︎」

 

「グワー‼︎」

 

今度はネルソンに背後から抱えられ、コロちゃんはお風呂に向かう

 

「ム〜…」

 

コロちゃんはネルソンに無理矢理体を洗われた後、露天風呂に浸かりながらブクブクする

 

「コロチャン。アレンがな…」

 

「パパがナニ‼︎」

 

散々抱えられたコロちゃんはちょっと拗ね始める

 

「コロチャンにオミヤゲがあるらしいぞっ‼︎」

 

「パパが⁉︎」

 

「うぬっ‼︎」

 

まだまだ子供のコロちゃん

 

お土産があると分かるとやっぱり嬉しい

 

お風呂から上がり、体を拭いてアレンのいる食堂に戻る

 

「おっ‼︎コロちゃん‼︎」

 

「オミヤゲってナァニ‼︎」

 

「これだ‼︎」

 

アレンの手にはキックボード

 

何処かに行った時に買ってくれたそれは、コロちゃんの身長でも乗れる様に長さが調整出来る物になっている

 

しかし問題が一つ…

 

「これは作らなきゃいけないんだ」

 

「任せて‼︎」

 

アレンにカーペットの上に箱を置いて貰い、早速開ける

 

「ン〜…」

 

説明書と睨み合い、テキパキ作るコロちゃん

 

「早い、んなっ‼︎」

 

「Papaの血を継いでるわ‼︎」

 

ネルソンとアイちゃんもコロちゃんの手際の良さを見て驚く

 

「出来た‼︎」

 

ものの十分でキックボードは完成

 

「ちょっと試して来るわ‼︎Thank You‼︎」

 

「気を付けてな⁇」

 

折り畳んだキックボードを抱え、コロちゃんは廊下に来た

 

「アハハハ‼︎速い‼︎」

 

回廊式の廊下をキックボードで回るコロちゃん

 

何周かした後、子供部屋の前に戻って来た

 

「速さが足りないわね。ンー…」

 

しばらく悩み、キックボードを折り畳んで工廠に向かう

 

 

 

「コロラドさんはどうしました⁇」

 

騒がしかった廊下が急に静まり、不安になったラバウルさんが食堂に来た

 

「キックボードで遊んでるハズです」

 

「さっきまで廊下で居たのですが…」

 

「居ないんですか⁉︎」

 

アレンが廊下に向かうが、コロちゃんの姿はない

 

「何処行ったんだ…」

 

「コロラドさんは言う事を聞く子です。海岸等の危険な場所には近付かないハズですが…」

 

「ちょっと見て来ます‼︎」

 

不測の事態が有り得るので、アレンが表に出て来た

 

 

 

「ココをこうして…ンー、後はコレを…」

 

「コロちゃーん‼︎」

 

「マズイ…パパだわ…」

 

工廠でアレンの余りパーツが入っている箱をひっくり返し、地べたに座って何かを作っているコロちゃん

 

アレンにバレると当然叱られるので、息を潜める…

 

「コロちゃ…ここだな⁇」

 

一発で居場所がバレた

 

地べたにひっくり返したパーツが散らばっていたのを見たからだ

 

「何してるんだっ⁇」

 

「な‼︎何にもしてないわ‼︎ネジは綺麗ねパパ‼︎」

 

「…どれっ」

 

「Angryなんでしょ…」

 

「コロちゃんが素直に出したら、絶対怒らないぞ⁇」

 

屈んだアレンが手を前に出す

 

コロちゃんは素直に背中に隠していたキックボードを出した

 

「速さが足りないから、パパのエンジン作ろうと思っただけよ‼︎」

 

「な、何だと⁉︎」

 

キックボードの後ろ部分に、既に完成間近の小型エンジンが二基取り付けられている

 

「こ、コロちゃんが作ったのか⁉︎」

 

「そ、そうよ‼︎パパの本棚の設計図見たのは謝るわ‼︎」

 

「…」

 

アレンは怒るどころか絶句したかのように口が開いたままになり、そのエンジンをまじまじと見ている

 

「よく作れたな…」

 

「Waterで動くの。Gasoline使っちゃNoなんでしょ⁉︎」

 

「み、水でか…」

 

アレンの複合サイクルエンジンは、初期動作のみ、どうしてもガソリンやそれに近い物が少なからず必要になる

 

が、コロちゃんの作った複合サイクルエンジンは初期動作は水で行う

 

「どんな原理なんだ⁇」

 

「教えないわ‼︎キギョーヒミッツよ‼︎」

 

「そっかっ。なら、出来たら見せてくれないか⁇」

 

「OK‼︎」

 

それから小一時間、コロちゃんは工廠にこもる…

 

 

 

「ほうほう、コロラドさんが…」

 

「驚きました…自分よりクリーンなエネルギーですから…」

 

食堂のカウンター席に座り、ネルソンのコーヒーを飲みながらラバウルさんに事の顛末を話す

 

「さ‼︎オヤツ出来たわ〜‼︎」

 

「今日のは美味いぞ‼︎」

 

愛宕&ネルソン特製のクッキーが出来上がった

 

「パパ‼︎出来たわ‼︎」

 

コロちゃんが外に続く引き戸のガラス扉から来た

 

「そうかそうか‼︎先にオヤツ食べようか‼︎」

 

「そうするわ‼︎」

 

ネルソンが食堂の机にクッキーを置きに来たタイミングで、コロちゃんは手を洗いに来た

 

「よいしょ〜‼︎」

 

「Thank You アタゴン‼︎」

 

愛宕に抱き上げられ、コロちゃんは手洗いうがいをする

 

「頂くわ‼︎」

 

早速コロちゃんはクッキーに手を付ける

 

コロちゃんが座った席の右にはホーネット、左にはアイちゃん、正面にジェーナスと日進がいる

 

コロちゃん抱き上げメンツが両サイドにいるのに気付いていない

 

ホーネットは両手で一つのクッキーを持ち、美味しそうに頬張る

 

しかし、アイちゃんは違った

 

「このChoco Chipの…」

 

舌を出して身を乗り出しながら、机の中心にあるクッキーてんこ盛りのお皿に手を伸ばすコロちゃん

 

アイちゃんは左手でクッキーを食べながら、コロちゃんのお尻を右手で支える

 

何気無しに心配しているのは、実はアイちゃんだったりする

 

コロちゃんは数枚クッキーを食べた後、アレンの所に来た

 

「パパ‼︎行きましょ‼︎」

 

「ちょっと待っててくれ‼︎すぐに行く‼︎」

 

アレンは自室に何かを取りに行った…

 

 

 

数分後…

 

「フフフ…これよ‼︎」

 

コロちゃんの横には、小型の複合サイクルエンジンが付いたキックボードがある

 

「一応安全の為にこれしような⁇」

 

アレンが自室から持って来たのはゴーグル

 

「Coloradoにくれるの⁇」

 

「一生懸命作ったご褒美だっ‼︎」

 

「Thank You‼︎ンー…よいしょ‼︎」

 

ゴーグルを付け、コロちゃんはキックボードに乗る

 

「行くわ‼︎」

 

「見とくよっ‼︎」

 

水を入れた小さなプラスチックのボトルをエンジンに差すと、しっかり動き出した

 

「Bye Bye〜‼︎」

 

コロちゃんが持ち手を捻ると、キックボードは中々の速度で走り出した‼︎

 

「アヒャヒャヒャヒャー‼︎快適だわー‼︎」

 

コロちゃんは狂ったかの様に叫びつつ、風を浴びる

 

「コロちゃーん‼︎ブレーキはあるかー‼︎」

 

「あるわー‼︎」

 

かなり遠くの方にいるコロちゃんだが、ちゃんと止まってアレンに手を振っている

 

「凄ーい‼︎ちゃんと考えて作ったのね‼︎」

 

「おーおー‼︎流石は父上の血を引く子じゃのう‼︎」

 

洗濯物の追加を干していた愛宕と日進がコロちゃんを見ている

 

「よかったじゃないアレン‼︎これで後継者が出来たわねっ⁉︎」

 

「父上は心配しとったからのぅ」

 

「よかった…本当に…」

 

アレンはずっと考えていた

 

いつの日か自分の後継者が出て来た時、その子にこのエンジンをあげようと

 

勿論レイだって使ってくれる

 

だが、やはりこうして子供が後継者になる瞬間を見るのは嬉しい様子

 

「ンーッ‼︎これはケッサクよ‼︎」

 

帰って来たコロちゃんはちゃんとエンジンを切り、ゴーグルを外した後にアレンに抱き着いた

 

「よくやったな‼︎」

 

「凄いわ‼︎」

 

「素晴らしいの‼︎」

 

「フフフ‼︎」

 

三人にたっぷり褒めて貰い、コロちゃんは物作りの良さをどんどん理解して行く

 

「でだ、コロちゃん。これは⁇」

 

日進の手には、あの超☆危険なトラップがある

 

「これはパパイチコロトラップよ‼︎あっ…」

 

「どんな原理だ⁇ん⁇」

 

「ントー‼︎ンー‼︎Colorado忘れちゃったかなー‼︎」

 

コロちゃんの目が泳ぐ

 

「言わないならホーネットがコチョコチョするらしいぞ⁇」

 

「エットォ〜…パパを〜、アタゴンの所にDiveさせて〜、その後にママの所にもDiveさせるトラップだった気がするわ‼︎」

 

「危ないんだな⁇」

 

「とってもデンジャーです…はい…」

 

「よしよし」

 

コロちゃんはちゃんと反省した為に許された…

 

 

 

 

このトラップが有効利用されるのは、また別のお話…




話を書いていて気付きましたが、このお話のホーネット、アイちゃんやコロちゃんからすれば“ホーネットおばさん”なんですね 笑笑

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